帰る場所があるありがたさを歌う

──YU-PONさんのお気に入りの曲は？

YU-PON　「From Country」かなあ。

HEAVIN　実は僕も「From Country」と悩んだ。

YU-PON　「From Country」ってBACK LIFTにありそうでなかった曲なんですよ。新境地と言うか。哀愁は漂うんだけど、背中を押せる曲になったかなと。

──この曲は家族のことを歌った曲ですね。BACK LIFTのアルバムには必ず家族や地元への思いを歌った曲が入っていますが、それはなぜですか？

KICHIKU　フルアルバムを作るときには絶対、家族とか田舎のことを歌いたくなるんですよね。今は名古屋に住んでるけど、田舎の三重に帰ると「やっぱりここが好き」って思うくらい地元が好きなので。あと俺が「もうダメだ」という極限の精神状態になったときに支えてくれるのが家族やから。これ以上落ちたらバンド辞めるっていうくらいのギリギリまで落ちたときに必ず家族が救ってくれる。家族とは毎日LINEしてるんですよ。俺は4人兄弟の末っ子で、それぞれの兄弟の家族も合わせるとすごい人数なんですけど、誰かしらの誕生日を祝うメッセージが飛び交ったり、釣り好きの親父が「今日はこれを釣りました」って写真を送ってきたり。日々のそういうやりとりもすごく支えになっていて、やっぱり家族のことはいつまでも歌っていたいなと思いますね。

──HEAVINさんもこの曲がお気に入り？

HEAVIN　はい。僕は単純に歌詞が好きです。僕も家族が大好きなので共感できるなって。

──KICHIKUさんのお気に入りの曲はどれでしょう？

KICHIKU　めっちゃあるけど……「everything to me」かな。ここまでスローな曲ってあんまりなかったので、ひさしぶりに作りたいなと思って作り始めたんですけど、曲も歌詞もスルスルできていって。こういうスローな優しい曲でアルバムを終わらせるのって今までやったことなかったんですけど、このまま心地よく眠りにつけそうな終わり方になったので自分の中ですごく満足してます。

──歌詞も素敵です。

KICHIKU　歌詞は俺だけじゃなくてだいたいのバンドマンが思ってることかなと思います。車に乗って移動して、何十時間もかかるなんて当たり前で……俺らは慣れてるけど、俺らを待ってくれてる人はめっちゃ心配やと思う。みんなそわそわしてくれてるやろうから、そういう人たちへの感謝を歌いたいなと。

──この曲にも家族の存在が大きく影響していそうですね。

KICHIKU　はい。帰る場所があるから書けた曲やと思います。

自分たちの音楽を各地に蒔きに行く

──前作が「空白」を意味する「BLANKS」、今作が「種まき」を意味する「Seeding」ときたら、次は芽が出て花が咲く？

一同　はい！

KICHIKU　今作に「Seeding」というタイトルを付けたのは、今俺らに必要なのは、「メジャーデビュー後初のフルアルバムだから『リスタート』」とかそういうことじゃなくて、自分たちの音楽をいろんなところに蒔いてくることやなって思ったから。ポエトリーを取り入れた新しい音楽をやり始めたときに、賛否両論あったし、根付くまでに時間かかるんやなって思ったんですけど、そこで折れずに続けていけば種を植えられるようになって、さらに数年後に芽が出て花が咲くはずだと思って。

──自分たちの音楽に自信が付いたからこそ、その音楽を種にして各地に蒔く覚悟ができたと言うか。

KICHIKU　そう。今やから言えるんかなという気はしてます。「Seeding」はすごくいいアルバムやし、俺らはライブバンドやから、ツアーもいいライブになるはず。ぜひたくさんの人に観にきてほしいなと思います！