BACK LIFTがメジャー1stアルバム「Seeding」を11月15日にリリースした。
インディーズ時代に発表した「Ten Years Later」以来およそ3年ぶりのフルアルバムとなる本作には結成当時からの武器であるメロディックパンクナンバーはもちろん、日本語詞やポエトリーリーディングといったさまざまな要素を取り入れた楽曲群が収められている。この3年で培った武器をフルに発揮したという本作について、メンバー3人に話を聞いた。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 山川哲矢
勝負をかける1枚に
──「Seeding」は初期のBACK LIFTらしさを感じさせるメロディックパンクナンバーがあり、日本語詞の楽曲もあり、ポエトリーリーディングを取り入れた曲もありと、バラエティ豊かな楽曲群がバランスよくまとまっている1枚だと感じました。
深谷'YU-PON'雄基(G, Cho) そうですね。バランスを大事にしました。
小林'KICHIKU'辰也(Vo, B) フルアルバムは3年ぶりなんです。前のフルアルバムはYU-PONが加入してすぐの2014年9月にリリースした「Ten Years Later」なんですけど、そのアルバムは日本語詞に挑戦したり、ポエトリーリーディングを取り入れてみたりと、思いついたものをそのまま出した作品だったんです。そこからはずっと「Ten Years Later」の延長線上のものを作ってきて。日本語詞をもっと上手に入れてみようとか、「This is myself」でポエトリーリーディングっぽいことをやってみたからその完成度をもっと上げようとか、そうやっていろんなことを経験してきた3年だった。この「Seeding」はその3年で培ってきた武器を、フルに発揮していきたいと思って。
都築'HEAVIN'史生(Dr, Cho) 自分たちが今やりたいことを本当に詰め込んでいるので、“勝負をかける1枚”と言えるんじゃないかな。
──BACK LIFTは英語詞で歌う生粋なメロディックパンクバンドとして登場したのち、日本語詞に挑戦したり、ポエトリーリーディングを取り入れたりと、ここ数年で大きく変化していきましたよね。初めのうちは探り探りだったように見えましたが、前作のメジャーデビューミニアルバム「BLANKS」あたりから3人の中でBACK LIFT像がハッキリしてきたんじゃないかと思っていて。
KICHIKU それはあるかも。メジャーフィールドってなかなか経験できない場所だと思うので、やりたいことをやって多くの人に届けられたらと思うようになりましたね。
YU-PON 「今やりたいことをやるのがBACK LIFTだ」という気持ちが強くなりました。
──逆に言うと、これまでは出したいものが出せてなかった?
KICHIKU それはちょっとあったかもしれない。出てくる曲とか歌詞の内容が「俺らっぽくないんじゃないか」って思って引き出しにしまうことがけっこうあったかな。さらにシングルとかミニアルバムが多くて出せる楽曲の幅も少なかったから余計に。
ポエトリーリーディングが武器
──アルバムの制作はどのように進めていったんですか?
KICHIKU まず最初に14曲入りっていうのを決めて。
──なぜ14曲?
KICHIKU なんとなくです。なんとなく俺が勝手に「14曲入りにしたい」って言ってた。自分がフルアルバムを聴くときに、12曲やとなんか物足りなくて、15曲以上だと聴く前に気合いが必要になるときがある。で、13よりは14やろっていう、本当になんとなく。再録で3曲入れるっていうことも決めていたので、「じゃあこういうタイプの曲がないから作ろう」ってスタジオでセッションしながら残りの11曲を作っていきました。
──再録3曲のうち、「sign」「Search」の2曲がインディーズ時代の楽曲です。この2曲の選曲理由を教えてください。
KICHIKU 1つはどっちもシングルにしか収録されてなかったから。もう1つは2曲共ポエトリーリーディングが入っているからですね。このポエトリーリーディングを取り入れるっていうのは自分たちで見つけた新たなスタイルだと思っていて、俺らにしかできやんことやからフルアルバムに入れたいなと。
──そもそもポエトリーリーディングを取り入れ始めたのはなぜですか?
KICHIKU 友達とドライブしてたときに、その友達が車でかけてくれた音楽の中でふと気になった曲があって。それが不可思議/wonderboyのポエトリーリーディングの曲やったんです。なんかすごくビシビシ刺さって、帰ってすぐにCDを買って。メロディックパンクって旋律があるものなんやけど、ポエトリーは旋律がない。それを組み合わせたらオモロイんちゃうかなと思ったのが始まりです。
──それまでBACK LIFTは生粋のメロディックパンクバンドという印象だったので、当時すごく驚きました。
KICHIKU 周りの反応も賛否両論でした。離れていった人もおるし、逆にこれをきっかけに俺らを聴いてくれるようになった人もおる。いまだに賛否両論あると思います。でもポエトリーリーディングを取り入れたり、日本語詞を入れたタイミングはYU-PONが加入してすぐのタイミングだったんですよね。YU-PONはHi-STANDARDが大好きな俺と違って、メロディックパンクをあんまり聴かへんし、ルーツもまったく違うんです。だったらYU-PONが入ったタイミングで、新しいことにどんどん挑戦してみようと思った。
──BACK LIFTはHi-STANDARD直系のメロディックパンクバンドがたくさん出てきた次の世代なので、世代的にも生粋のメロディックパンクではいられなかったのかもしれないですね。
KICHIKU そうそう。俺はHi-STANDARDが一番好きなんですけど、Hi-STANDARDの真似をしてても超えることはできないから、Hi-STANDARDにリスペクトを持って、その芯だけはいただいて自分たちのスタイルにしていくことが必要かなと。このスタイルを見つけたことは自信でもあるし、最近ライブでもポエトリーの曲を待っててくれてる人が増えているのを感じます。
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Northern19を超える“ウオー”を
- BACK LIFT「Seeding」
- 2017年11月15日発売 / BLACK SHEEP RECORDS
-
[CD]
2808円 / VICL-64864
- 収録曲
-
- Eight Mat Room
- Hate
- Catch
- KIDS PLAY HARD
- Seeding
- HONNE
- You're A Fool
- Cat or Dog
- From Country
- sign
- Breakthrough
- Youth
- Search
- everything to me
BACK LIFT「"Seeding Your Country" Tour 2017-2018」
- 2017年11月24日(金)千葉県 千葉LOOK
- 2017年11月25日(土)岐阜県 yanagase ants
- 2017年11月26日(日)三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
- 2017年11月30日(木)京都府 KYOTO MUSE
- 2017年12月1日(金)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2017年12月3日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2017年12月4日(月)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2017年12月9日(土)岩手県 the five morioka
- 2017年12月10日(日)青森県 LIVE HOUSE FOR ME
- 2017年12月15日(金)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2017年12月16日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2017年12月17日(日)愛媛県 Double-u studio
- 2018年1月5日(金)宮城県 enn 2nd
- 2018年1月6日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2018年1月8日(月・祝)石川県 vanvanV4
- 2018年1月13日(土)北海道 BESSIE HALL
- 2018年1月14日(日)北海道 苫小牧ELLCUBE
- 2018年1月19日(金)福岡県 Queblick
- 2018年1月20日(土)大分県 club SPOT
- 2018年1月21日(日)広島県 CAVE-BE
BACK LIFT 「"Seeding Your Country" Tour 2017~2018 Final」
- 2018年2月3日(土)大阪府 OSAKA MUSE
- 2018年2月8日(木)東京都 TSUTAYA O-WEST
- 2018年2月11日(日・祝)愛知県 DIAMOND HALL
- BACK LIFT(バックリフト)
- 2007年に名古屋で結成されたスリーピースバンド。メンバーチェンジを経て、現在は小林'KICHIKU'辰也(Vo, B)、深谷'YU-PON'雄基(G, Cho)、都築'HEAVIN'史生(Dr, Cho)の3人で活動している。2010年よりTRUST RECORDSに所属し、3枚のフルアルバム、2枚のミニアルバム、3枚のシングルをリリース。2017年5月にミニアルバム「BLANKS」をビクターエンタテインメント内のレーベル・BLACK SHEEP RECORDSよりリリースし、メジャーデビューを果たす。11月にメジャー1stアルバムとして「Seeding」をリリース。発売後は約3カ月におよぶレコ発ツアー「"Seeding Your Country" Tour 2017-2018」を開催する。