Northern19を超える“ウオー”を
──ではここからは新曲について聞かせてください。まず1曲目「Eight Mat Room」はとにかく歌い出しのシンガロングが印象的です。
KICHIKU これは2年前に風呂場で思い浮かんだ曲。「すごい“ウオー系”の曲できたな」と思って。俺の中でHi-STANDARD以外で一番衝撃を受けた作品がNorthern19の1stアルバム「EVERLASTING」(2006年10月リリース)なんです。「こんなやばい“ウオー”はない!」って。
──1曲目の「STAY YOUTH FOREVER」ですね。
KICHIKU そうそう。その“ウオー”を超えたいって思ってできたのがこの曲です。で、この曲ができたときに、シングルやミニアルバムの1曲目じゃもったいないからフルアルバムの1曲目にしたいと思って、フルアルバムを出すタイミングまで温めてました。
──確かにこのシンガロングはインパクトがあります。「ライブで聴きたい」「ライブで歌いたい」と思いますよね。
KICHIKU みんなが自ずと拳を上げてしまう曲ができたと思ってます。
──続く2曲目「Hate」は歌詞が印象的です。特に「朝になって しがみついた 臆病者は 誰かを救うと 心に決めた」というところがBACK LIFTらしいなと。
KICHIKU この曲の歌詞を考えている時期に自分たちの「Heartful world」(2012年12月発売の2ndフルアルバム)を聴いとって。「Heartful world」ってBACK LIFTの作品の中で一番優しいアルバムやなって思ったんですよね。「Hate」の1番の歌詞にもあるんですけど、俺って自分に余裕がないと人に冷たくなるし、毒も吐く。あとから冷静になってそんな自分がダサすぎて自分に嫌気が差す。「Heartful world」はそういう俺みたいな弱い人とか、傷ついてヘコんでるヤツらに向けて歌う曲が多かったんですよね。自分の書く歌詞のよさってそこだよなあって思って、「Hate」ではそういう人が希望を見出せるような歌詞にしました。
ど直球のメロディックパンクナンバーを表題曲に
──4曲目「KIDS PLAY HARD」は、2015年にスタートした主催イベント「少年少女秘密基地FESTIVAL」をモチーフにした曲ですよね?
KICHIKU まさに。「少年少女秘密基地FESTIVAL」は地元を愛してる俺らにしかできやんものだと思っていて。来てもらえばわかると思うんですけど、ほかのイベントとは違うことを表現できてると思うし、ワクワクできる場所が作れてる自信がある。で、そこでは普段持ってる恥ずかしさとか意固地な部分を捨て去って、童心に戻って純粋に遊んでもらいたいなって思ってるんです。その気持ちを曲にしました。
──5曲目「Seeding」は表題曲です。
KICHIKU この曲は14曲の中で一番直球のメロディックパンクで、昔から自分たちがやってきたことをそのまま出せた曲。なんとなく、こいつに「Seeding」というタイトルを付けてあげたいなと思ったんです。ミュージックビデオにはしないけど、アルバムにおいてすごく大切な曲という位置付けにしたくて。Hi-STANDARDでも「MAKING THE ROAD」に「MAKING THE ROAD BLUES」って曲があるけど、あのアルバムだと「STAY GOLD」がリード曲でMVになっている。そういうイメージです。曲の感じも昔からの自分たちを表現できたし、歌詞も素直にスラスラ書けて気に入っています。
──いろいろな武器を手に入れた今、英語詞でど直球のメロディックパンクのこの曲が表題曲なのが意外でした。
KICHIKU 俺は日本語詞やポエトリーとかをやるうえで、英語のメロディックパンクだけで戦ってる人たちに負けたくないって思ってて。だからポエトリーや日本語の曲のクオリティを上げていく一方で、英語詞の極上のメロディックパンクも作らないといけないと思ってるんです。そういう意味で今回、この曲ができてよかったと思ってます。
阿吽の呼吸で「The Black Parade」をイメージ
──そのほかに皆さんのお気に入りの曲を教えてください。
HEAVIN 僕は「Catch」。BACK LIFTって速いツービートの曲は多かったけど、速いエイトビートの曲ってあんまりなかったんです。だけど今回KICHIKUがこの曲を持ってきたときになんかすごくしっくりきたんですよね。ドラマーとしても今までになかった表現ができて、すごく思い入れのある1曲になりました。実はMy Chemical Romanceの「The Black Parade」のオマージュを入れてるんです。この曲を聴いたときになんか「The Black Parade」を連想して。
YU-PON 僕もギターで入れてます、「The Black Parade」。
──YU-PONさんとHEAVINさんは「『The Black Parade』みたいにしよう」という話し合いをしたんですか?
HEAVIN いや。落ちサビからシンガロングが始まるという展開が決まったときに、自分の中で「このドラムパターンしかないな」って思って。
YU-PON 僕もこの展開になったときに、気付いたらこのギターフレーズを弾いてた。
HEAVIN だからまったく話し合いとかはしてないです。
──KICHIKUさんは「The Black Parade」をイメージしてこの曲を作ったんですか?
KICHIKU そもそも、その曲知らないです(笑)。
HEAVIN 知らないから面白いんですよね。
KICHIKU 今は洋楽も聴くようになったけど、俺が中高生のときって、俺みたいに1990年代の邦楽のバンドだけを聴いてるヤツっておらんかったんですよ。Green DayとかThe Offspring、NoFXを聴いてるヤツが多かった。で、そういうのを聴いてるヤツがオリジナル曲を作るから、みんなそれっぽい曲になるんですけど、俺はそれが嫌であえて洋楽を聴かなかったんです。だからいまだに洋楽のテイストとかそんなにわからないです。2人が言ってる展開って、最後のシンガロングパートのことやと思うんですけど、俺は単純にライブ会場でみんなで大合唱する絵を想像して作っただけで(笑)。
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帰る場所があるありがたさを歌う
- BACK LIFT「Seeding」
- 2017年11月15日発売 / BLACK SHEEP RECORDS
-
[CD]
2808円 / VICL-64864
- 収録曲
-
- Eight Mat Room
- Hate
- Catch
- KIDS PLAY HARD
- Seeding
- HONNE
- You're A Fool
- Cat or Dog
- From Country
- sign
- Breakthrough
- Youth
- Search
- everything to me
BACK LIFT「"Seeding Your Country" Tour 2017-2018」
- 2017年11月24日(金)千葉県 千葉LOOK
- 2017年11月25日(土)岐阜県 yanagase ants
- 2017年11月26日(日)三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
- 2017年11月30日(木)京都府 KYOTO MUSE
- 2017年12月1日(金)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2017年12月3日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2017年12月4日(月)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2017年12月9日(土)岩手県 the five morioka
- 2017年12月10日(日)青森県 LIVE HOUSE FOR ME
- 2017年12月15日(金)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2017年12月16日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2017年12月17日(日)愛媛県 Double-u studio
- 2018年1月5日(金)宮城県 enn 2nd
- 2018年1月6日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2018年1月8日(月・祝)石川県 vanvanV4
- 2018年1月13日(土)北海道 BESSIE HALL
- 2018年1月14日(日)北海道 苫小牧ELLCUBE
- 2018年1月19日(金)福岡県 Queblick
- 2018年1月20日(土)大分県 club SPOT
- 2018年1月21日(日)広島県 CAVE-BE
BACK LIFT 「"Seeding Your Country" Tour 2017~2018 Final」
- 2018年2月3日(土)大阪府 OSAKA MUSE
- 2018年2月8日(木)東京都 TSUTAYA O-WEST
- 2018年2月11日(日・祝)愛知県 DIAMOND HALL
- BACK LIFT(バックリフト)
- 2007年に名古屋で結成されたスリーピースバンド。メンバーチェンジを経て、現在は小林'KICHIKU'辰也(Vo, B)、深谷'YU-PON'雄基(G, Cho)、都築'HEAVIN'史生(Dr, Cho)の3人で活動している。2010年よりTRUST RECORDSに所属し、3枚のフルアルバム、2枚のミニアルバム、3枚のシングルをリリース。2017年5月にミニアルバム「BLANKS」をビクターエンタテインメント内のレーベル・BLACK SHEEP RECORDSよりリリースし、メジャーデビューを果たす。11月にメジャー1stアルバムとして「Seeding」をリリース。発売後は約3カ月におよぶレコ発ツアー「"Seeding Your Country" Tour 2017-2018」を開催する。