BABYMETAL「METAL FORTH」インタビュー|本格的な海外進出、日本への思い (2/2)

3人のストイックさ「初披露までに100回は踊るんです」

──今作で一番難しい振付は?

SU-METAL 難しいの意味合いによりますね。体力なのか、技術なのか。

MOAMETAL 技術なら「Sunset Kiss」かな。

MOMOMETAL 今までのダンス経験があったから意外と大丈夫だったけど、「Kon! Kon!」は新しいジャンルのダンスで、体力的にもハードでした。

MOMOMETAL

MOMOMETAL

SU-METAL フォーメーションがころころ変わるのは「Song 3」も同じだね。「3」を何回言ったか忘れちゃう(笑)。

MOAMETAL 「Song 3」もハードだね(笑)。脳トレみたいで、構成を間違えそう。15年踊っててもまだまだ難しいことがあるんだなって。

──プログレ要素もあり、ダンスも複雑だけど、ライブでは皆さんキャッチーにパフォーマンスしてますよね。

MOAMETAL 初披露までに100回くらいは踊るんです。だから観てもらうときは「余裕そう」って思えるくらいまで仕上げます(笑)。

──BABYMETALは努力をあまり表に見せないですよね。

MOAMETAL リハはヒーヒーだけど、3人で毎日のように練習しています。1人だと心が折れるんで(笑)。

MOMOMETAL 折れちゃうね(笑)。

MOAMETAL 誰かを道連れにしたら折れない(笑)。

MOAMETAL

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──「Algorism」はあるJメタルのオマージュとのことですが、どの曲か気になります。

SU-METAL ぜひ推察してほしいですね(笑)。

MOAMETAL この曲、MOMOMETALにデスボイスを入れてもらったんだけど、日本のファンが好きそうだなって。振りもハードそうで楽しみです。

──「KxAxWxAxIxI」は、メタルサウンドを軸にした楽曲ながら、ラップなど新たなアプローチが詰まっていますね。

MOMOMETAL 私たちにとってのチャレンジ曲です。

SU-METAL ゆるいヒップホップ感があって、歌詞がないフリーな部分は3人バラバラで録りました。しっかり聴かないと「聴き逃した!」ってなるはずだから、よく聴いてもらって楽しさを見つけてほしいです。

MOAMETAL Pale DuskのDAIDAIさんに作ってもらった曲で、「DAIDAIさんっぽい!」って感じがします。“クレイジージャパニーズラップメタル”という説明の通り、SU-METALが英語ラップに挑戦してるんです。今までにない自由な雰囲気ですね。

SU-METAL これも「BxMxC」みたいに化けるんじゃないかなって思っています!

SU-METAL

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MOMOMETALのデスボイス炸裂

──「Song 3(BABYMETAL x Slaughter to Prevail)」はアメリカ・フロリダを拠点にするロシアのデスコアバンド・Slaughter to Prevailとのコラボ曲ですね。

MOMOMETAL “3”をテーマにした曲で、数え歌みたいな感じで「1,2,3」を連呼しています。SU-METALの歌パートがサビくらいしかなくて。

SU-METAL 4行くらいしか歌ってない(笑)。

MOMOMETAL 珍しいよね! キャッチーでリズミカルな曲に、私のデスボイスを入れました。

MOAMETAL そう。MOMOMETALのデスボイスがかなり入ってるんです。

MOMOMETAL 1番は私、2番はアレックスで、あとは交互にデスボイスで言い合う感じ。めっちゃ楽しくて、ライブで絶対に盛り上がると思います。

MOMOMETAL

MOMOMETAL

SU-METAL MV撮影の合間にアレックスとTikTok用のグロウル対決をしたけど、彼の声は半端じゃなかった(笑)。

MOMOMETAL 生だとさらにヤバい! 曲の長さも3分33秒にこだわりました。けっこう大変だったみたいですけど。

MOAMETAL でも3分33秒とは思えないくらい体力が奪われます。めっちゃハードで、「1,2,3」の指の動きが速くて指がつりそうになる(笑)。お客さんと一緒にやりたいです。

SU-METAL ぜひ体験してほしいね(笑)。

──「Sunset Kiss(feat. Polyphia)」は「Brand New Day」と対になるイメージですか?

SU-METAL 「Brand New Day」は新しい1日が始まるイメージで、「Sunset Kiss」は夕方みたいな雰囲気なのでシリーズになってるのかな。私の感想だと、ギターのフレーズとか全体的に「Sunset Kiss」のほうがメロウな感じです。最初のデモは縦ノリだったけど、Polyphiaのギターが入ると横ノリになったんです。「このギターに合わせよう」ということで、アレンジが変わりました。Bメロでギターと同じメロディを歌ったり、歌い方も「Brand New Day」のさわやかさから少し物悲しいニュアンスに変えたりしているので、その違いを楽しんでほしいです。

BABYMETAL流メロスピシリーズの集大成

──「White Flame -白炎-」は「紅月」「Amore」に続く、メロディックスピードメタルシリーズの集大成だそうで。

SU-METAL そうですね。“紅”、“蒼”に次いで今回は“白”。音がかなり明るくて、ワクワクします。

MOAMETAL ギターの音色とかね。

SU-METAL 「シャンシャンシャン!」みたいなイメージ。これまでのメロスピは走ってる感じだったけど、今回はさわやかさも感じます。

──SU-METALさんが作詞したんですよね。

SU-METAL はい。歌詞はシンプルで短いフレーズを意識しました。“白炎”は“白い太陽”がテーマ。太陽は直視できないけど、その光を見たいって気持ちをメロスピで表現したくて。うまく伝わったらいいなと思います。

SU-METAL

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──ライブのクライマックスを飾る曲というイメージも湧きました。

SU-METAL エンディング感、かなりありますよね。

MOAMETAL 一緒に歌えるパートもあるから、みんなで歌いたいな。でもちょっと難しいかも(笑)。

SU-METAL 聖歌隊みたいな合唱だからね。

MOAMETAL メロスピはハイトーンが肝だと思うんです。この曲でもSU-METALのハイトーンがバッチリ効いてて、きっと生で聴いたら鳥肌ものだと思います。

国ごとに違う盛り上がり、日本は?

──ライブで楽曲が育つ感覚はありますか?

一同 はい。

──Electric Callboyが「フーフー」に納得した話がありましたが、ファンの反応がパフォーマンスなどに変化をもたらしたことはあるんですか?

SU-METAL 「メタり!!」には、間奏でお客さんを座らせて「Are you ready?」のかけ声で一斉に立ち上がってもらう演出があるんです。最初は戸惑っている人もいたけど、今ではお客さんの息もぴったり。フェスだと初めての人も多いのに、ファンの方が声をかけ合って、一緒にライブを作ってくれてる感じがします。

MOMOMETAL 私は「メタり!!」の口上で、海外の人が「メタリ!!」って叫んでくれるのがすごく好きです。ブラジルのワンマンでは、口上が終わる前から「メタリ! メタリ!」ってみんな叫んでて、めっちゃ面白かった(笑)。

SU-METAL 「あれ、今このタイミングなの?」って尺を間違えそうになった(笑)。

MOAMETAL どうしても叫びたかったんだろうね(笑)。

MOMOMETAL 日本のファンは曲に忠実で、「メタリ!」の口上が終わるいいタイミングまで待って一気に盛り上がる感じ。ブラジルの方の前のめりな感じは新鮮でした。

MOAMETAL 「メギツネ」も海外だと我先に「舐めたらいかんぜよ」を叫び出すのが面白い(笑)。

MOMOMETAL 国ごとの反応の違い、ホントに楽しいよね。

SU-METAL ブラジルは熱量がすごくて。ひたすら叫びたいんだろうな(笑)。

MOAMETAL ほかには「Monochrome」が特に変わったかな。正直、ライブでこんなに欠かせない曲になるとは思わなかったです。日本だと「THE FIRST TAKE」で浸透したけど、海外でファンの方が涙ぐんでいたり、スマホのライトを照らしてくれたり、心がひとつになる瞬間がめっちゃうれしかったです。

──国によって盛り上がり方が違う曲はほかにもありますか?

MOAMETAL 「Time Wave」かな。海外の人は手を左右に振るけど、曲の感じとちょっと違うノリで面白い(笑)。「METAL FORTH」で新曲が増えるから既存曲を披露する機会は少し減るかもしれないけど、「Time Wave」はファンの反応が二極化してて今後どうなっていくのかが楽しみです。

MOMOMETAL うん。反応がどうなっていくのかを見るのも楽しいよね(笑)。

SU-METAL そういえば、「メギツネ」で床に座ってオールを漕ぐような動きをする人たちがいるよね(笑)。

──バイキングメタル特有の動きを取り入れたのかもしれませんね。

MOAMETAL なるほど。ということは、Sabaton(スウェーデンのパワーメタルバンド)と競演してから、そういう流れができたのかもしれませんね。

MOAMETAL

MOAMETAL

──では、日本でのライブならでの魅力は?

MOAMETAL 日本のライブは一体感がすごい! 日本語の曲が多いから、やっぱり日本のファンが一番の理解者で、合いの手や盛り上がるポイントをバッチリわかってくれてます。「ここはこう盛り上がったら楽しいはず」という私たちの思いに忠実に応えてくれるイメージ(笑)。「タオルを振って!」と言えばすぐ振り回してくれるし、忠誠心って言うのかな?(笑) それがめっちゃ伝わります。

MOMOMETAL 「METAL KINGDOM」リリース直後の幕張メッセのワンマンで、ファンの皆さんが音源をしっかり聴いてくれたのがわかったし、「ここで『おおおー!』って言うんだ!」っていう団結力を感じました。日本ならではの一体感だと思います。

MOAMETAL 日本のファンはすごいから、私たちが日本で不安になることは1mmもないです。

SU-METAL ライブをしてて安心するよね。応援してくれるファンが日本にもいてくれているから、海外でも活動を続けることができているので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

BABYMETAL

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プロフィール

BABYMETAL(ベビーメタル)

SU-METAL(Vocal, Dance)、MOAMETAL(Scream, Dance)、MOMOMETAL(Scream, Dance)からなるメタルダンスユニット。2010年に結成され、メタルとJ-POPを融合した独自のスタイルで世界的に注目される。2014年に東京・日本武道館での2DAYS単独公演を女性アーティスト史上最年少で開催。1stアルバム「BABYMETAL」が全米ビルボードチャートにランクインし、初のワールドツアーで世界に衝撃を与えた。2016年、2ndアルバム「METAL RESISTANCE」をリリースし、全米ビルボードチャートTOP40に日本人アーティストとして53年ぶりにランクイン。同年4月にイギリス・ウェンブリーアリーナで日本人初のワンマンライブを開催し、9月に東京・東京ドーム2DAYSで計11万人を動員した。2019年、3rdアルバム「METAL GALAXY」を発表し、さらなるジャンルの融合を実現させ、世界中のファンを魅了。2021年に結成10周年を記念し、ベストアルバム「10 BABYMETAL YEARS」をリリース。2023年、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの新体制となった新生BABYMETALは、ワールドツアーでは欧米や南米やアジアの大型フェスに出演し、Electric CallboyやBring Me The Horizonなど多様なアーティストとのコラボで話題になる。2025年、アメリカにBABYMETAL WORLD LLCを設立し、キャピトル・レコードとパートナーシップを締結した。海外展開を強化する中、8月8日に4thアルバム「METAL FORTH」を全世界同時リリース。