アルカラは音楽のテーマパーク

──アルバムはラストの「ドナドナドーナツ」で感動的に幕を閉じますけど、実はその後に最強のぶっ壊しが控えていますよね。そういうことができるのも実にアルカラらしい。

稲村　毎回やってるシークレットトラックですね。「こんなんいらんで！」っていう人もいらっしゃるとは思うんですけど、僕はそういう蛇足的なところが面白いと思うんですよ。自分らで作ったカッコいい流れを、自分らで壊せたらまたそれも一興じゃないですか。なので今回も堂々とやってみました。

──そういう蛇足的なものに面白さを見出す感覚は他のメンバーの皆さんも共有しているんですか？

下上　蛇に足を書いてくるのはこの人（稲村）なんですけど、もはやなんの違和感もないですね。実際は何も考えてないくせに考えてる風な感じの発言をよくするんで、「うわ、ここにはめっちゃ深い意味があるんちゃうかな」と思ってとりあえず受け入れるっていう。で、まったく深い意味がない場合もあるし、何も考えてなかったけど結果的につじつまが合う場合もあるけど、どちらにせよ僕らは身を任せ続けるという。そういう感じでやってきてます（笑）。

──あははは（笑）。

稲村　なんか決まった枠にはとらわれたくないっていう気持ちがあるんでしょうね。アルカラの音楽はテーマパークみたいだ、みたいなことを言ってもらったことがあるんですけど、その表現がすごくしっくりきたんですよ。そこにはアトラクションもあれば屋台もあって、夜景が見えるスポットや休憩所もあったりする。そういう部分を音楽で表すことができたらいいなって。

──で、そのテーマパークにはさまざまなところに入口がありますよね。

稲村　あーそうですね。蛇足的な部分に引っかかってもらうのもありやし、シリアスな表情が好きっていってもらうのもうれしいですし。で、「今回はここらへんでメリーゴーランドフェアやってますよー！」みたいなこともあるし。

下上　何そのフェア（笑）。

──前作は“おとぎ話フェア”、今回が“大人なロックフェア”だったように。

稲村　そうそう。次はどんなフェアがあるのかなって気になってもらえたら、それはめっちゃうれしいですからね。

干支をひと回りした今のアルカラの“CAO”

──バンドとしての等身大を出せた本作に「CAO」というタイトルを付けたのはどうしてだったんでしょう？

稲村　結成12年で干支がひと回りした今、長く音楽を続けていくためにはいろんな側面を見せていけるバンドじゃないと駄目やなって思ったんですよね。で、50歳、60歳でステージに立つことを考えると、そこで演奏できるような渋さも今回のアルバムでは垣間見せることができたんじゃないかなと。そういう意味で、今後のアルカラの“顔＝CAO”になるだろうという意味を込めてこのタイトルにさせてもらいました。なんかね、12年やってやっと片足が地についたというか、やっとバンドとしての1ページ目が見つけられたなっていう感じがすごくしますね。

──冒頭で触れたレコ発ツアー「ガイコツアー 2014」は追加発表もされ、12月25日の神戸公演まで続いていきます。

稲村　「CAO」の曲たちはまだ生まれて間もないので、お客さんと一緒に育てていってる感覚がありますね。過去の楽曲を混ぜながらライブすることで、また聴こえ方が変わる部分もありますし。なので最近アルカラのことを知った方はぜひ過去の曲も知っていただいた上で遊びにきてほしいですね。で、「昔は好きやったけど最近調子に乗ってんじゃない？」みたいに斜に構えてる方々にはね、昔の気持ちも大事にやってる僕らの姿を改めて見てもらえたらなと（笑）。ひたむきに演奏するカッコよさを見せながらも、ふざけるところはできる限りふざけて。もしかするとポロリあるかもよ、みたいな（笑）。

疋田　毎回ツアーが終わるとその後にやりたいことがまた見えてきたりもするので、とりあえずはこの「ガイコツアー」を一生懸命楽しみながら成功させて、来年にいい形でつなげていきたいなと。