音楽ナタリー Power Push - 蒼井翔太
武道館を経て“Next Stage”へ
自分の中のリミッターを外した
──僕が映像を観ていて印象的だったのは、ライブのオープニングと中盤に挿入されていたムービーだったんですよ。そこでは蒼井さんの不安や苦悩みたいなものが赤裸々に吐露されていて。あそこもまた大きな見どころだと思うんですけど。
僕はけっこうマイナス思考なところがあるんです(笑)。で、普段はそういった弱さを見せる必要はない、見せたくないなって思っていたんだけど、武道館ではあえてみんなの前でさらけ出してみようと思ったんです。そうすることで、ここまでの人生を今にしっかりとつなげられる気がしたので。台本なんてなかったんですけど、自分の中のリミッターを外したら不思議とリアルな言葉がどんどんあふれてきたんですよね。で、それはほんとに正直な気持ちばかりだったから、みんなに見てもらうまでは苦しかったし、不安でしょうがなかったんですけど。
──今まで見せていなかった感情をさらけ出す怖さもあったでしょうし。
そうですね。でもライブであの映像が流れたときの反応を見て、フッと軽くなったような気がしたんです。僕のことをわかってくれている人たちが、こんなにたくさんいるんだなって思えたから。きっと誰しもが周りからどう見られているかが気になって不安になることってあると思うので、あの映像は自分に当てはめて見てもらってもいいんじゃないかなって思います。そうすればきっと、友達や家族をはじめ、自分のことを待ってくれている人たちのことを改めて大切に思えるようにもなるはずなので。そういった僕なりの願望も映像には込められていますね。
武道館で掲げた言葉をシングルに
──日本武道館でのライブには“僕たちのsign”というサブタイトルが付いていました。その意味についても伺っておきたいのですが。
はい。まず、メインタイトルに関して言うと、これから蒼井翔太が進む道にはまだまだ計り知れないほどに不思議で楽しいことが待っていると思うので、それをみんなと研究したいっていう思いから“WONDER lab.”というワードにしました。で、そういった道をみんなと一緒に歩んでいくためにはいったい何が必要なんだろうって考えたときに、一緒に過ごす時間の中で見えてくるであろう、なんらかの兆しをしっかりとつかみ取っていくことが大事なんじゃないかなって思ったんですよね。だから“僕たちのsign”ってサブタイトルを付けさせてもらいました。
──なるほど。そこで蒼井さんは確実になんらかの“sign”をつかみ取り、それを今回リリースされるニューシングルにもしっかりぶつけてきていますよね。2曲目に収録されている、ご自身が作詞作曲を手がけた「north star」にはズバリ「心が震える程に感じた僕らのsign」というフレーズが使われていますから。
わー、気付いてくれたんですね。ありがとうございます……っていうか、やっべ。武道館では“僕たちのsign”だったんだ。歌詞では“僕らのsign”って書いちゃった(笑)。わかりますよ、ね?
──完璧に伝わったので大丈夫です(笑)。
よかった!「sign」って言葉は狙って使いました。いつも同じ場所で変わらずに輝き続けている“north star=北極星”のように、僕もみんなの目の前で、心の中でいつも変わらずに輝く存在でいたいと強く思うようになったのが、あの武道館でのライブだったんですよ。この曲は、あの日があったからできたんです。だからこそ、武道館で掲げていた言葉は絶対に使うべきだと思ったんですよね。
──武道館でつかんだものを胸に、未来へ突き進まんとする新たな決意が明確に提示されていますもんね。ちょっと順番は前後しますが、「north star」のお話から先に聞いちゃいましょうか。
この曲は今まで自分で作ってきたものの中で一番アッパーな仕上がりになりましたね。僕の場合、曲作りを始める段階で書きたい思いが明確にあるので、サウンド感もすでに決まっているんですよ。今回に関して言えば、新たな決意の歌として今後のライブでも盛り上がるサウンドにしたかったので、必然的に疾走感のある感じになりました。
──歌声も力強いですよね。
自分でも難しい曲を作ったなって思っちゃいました(笑)。テンポが速いし、メロディの移り変わりもすごく激しいので。ただレコーディングはあっという間に終わりました。難しい曲だけど、悩んだりはしなかったです。そこはね、自分の中にある決意だったりを感情のままに歌える曲だったからだと思うんですけど。
──自分で作った曲であっても歌い方で悩むときがあるんですか?
ありますね。この曲のようにストレートにメッセージを放つタイプではなく、世界観を大切にした曲の場合だと、それを歌声でどう描くかっていうところでけっこう悩んだりするんですよ。正解を見つけるためにいろんな歌い方を試したりもしますしね。
──今回、歌詞の最後には「Next Stageへ連れて行くよ」というラインがあります。今の蒼井さんが思い描く“Next Stage”とはどんな場所なんでしょう?
そうだなー。僕は日々進化していたいと思っているので、それをしっかり見せることができる場所が自分にとっての“Next Stage”ではあると思います。ただ、あの出来事があったから今があるんだなっていうつながりがちゃんと見えることが僕にとってはすごく重要で。変化することは大事だけど、あまりにもガラッと変わってしまって、「あれ? 前の出来事はなんだったんだろう?」ってみんなが思ってしまうような“Next”はダメだと思うんですよね。
──なるほど。ひと足飛びに高いところへ行くのではなく、着実に足元をしっかり固めながら前へ進んでいきたいっていうことなんですね。
そうですね。ファンのみんなと共に歩いていく、みんなとの場所を守りたいと誓ったので、徐々に、でも確実に“Next”を見せていけたらいいかなって。基本的に僕は、時間はたっぷりあるっていう考え方なので(笑)、ゆっくりと、楽しい過去も振り返りながら進んでいけたらいいなっていう気持ちですね、常に。
──このタイミングで確実に言えるのは、武道館からの“Next Stage”がこのシングルになってるってことですよね。そのことは「north star」という曲が証明してくれています。
そうですね。ただ、武道館からの“Next Stage”は、これだけじゃ済まないとは思いますけどね。ふふふふ(笑)。
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- Blu-ray2枚組 / 7344円 / KIXM-253~4
- Blu-ray / DVD「蒼井翔太 LIVE 2016 WONDER lab. ~僕たちのsign~」 / 2016年10月19日発売 / KING RECORDS
- DVD2枚組 / 7344円 / KIBM-592~3
DISC 1
- Why, pessimistic?
- UNLIMITED
- SETSUNA DROP
- ユメノツヅキ
- 汝の言霊(きみのことば)
- spilt memories
- タッチ ツー テイク トリコ
- SHOT A LOVE!
- CLOSED
- NO WEAK⇔YES WEEK
- HEAVEN!
- 秘密のクチヅケ
- MURASAKI
- 月下の華
- 哀唄
- Brilliant Moon~月白炎(つきかげろう)~
- Virginal
- 天使の祈り
- 君のとなりで
- ブルーバード
- Melodia
- 絶世スターゲイト
- TRUE HEARTS
- 願い星
DISC 2
- SHOUTA AOI LIVE DOCUMENTARY ~make a lab.~
- ニューシングル「DDD」 / 2016年10月19日発売 / KING RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1944円 / KICM-91720
- 通常盤 [CD] / 1404円 / KICM-1720
CD収録曲
- DDD
- north star
- Endless Song
初回限定盤DVD収録内容
- 「DDD」MUSIC VIDEO
- メイキング収録
蒼井翔太(アオイショウタ)
2011年に声優デビュー。「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズの美風藍役で注目を集め、2016年1月にはTVアニメ「ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション」にて地上波アニメ初の主題歌と主人公役を演じた。2016年3月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。同年10月に武道館公演の模様を収めたライブBlu-ray / DVD「蒼井翔太 LIVE 2016 WONDER lab. ~僕たちのsign~」と、ニューシングル「DDD」を同時リリースした。