Anly|「これが私」と言える1stアルバム

白い「カラノココロ」と黒い「この闇を照らす光のむこうに」

──レコーディングはいかがでした? スキマスイッチさんと一緒に歌って。

面白かった。レコーディングに入るまでの時間も楽しくって。声出しを入念にしたり、かと思えば和気あいあいとトランプで遊んだり(笑)。そういうリラックスの仕方みたいなのも、そこで自然と知ることができたなと思って。制作のときから私が意見を言いやすいようにしてくださったりと、本当に感謝してます。

──曲が進んでいくとAnlyさんから大橋さんに声が入れ替わるのが自然にバトンが渡されるようで、レコーディングもそういう雰囲気だったのかなと想像しました。

Anly

まさにそういう雰囲気で録っていて。あの曲自体が「そんなにデュエットデュエットしないで、バランスの取れた形にしたいね」という感じだったので。自分の歌うところは責任持って歌う、コーラスのところはちゃんとコーラスをやるっていう。ボーカルとボーカルのぶつかり合いみたいにできたので、すごく楽しかった。録ったのが真夜中だったので、そのテンションもあって、面白かったです。

──Anlyさんはポジティブな歌が多くて、こういうテーマは初めてじゃないかと思うんですが。

ここまで暗めの曲はそうかもしれません。でも私は「カラノココロ」も暗い曲だと思っていて、そこから何か始まった気がしています。私の中では「カラノココロ」と、「この闇を照らす光のむこうへ」はつながってるんですよね。「カラノココロ」が白い人だったら、「この闇を照らす~」は黒い人みたいな。曲が人だったら向かい合ってるイメージ。「カラノココロ」からちょっとそういう、心の中にある黒いものに触りながら書いた気がします。

──その「カラノココロ」はいつ頃書いた曲ですか?

Anly

これは東京に来てからできた曲です、テレビアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のオープニングテーマとして書き下ろしたので。メロディはちょっとずつ頭の中の引き出しにはあったんですけど、そのクールでは新しい話が展開するので「私も何かチャレンジしてみたいなー」と思って、ストリングスのサウンドとか「笑顔」のとき以上にこだわってみました。アレンジャーさんもすごく若い方で、「このリズムとかドラムのノリとかはもっとアップなほうがいいな」とか「ストリングスには、むしろ歌えちゃうぐらい印象が強いメロディ感があったほうがいいな」とか、いろいろ意見を交換しながら詰めて詰めて書きました。今まで伊江島にいて、沖縄本島にいて、東京に来て、そこで吸収してきたものが全部凝縮された曲が「カラノココロ」だなと思っています。

──音楽のことだけでなく?

曲の中で、「心は繋がっているよ たとえ遠く離れても」って歌詞があるんですけど、東京にいてそう感じることが多いんです。東京なのに懐かしい香りの風が吹くときがあって、そういうときに限って家族や伊江島の友人から連絡が来たりする。その風の香りとか、ふと「つながってる」みたいなことを思ったときに「カラノココロ」の歌詞が出てきました。

高校生の頃に書いた「サナギ」「傘」「Enjoy」

──一方で「サナギ」「傘」など軽やかな曲もあって。

「サナギ」と「傘」は高校生のときに作った曲です。「早く発売したい!」って思って、私の中ではCDジャケットが決まってたぐらい(笑)。歌ってて、同年代の子が一番「いいね」って言ってくれる曲なので、今回入れられてうれしいです。

──高校生の頃の曲が、このアルバムには多いんですね。

Anly

なんなら全部入りきってない(笑)。すごく悩んで悩んでこの14曲です。

──「Enjoy」も?

「Enjoy」も高校生のときに作った曲です。急に、盛り上がりたい気分になって作った、勢いだけの曲(笑)。ライブでもこの曲は必ず演奏していて、みんなで盛り上がれる曲です。

──リフレインの「Go future」って歌詞、いいですね。「No future」ではなくて。

はい(笑)。もう行きましょう!って。

いつかはマルチプレーヤーに!?

──「だから」は、ちょっとしっとりした曲。

「カラノココロ」をシングルで出したときのカップリングではアコースティックバージョンだったんですけど、今回はバンドバージョンで。高校生のときに撮ったときと同じアレンジなので、セッションぽい雰囲気は残しつつ。あとから入れたストリングスでは壮大さを出しています。

──ではシングルに入っていたほうが新バージョンなんですね?

そうです。私、この曲を聴くと優しい気持ちになれるんです。「Enjoy」したあとに、休んでもいいかなって思って、この曲順にしています。

──次の「レモンティー」は歌詞もサウンドもかわいいですね。

Anly

実はこの曲は、初めて楽器を全部自分で演奏してるんです。初めてドラムにも挑戦して。スタジオのお兄さんに顔を覚えられるぐらい一生懸命練習しました。今回は河野(圭)さんにアレンジでちょっと手を加えていただいたんですけど、高校生のときに初めて家で自分で録音した曲でもあるので、ほとんどそのときと同じアレンジになっていて。今回やってみて、毎回アルバムを出すごとに、1曲は全部自分で演奏するみたいな曲があってもいいかなって思いました。

──それは自分で楽器をやるというイメージが?

いつかはそういうセルフプロデュースみたいなこともできたらいいなと思っていて、その第一歩として。全然下手くそなんですけど。でも、それはそれで温かみがあるかなって……エンジニアさんは大変だったと思いますけどね(笑)。河野さんもレコーディングに立ち会っていて「下手くそだなー」って言ってました(笑)。「初めてなんですもん!」とか言ったりして、すごい和気あいあいとしてました。

──山崎まさよしさんや斉藤和義さんも自分で全部演奏するときもありますけど、女性のマルチプレイヤーは珍しいかもしれないですね。

確かに。そこを目指していきたいと思います。宅録感というか、ポール・マッカートニーの、家でレコーディングしましたみたいなアルバム(1970年リリースの1stソロアルバム「ポール・マッカートニー」)があって、そういう雰囲気が出たらいいのになって思ってたんですけど、近付けたような気がして満足している1曲です。

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パワフルな後半

Anly「anly one」
2017年4月26日発売 / Sony Music Records
Anly「anly one」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3240円 / SRCL-9379~80

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Anly「anly one」通常盤

通常盤 [CD]
2916円 / SRCL-9381

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CD収録曲
  1. 太陽に笑え
  2. FIRE
  3. 笑顔
  4. この闇を照らす光のむこうに
  5. サナギ
  6. カラノココロ
  7. Enjoy
  8. だから
  9. レモンティー
  10. いいの
  11. Don't give it up!
  12. EMERGENCY
  13. Come back
初回限定盤DVD収録内容

Anly 1st Anniversary Live@SHIBUYA eggman(2016/11/25)

  • 太陽に笑え
  • Bye-Bye
  • いいの
  • Enjoy
  • EMERGENCY
  • カラノココロ
Anly 1st Live Tour 2017 “anly one”
  • 2017年6月9日(金)愛知県 ell.SIZE
  • 2017年6月10日(土)大阪府 knave
  • 2017年6月17日(土)東京都 原宿アストロホール
  • 2017年6月18日(日)沖縄県 桜坂セントラル
Anly(アンリィ)
Anly
沖縄・伊江島出身、1997年生まれの女性シンガーソングライター。幼少期から父親が持っていたロックやブルースのCDを聴き、ギターを弾いて過ごした。中学3年生から作曲をはじめ、2014年6月にmiwaの沖縄公演のオープニングアクトを務める。2015年8月にインディーズからシングル「Bye-Bye」をリリース。11月には関西テレビ・フジテレビ系ドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」の主題歌となるメジャーデビューシングル「太陽に笑え」を発表する。「NARUTO-ナルト- 疾風伝」のオープニングテーマ「カラノココロ」、スキマスイッチとのコラボ曲「この闇を照らす光のむこうに」といった話題曲を次々と発表し、2017年4月に1stアルバム「anly one」をリリースする。