音楽ナタリー Power Push - Anly
離島出身18歳シンガーソングライターの第一歩
聴いてくれた人が上を向いてくれたら
──自分へのメッセージはAnlyさんの楽曲に共通するテーマのような気がします。
そうですね、自分に問いかけて。
──どういうときに詞が生まれますか?
バス乗ってるときや、あと歩いてるときにできますね。
──今回リリースされる「太陽に笑え」は?
これは珍しくライブ中に歌ってるときに思いついたものです。沖縄でストリートライブをしてるときに。ちょうど目の前に太陽が来るような時間帯で、すごく眩しくて。そのとき「暑いなあ」と思いながら歌ってる自分に気付いたんです(笑)。なんかこう、自分が歌えてることへの感謝が薄れてるんじゃないかって思ったんですよね。自分が好きなことしてるのに。だから歌えることとかに、いつまでもありがとうって気持ちを忘れないでほしいなって気持ちがあって。あと自分が音楽の道を歩こうって決めたんだから、うまくいってもいかなくても、歩き続けるのをやめないでほしいって気持ちも込めています。だから「太陽に笑え」も自分の背中を押す曲でもあるし、聴いてくれた人への応援歌みたいな感じでもあります。
──「うつむかないで目線を上に」っていいですね。
聴いた人がこのフレーズを聞いて上を向いてくれたらいいなって思ってたので。そう言ってもらえるとうれしいです。
──「太陽に笑え」はポジティブな歌詞だけでなく力強いサウンドも印象的です。ブルースやルーツロックだけで完結する感じではないですよね。
はい。メロディを作るときはブルースとか、いつも聴いてきた音楽が自然に出てると思うんですけど、同世代の人たち、自分は今を生きてるわけで。昔の音楽ってすごい偉大だから、その偉大さも伝えたいけれど、それをどうやって伝えるかってなると、少し今風のエッセンスを入れて、そこにちょこっと自分のルーツが入ってると聴きやすくて「Anlyってこんな音楽聴いてたんだ」ってわかってもらえる。「Bye-Bye」とかも、すごく面白いメロディだなとか思ってくれたらうれしいな、とか。だから自分が昔から聴いてきた音楽だけをそのまま表現しようとは思わないし、新しいものもやっていかないと成長しないかなあと思ってて。だからちょっとずつちょっとずつ、いろんな曲のメロディとかに自分のルーツが出てると思います。だから「Come back」とかも、自分が意識せずとも沖縄の雰囲気が出てる、そういう感じで、表現できていったらいいなと思います。
──ロックと沖縄民謡のバイリンガル。「Come back」にはそれが表れていますね。
そう。言われるまで気が付かなかったんですけど、今まで聴いてきたものが自然に出るとその曲がより愛おしく感じますね。
──自己発見があった。
そう、自己発見が楽しい。「ここ、ブルーノートになってるんだな」とかってことは作ったあとで気付きます(笑)。
「太陽に笑え」は自分のテーマソング
──どんなふうに曲を書いていくんですか? 「こんな曲にしたいな」とか思いながら?
前は歌詞から書いていて、それに合うメロディを考えていたので。今はいろんな作り方を勉強していて、メロディから作るときは「元気になる曲を作ろう」とか。さびしいときに聴いたら元気になるような曲、聴く人に寄り添えるような曲、自分とも寄り添えるし、ほかの人とも寄り添える曲を作りたいというのはいつも思ってます。
──「太陽に笑え」は詞から?
そうですね。歌詞から作りましたけど、歌詞を書いてる間にメロディも出てきたので同時進行みたいな感じです。だから自分の中ではすごく不思議な感じでできていった曲なんです。
──「太陽に笑え」は、俳優の松坂桃李さんがライブに来て聴いて、彼が主演するドラマ「サイレーン」主題歌にピックアップしてくれたとか。
東京・Shibuya eggmanで「Bye-Bye」のレコ発をやったときに、アンコールで歌ったのが「太陽に笑え」で。自分も気持ちが入るし、また次もがんばろうと思える曲なので最後に歌おうと思って、アンコールで歌って。そしたら終わったあとで松坂さんが楽屋に来てくれて。「すごいカッコいい曲でした」って言ってくれて。ああうれしい、歌ってよかったって思いました(笑)。そのあとでドラマの主題歌に決定しましたって。すごく驚きました。
──「太陽に笑え」がシングルになったことはどう感じていますか?
すごくうれしいです。この曲をドラマの主題歌に選んでくださったことにすごく驚いてますし、自分にとっても本当にテーマソングみたいな曲なので。今から自分が思ってた、歌を歌って生きていく道を歩くぞっていう宣言みたいな曲なので、これが選ばれて本当にうれしい。デビュー曲が「太陽に笑え」だと、みんなにエールを送れるようなシンガーソングライターになるぞっていう気持ちを出せるし、うれしいです。
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- メジャーデビューシングル「太陽に笑え」 / 2015年11月25日発売 / Sony Music Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / SRCL-8938~9
- 通常盤 [CD] 1258円 / SRCL-8940
CD収録曲
- 太陽に笑え
- Don't give it up! feat.Gabrielle Aplin
- Come back
- 太陽に笑え-instrumental-
- Don't give it up!-instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
- 太陽に笑え Music Video
- Coming Soon Movie~伊江島~
Anly(アンリィ)
沖縄・伊江島出身、1997年生まれの女性シンガーソングライター。幼少期から父親が持っていたロックやブルースのCDを聴き、ギターを弾いて過ごした。中学3年生から作曲をはじめ、2014年6月にmiwaの沖縄公演のオープニングアクトを務める。2015年8月にインディーズからシングル「Bye-Bye」をリリース。11月には関西テレビ・フジテレビ系ドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」の主題歌となるメジャーデビューシングル「太陽に笑え」を発表する。