音楽ナタリー Power Push - androp

ありのままの自分たちを表現するために

「俺の前には1人もいないけど、この中には1万人以上のお客さんが入ってるんだな」

──昨年3月の代々木第一体育館でのワンマンライブで内澤さんがMCで話していた、代々木競技場の横にある歩行者天国で路上ライブをやっていた時期というのは、同じくらいの頃ですか?

7月12日に東京・新代田FEVERで開催された、ライブハウスツアー「one-man live tour "angstrom 0.7 pm"」のセミファイナル公演の様子。

内澤 そうですね、僕1人で。メンバーを探しながら、自分の歌ももっと磨かなきゃなって。代々木公園のあそこは、今もストリートミュージシャンのメッカなのかな? 休みの日はいっぱいいたんですよ。5mおきとか、音が混ざり合っちゃうくらいの近さで(笑)。でも、自由にやれる場所だった。あと、人前に出るのがすごく苦手だったので、度胸をつけるためにもちょうどいいと思って。

──逆療法みたいな。

内澤 ですね。過酷な場に自分の身を置いたら、ちょっとは強くなれるかなと。誰もが知ってるミュージシャンが目の前の代々木第一体育館に出入りしてるのを見てたし、「俺の前には1人もいないけど、この中には1万人以上のお客さんが入ってるんだなあ」なんて感じたりしてましたよ。

──andropと交流のある[Alexandros]も同じく代々木公園でやってたんですよね。

前田 あー、そうか! フリーライブもやってましたよね。

内澤 その当時に路上で出会ってたとか、そういうわけではないんですけどね。

前田 去年対バンしたときは、僕らのことを気にして誘ってくれたみたいで、うれしかったです。

アンコールで「Image Word」をやったことが今の自由度に続いてる

──代々木第一体育館でのライブ(参考:androp代々木第一体育館に1万人、光と音が舞う歓喜の光景)のあと、バンドはどうなってきていますか?

7月12日に東京・新代田FEVERで開催された、ライブハウスツアー「one-man live tour "angstrom 0.7 pm"」のセミファイナル公演の様子。

内澤 代々木で「もっと自由になれるな」って思ったんですよね。今までの僕らは緻密に練ったものをステージで出してお客さんを楽しませたいという考えだったんですけど、あの日のアンコールで、予定してなかった「Image Word」を急きょできたことによって、さらに1万人と気持ちを共有できた。その体験がすごく新しくて、感動的だったんです。そこからは、どんどん自由になってきてますね。「Image Word」が4人で初めて音を合わせた曲だったのも大きくて。

前田 ステージ上で話し合って決めたんだよね。周りのスタッフに俺が言いに行ったもん、「もう1曲やりたい!」って。

伊藤 そうそうそう(笑)。

佐藤 スタッフはもうバラし始めてて。

内澤 「え? アコギでやるの? エレキ?」みたいな感じで、さすがに慌てたよね。

──スタッフからダメとは言われなかったんですか?

前田 大丈夫でした。やっぱり、あのときのことが今の柔軟性に続いてるよね。つい最近までやってたツアー(「one-man live tour ”angstrom 0.7 pm”」)は、セットリストも全公演ガラッと変えて、すごく糧になった。

佐藤 当日ライブハウスに入って、その雰囲気に合わせてセットリストを変えちゃうとかね。本番でも予定していたセットリストとは違うけど、絶対こっちの方が今日このライブには合っている!と思ったらその感覚を優先したり。ライブスタッフがそれに対応できるほどの方たちだったってこともあるし、何よりも、僕らを理解してくれているからこそ実現できたことだと思う。

7月12日に東京・新代田FEVERで開催された、ライブハウスツアー「one-man live tour "angstrom 0.7 pm"」のセミファイナル公演の様子。

前田 この業界で長年やってる人に「こんなにセットリスト変える奴ら、初めてだ」って言われました(笑)。60曲をいつでも演奏できるフレキシブルな状態は、過去の僕らにはなかったですね。

──そのくらい自由になってきてるんですね、実際。

伊藤 そうですね。でも、自由を手に入れるためには今までやってきたことが崩れないようにするのも大事で、代々木のあとに何をしてきたかっていうと、バンドの基礎体力を上げることをずっと続けてきた気がします。期間が空けば、曲を忘れていっちゃったりするものじゃないですか。逆に言うと、こうやって曲数がたくさんできてるのは、基本的なアンサンブルや個々の演奏において何を大切にするのかとか、バンドとしては歌を聴かせたいとか、共通認識を少しずつ作れてたからかなって。自由にやりたい分、土台固めみたいなのをしてきたからこそ、いいツアーを回れたと思いますね。

ニューシングル「androp」/ 2015年8月5日発売 / unBORDE
「androp」
初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / WPZL-31063~4
通常盤 [CD] 3240円 / WPCL-12178
CD収録曲
  1. Yeah!Yeah!Yeah!
  2. From here
  3. Shout
  4. Answer
  5. Paranoid
  6. Star
  7. Dreamer
  8. Alternative Summer
  9. Letter
  10. Corna
  11. Ghost
  12. Run
  13. Songs
  14. You Make Me
初回限定盤DVD
  1. From here(studio live)
  2. Paranoid(studio live)
  3. Letter(studio live)
  4. Yeah!Yeah!Yeah!(studio live)
初回限定盤のみ

特殊デジパック仕様
最新のスタジオライブ映像を収録したDVD付2枚組

androp(アンドロップ)
androp

内澤崇仁(Vo, G)、佐藤拓也(G, Key)、前田恭介(B)、伊藤彬彦(Dr)の4人組ロックバンド。2009年12月に1stアルバム「anew」でデビュー。緻密なサウンドアプローチと多角的な音楽表現のみならず映像作品やアートワークでも注目を集めており、フランスのカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル、アメリカのOne Show Designなど国内外のアワードを受賞している。2014年3月に発売された3rdフルアルバム「period」はオリコンデイリーランキング初登場トップ5入りを記録し、同月末に東京・国立代々木競技場第一体育館で行われた初のアリーナ単独公演はソールドアウトとなって1万人を動員。映像、音響、照明が三位一体となったスペクタクルなステージパフォーマンスも大きな注目を集めている。2015年5~7月にかけては、バンド史上最多となる36都市39公演の全国ライブハウスツアーを開催。8月5日には、三ツ矢サイダーのテレビCMソング「Yeah!Yeah!Yeah!」や、ドラマ主題歌となった「Shout」「Ghost」、昨年世界公開された映画「アップルシード アルファ」の挿入歌「You Make Me」ほか話題曲を含む全14曲入りのニューアルバム「androp」をリリース。映画やドラマの主題歌を数多く手がけるなど、その活動は多岐にわたる。