音楽ナタリー Power Push - 安藤裕子×スキマスイッチ

デビュー12年の“同期”と楽曲提供、歌、アレンジまで360°(ぜんほうい)音楽談義

安藤裕子がニューシングル「360°(ぜんほうい)サラウンド」をリリースする。開放感のあるメロディと夏の始まりを鮮やかに描いた歌詞が1つになったこのシングルの主題曲は、スキマスイッチが書き下ろした極上のポップチューン。実は安藤とスキマスイッチはデビュー日(2003年7月9日)が同じ。昨年の夏に音霊 OTODAMA SEA STUDIOで共演し、FM802の番組で5週にわたって音楽観を語り合うなど、交流を深めてきた両者の初のコラボ曲が「360°サラウンド」というわけだ。

今回音楽ナタリーでは、安藤とスキマスイッチの対談を企画。デビュー当初の思い出から「360°サラウンド」の制作について、歌やアレンジに関する考え方までを語り合ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 笹森健一

アフロヘアと普通の髪の毛の2人組がいて「あ、スキマスイッチだ」

──安藤裕子さんとスキマスイッチはデビュー日(2003年7月9日)がまったく同じですよね。実際に知り合ったのはいつ頃なんですか?

安藤裕子 私はデビュー前から知ってたんですよ。

大橋卓弥 デビュー前から?

安藤 そう。BMG(現アリオラジャパン / スキマスイッチの所属レコード会社)に知り合いの方がいて、デビュー前に音源をいただいたので。

大橋 「DEMO TRACKS」(デビュー前、関係者に配られたデモ音源集)ですね。

安藤 そのとき「2人組で、1人はアフロなんだな」って思って(笑)。実際に会ったのはデビューしたあと。初めてのラジオでのプロモーション活動のときに見かけたのが最初かな。アフロヘアと普通の髪の毛の2人組がいて「あ、スキマスイッチだ」って。

常田真太郎 それは僕らも覚えてます。こっちも「安藤裕子さんがいるね」って話してたから。

左から安藤裕子、大橋卓弥、常田真太郎。

安藤 あ、ホント? 私のこと知ってました?

常田 知ってた知ってた。ただ、こう言っちゃナンだけど、近付きがたいオーラがあって……。

安藤 (笑)。最初のミニアルバム(「サリー」)のジャケットが顔面の寄りだったからかな。

常田 (笑)。アーティスティックな方なんだろうなって。僕もそうですけど、卓弥がすごく聴いてたんですよね。「ドラマチックレコード」を聴いて、「すごい! なんてこったい!」ってなって。

大橋 そうそう。その頃僕は、うだつが上がらない男と2人暮らししてたんですけど……。

安藤 芸人みたい(笑)。

大橋 (笑)。彼も音楽をやってたんですよ。うだつは上がらないんだけど車を持っていて、その車の中でずっと聴いてたんです、安藤さんの曲を。とにかくオシャレだし、独特のメロディラインも印象的で。あとはやっぱり声ですよね。“一聴惚れ”して、ホントによく聴いてました。

安藤 そうなんだ……。

大橋 「Middle Tempo Magic」(1stアルバム)が出たときは、ちょうど「奏(かなで)」を書いてたんですよね。ボロボロのアパートで。

安藤 カッコいい。ボロボロのアパートであんな売れる曲を書くなんて、サクセスストーリーじゃない?

常田 結果論だけどね(笑)。安藤さんのアルバム、渡辺省二郎さんがエンジニアだったじゃないですか。僕は省二郎さんの音がすごく好きだったから、そこにも興味を引かれて。あと、当時から山本隆二さんがアレンジャーとして参加してましたよね? 隆二さんが在籍していたDIXIE TANTASも聴いてたし……。

安藤 DIXIE TANTASを知ってるのはすごいね。

常田 友達のドラマーがDIXIE TANTASに入りかけたことがあるんですよ。それから、安藤さんはビジュアルのコーディネートも自分でやってるって記事で読んで、それもすごいなって思って。

大橋 MVを自分で撮ったりね。

安藤裕子 ニューシングル「360°(ぜんほうい)サラウンド」 / 2015年7月29日発売 / 1080円 / cutting edge / CTCR-40370
「360°(ぜんほうい)サラウンド」
収録曲
  1. 360°(ぜんほうい)サラウンド
  2. うしろゆびさされ組
  3. 360°(ぜんほうい)サラウンド Inst.
  4. うしろゆびさされ組 Inst.
安藤裕子(アンドウユウコ)
安藤裕子

1977年生まれのシンガーソングライター。2003年にミニアルバム「サリー」でメジャーデビュー。2005年、月桂冠「定番酒つき」のCMソングで話題になった「のうぜんかつら(リプライズ)」を含む2ndアルバム「Merry Andrew」が12万枚のヒットを記録。類い稀なソングライティング能力を持ち、独特の感性で選ばれた言葉たちを熱量の高い歌に乗せる姿で支持を集める。アートワークやメイク、スタイリングまですべてを自分でこなし、その多才さから2014年には映画「ぶどうのなみだ」のヒロイン役に抜擢され、本格的な演技にも初挑戦した。2015年7月にスキマスイッチ書き下ろしによるシングル「360°(ぜんほうい)サラウンド」をリリースする。

スキマスイッチ
スキマスイッチ

大橋卓弥、常田真太郎のソングライター2人からなるユニット。2003年7月にシングル「view」でデビューして以降、「奏(かなで)」「全力少年」 などヒット曲を次々と生み出す。2013年7月9日にデビュー満10周年を迎え、同年8月には初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」を発表した。2014年には「Ah Yeah!!」「パラボラヴァ」「星のうつわ」とシングルを立て続けに発表し、12月にはセルフタイトルを冠した約3年ぶりのオリジナルアルバム「スキマスイッチ」をリリース。アルバムを携えた全国ツアー追加公演「スキマスイッチTOUR2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL」日本武道館公演の模様を収録したライブアルバムが2015年10月に、ライブBlu-ray / DVDが同年11月に発売される。