「デザイナーズマンション」は安藤さんの「眠りの家」を聴いて作った

──2組が話をするようになったきっかけは？

常田　卓弥が話しかけたのがきっかけじゃない？ サインももらって。

安藤　テレビのときだよね。大橋くんが楽屋に来てくれて、サインしてほしいって……。でも、その直後にほかの出演者の人にもサインをもらってなかった？ 「サインをもらうのが好きな人なんだな」って思ったから。

常田　女性アーティストにサインをもらうのが好きな人（笑）。

大橋　いやいや、それは誤解です（笑）。ほかの人にはサインもらってません。

安藤　（笑）。その後、ライブにも来てくれて。

大橋　当時、安藤さんのライブは沖山優司さんがベースを弾いてたじゃないですか。僕らも沖山さんにはお世話になっていて、安藤さんのライブに誘ってくれたんですよ。そのときも楽屋に行かせてもらったんですけど、ド緊張して、全然話せなくて。僕、そういうときの人見知りがすごかったんですよね。しかも永作博美さんもいらっしゃってて、余計に「俺なんかが来るんじゃなかった」って（笑）。

安藤　私もスキマさんのライブに行かせてもらったけど、挨拶するくらいだったかな。常田くんに関しては、フェスで会ったときに挨拶しても、うなずくだけで声も出してくれなくて。

常田　いやいや、僕の声が聞こえてないだけです。

大橋　シンタくん、声が小さいからね（笑）。だから、ちゃんと話したのは去年の音霊のとき（「安藤裕子×スキマスイッチ ～10周年スペシャルジョイント～」）だよね。

安藤　そうだね。「せっかく同じ日に出るんだから一緒に何かやりましょう」という話をして、お互いの歌を歌ったんですよ。私は「全力少年」を歌わせてもらって。

大橋　自分たちのステージでも「全力少年」をやって、さらに安藤さんを呼んでもう1回やって。

常田　その日は「全力少年」を2回やったんだよね。安藤裕子さんバージョンとスキマスイッチバージョン。

──スキマは何を歌ったんですか？

大橋　「眠りの家」ですね。

常田　原曲のキーでね。

安藤　そうそう。で、そのままスキマさんの曲につなげて。代官山のマンションの歌だよね。

大橋　「デザイナーズマンション」ね。あの曲は安藤さんの「眠りの家」を聴いて作ったんですよ。

──え、そうなんですか？ だいぶイメージが違うような……。

大橋　テンポも雰囲気も違うんですけど、「デザイナーズマンション」のコード進行で「眠りの家」も歌えるんです。オマージュですよ？ パクったんじゃなくて。

常田　もしくはリスペクトね（笑）。

安藤　2つの曲をうまい具合に混ぜてたんですよね。（「デザイナーズマンション」を）大橋くんが歌い出したら、スキマさんのファンの皆さんが「キャーッ！」ってなって。

常田　僕らにとっても夢のコラボでした。特に卓弥はそうだよね？

大橋　うん。そのときの打ち上げでも話をしたし、ラジオ（FM802「Walkin'Talkin' -徒然ダイアローグ-」）でも対談させてもらって。

安藤　常田くんの悲しいクリスマスの思い出も聞きました。

常田　そんな話もしましたね（笑）。

「お、もうオファーが来た！」

──会話するようになってからは、音楽の話もしてたんですか？

大橋　音楽の話はそんなにしてないかな？

安藤　うん。2人は音楽好きだけど、私は日常生活の中にそんなに音楽がないから。パーソナルな話の中に、音楽のことが出てこないんですよ（笑）。

──お互いにSUPER BUTTER DOGが好きっていう共通点はありますけどね。じゃあ、曲作りの話とかもしなかった？

安藤　あんまりしてないかな。ただ、私はずっと1人だから「2人で作るってどうやるんだろう？」ってずっと謎だったんですよ。特に歌詞って1人の心の内側の話だったりするので、それを2人で共有するってどういうこと？って。

大橋　なるほどね。

安藤　私は1人の世界だし、いつも自分と話してるような感じなんですよ。そうするとだんだん「自分、嫌い」みたいな感じになってくるというか。ここ数年、自分という存在に疲弊してしまうこともあったし。「歌う自分って何かしら？ 私、なんで歌っているのかしら？」みたいなことも感じていたんですけど、そういうときにディレクターが「人に曲を作ってもらって、それを歌ってみたら？」って言い出して、私も「いいな」って思ったんですよね。

──それが今回のコラボレーションにつながった、と。

安藤　ラジオの対談のときにも「一緒に何かできたらいいね」という話はしてたんです。で、「スキマスイッチ、書いてくれるんじゃない？ 聞いてみよう」という話になって。

常田　そういう話って頓挫することが多いんですけど、「お、もうオファーが来た！」っていう。

安藤　「今度ごはんでも」で終わらせるんじゃなくて、「来月、ココとココが空いてるんですけど、どうですか？」くらいの積極性でしたね（笑）。