et-アンド-「宵宵」インタビュー|初の失恋ソングの聴きどころ、グループ内の変化、ステップアップのための課題とは (2/2)

4人の相性が奇跡的にいい

──4人で意見がぶつかることはないんですか? 真剣に活動に取り組んでいるからこそ、考えが違ってくる局面も出てきそうですが。

栗本 うーん、いわゆるケンカっていうのは一度もないですね。もちろん意見が違ってくることはありますよ。「それはこうしたほうがいいんじゃない?」と言い合ったり。

モラレス 私はわりとバシバシ言うほうなんです。「こっちのほうがカッコいいと思うけどな」とか、「そこはちゃんと事前に連絡してよ」みたいに。でもそれはグループをよくしようと思っての発言だし、それが原因で揉めるってことは一切ないです。風通しはめちゃくちゃいいですよ。

栗本 前よりも、言いたいことが言える間柄になったかもしれない。デビュー当時は遠慮していたというか、今みたいになんでもかんでも相談できる感じじゃなかったんですよ。それは私の引っ込み思案な性格が原因なんですけど、今だったら3人に対して恥ずかしいなんて感じないですからね。

栗本優音

栗本優音

野島 セットリストを決めるときなんて、意見がぶつかることはしょっちゅうです。「この曲から盛り上げブロックにしたほうがいいんじゃない?」「いや、この曲はもっと頭に持ってきたほうが私はいいと思う」って。でも、それは何も考えず思いつきで言っているわけじゃないんです。4人それぞれ、こだわるポイントが微妙に違うんですよ。

──そういうときは、リーダーの野島さんがビシッと方向性を決めるんですか?

野島 いや、そうではなく、A案、B案、C案と実際にリハでやってみるんです。それでしっくり来た方法を民主的に採用するというのがet-アンド-のやり方です。

山崎 そういう決め方でスムーズに進むのも、この4人だからだと思います。

野島 なんて言うのかな……とにかく相性が奇跡的にいいんですよ。「今はかまってほしくないときなんだろうな」「今はズケズケ言っても大丈夫なタイミングかな」みたいなフィーリングの部分がお互いにわかりやすいんです。4人の性格は決して似ていないので、意見が違うのは当たり前。だからこそ相手のスタンスに歩み寄れるし、相手から吸収できることもいっぱいある。この4人じゃなかったらできていないet-アンド-の表現ってたくさんあると思います。

──「もっと歌割が欲しい!」とか「たまには私もポジションゼロに立ちたい!」みたいな内部でのライバル心もないんですか?

栗本 えー、それは考えたこともなかったな……。

野島 「目立ちたいからサビを歌わせてほしい」という話には最初からならないですね。それよりも「このパートは私の声のトーンに合っているから担当させてほしい」という会話が多いかもしれない。どうしたら自分がet-アンド-に貢献できるかをそれぞれが考えているし、適材適所という感じですね。「ラップだったら、きあらに任せる!」とか。お互いのことをリスペクトしているのが大きいんだと思います。

野島樺乃

野島樺乃

さらにステップアップするための課題は

──現在、東名阪ツアー「treat tour 2022」の開催中ということですが、手応えはいかがですか?(※インタビューは10月中旬に実施)

モラレス 最初が名古屋で、その次が大阪だったんですけど、実はその間でセットリストを変えたんですよ。常に試行錯誤しています。より盛り上がるライブにしたいという気持ちが当然ありますし、名古屋と大阪、どっちも観に来るという方もいらっしゃって。そういう方に対しても新鮮なパフォーマンスを見せられるように、ミーティングを重ねているんです。

野島 ファンの方が期待している以上のものを届けたいという気持ちがあるし、それとは別に、同じことをずっと続けていたら、結局、私たち自身が成長できないと考えているんです。1つのライブの完成度を高めるなら同じセットリストを続けたほうがいいのかもしれないけど、勝負に出ないとグループとしてのレベルが上がらないので。私たち、ここで満足する気はないんです。

山崎 最近、et-アンド-のライブでは煽りを多く入れているんです。ファンの方もそれに応えて手拍子をしてくださったりして、ライブならではの一体感が前よりも増している実感があります。

──et-アンド-はデビュー当時から「売れたい」という思いを堂々とアピールしていました。着実にステップアップしているはずですが、さらに世間にグループの存在を届かせるためには何が課題になると思いますか?

モラレス Z世代に刺さるようなグループになることを意識すると、やっぱりSNSの発信力という話になると思います。楽曲がTikTokでバズるパターンも増えていますし、拡散されているかどうかがわかりやすく数字で見える世界だからこそ、そこはどうしても課題になりますよね。

モラレスきあら

モラレスきあら

栗本 私も同意見! 「同世代の女の子に共感してもらう」というグループのコンセプトを考えると、やっぱりSNS抜きでは語れないと思うんですよ。私自身、TikTokのアカウントを作ったときは300人くらいしかフォロワーがいなかったけど、一人二役のコントみたいな動画を投稿し続けたら急にフォロワー数が増えたんです。投稿数を増やすのは基本だけど、やっぱりアイデア次第だと思うんですよね。可能なら「宵宵」を使ったVlogとかも仕掛けていきたいです。

──そういえば、et-アンド-のYouTubeはコメント欄に外国の方が多いですよね。どうしてなんですか?

野島 そこは謎なんですよ。デビュー曲「#tokyo」のときから外国の方の書き込みが多かったけど、特に海外向けに寄せているわけでもないですし。

栗本 ちょっと心当たりがあるのは、Instagramのリール機能です。どういう理屈かはわからないんですけど、インスタのリールってTikTokとかに比べて海外に広まりやすいんですよね。英語圏だけじゃなくて、世界中の言語でコメントが書き込まれていて。今はYouTubeだけじゃなくTwitter、Instagram、TikTok、そしてその中のストーリーズやリールも含めて全部が重要。どれも手を抜けないって焦っちゃいますね。

野島 うーん、でもなあ……。結局、バズることがゴールじゃないと思うんですよね。バズったあとにどうなるかが大事じゃないですか。例えば今ってサビしか知らないような曲が増えてますよね。たぶんそれは、印象深いところがSNSで切り取られて拡散されるからだと思うんです。でも私たちアーティスト側からすると、「それでいいの?」という疑問がどうしても残るんですよ。et-アンド-の曲は熱意を込めて作っているので1曲通して聴いてほしいですし、グループのこともちゃんと知ってほしい。「サビだけどこかで聴いたことがある曲」で終わるのは寂しいんです。もちろんSNSに力を入れることには私も賛成なんですけどね。

モラレス 確かにね。注目を浴びてバズりたいのは本音だけど、すぐに飽きられたくもない。

野島 うん。そう考えると結局、メンバー4人それぞれの魅力やグループとしての地力がないと「バズったあと」が続かないんじゃないかな。SNSでの“きっかけ作り”も大事だけど、地道に足元を固めることも疎かにしちゃいけない。いずれにせよ、しっかり考えて活動しないとダメですね。

モラレス ここまで戦略的に考えているリーダーがいて心強いです(笑)。

野島 あとバズる現象って、要するに大勢の人によって拡散されるということじゃないですか。つまり私たち側の努力だけじゃどうにもならないんですよ。この「et-アンド-バズリ大作戦」には、ファンの皆様の力がどうしても必要です。引き続き、力強い応援をよろしくお願いします!

──ところで今さらですけど、et-アンド-って分類としてはアーティストなんですか? それともアイドル?

山崎 それについては、結成当初からよく聞かれるんですよ。私たちの間でも話し合います。

山崎カノン

山崎カノン

野島 一応、立ち位置としてはアーティストだと考えています。とは言え、わざわざ自分たちのほうから「私たちはアイドルじゃありません。アーティストです」と主張することもないと思っていて。だってそれは見る側の自由であって、もし私たちのことをアイドルだと感じてくれたのなら、ムキになって否定することはないと思うんですよね。

──メンバーのビジュアルがいいのは事実だし、元アイドルの2人はその当時からのファンもいるでしょうしね。

野島 アイドル的に応援してくださる方にも「ありがとうございます」という気持ちしかないですし、そこはこだわるポイントじゃ全然ないですね。逆に、今はアイドル系のイベントに出る機会があまりないので、アーティストとして受け取っていただくことも多いかもしれません。

モラレス この前は大洗の音楽フェスに同じ事務所のNovelbrightさんたちと一緒に出演させていただいたんです。うれしかったのは、「あのフェスでet-アンド-のことを知りました」といった声が多かったこと。実際、SNSのフォロワーも増えましたし。一歩ずつだけど、世の中に届いてるなという手応えがあります。

──では、最後に今後の活動について意気込みをお願いします。

野島 個人的なことですが、私は今年、コロナにかかってしまったんです。せっかく音楽イベントにガンガン出ようとしていたのに出演キャンセルになるし、メンバーには会えないしで、あのときは本当に落ち込みました。それで音楽から離れた生活を送る中、改めて私にはet-アンド-が大事だと再確認したんです。この4人でet-アンド-の曲を届けていきたいなって。まずは多くの人に知ってもらうことが大事ですけど、そこだけで終わらず、「この子たちのやっていること、本当に面白いな」と深掘りしてもらえるような曲をリリースしていければと思います。

et-アンド-

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プロフィール

et-アンド-(アンド)

野島樺乃、栗本優音、モラレスきあら、山崎カノンの4人からなる女性ボーカルグループ。「第1回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」で優勝を果たすなど、高い歌唱力を持つことで知られる元SKE48の野島をリーダーとして結成された。ミドルテンポに裏拍のリズムをとるレゲトンをベースにした音楽が特徴で、サウンドプロデュースは作曲家の菊池一仁が務めている。2021年6月に愛知・SKE48劇場で行われた野島のソロライブ内でステージデビューし、7月にデビューシングル「#tokyo」を配信リリース。9月にマンスリーライブ「Monthly LIVE 2021『RGB』」をスタートさせ、11月に初のCD作品であるミニアルバム「toi et moi」を発表した。2022年に入ってからは“春夏秋冬4部作”のシングルを連続リリース。10月にその第3弾となる「宵宵」を配信リリースした。