バスケとラップって近いよね

Bose　ところで、今日会ったときに見つけて気になったんだけど、首にNYニックスのデザインでANARCHYってタトゥ入れてるよね。ニックス好きなの？

ANARCHY　メロ（カーメロ・アンソニー）が好きで、これはメロが入団したときに入れたんですよ。Boseさんもニックスのファンと聞いたんですけど。

Bose　うん。僕はマイケル・ジョーダンの時代から観てるから。ニックスがマイケル・ジョーダンにいつもボコボコにされてる頃……パトリック・ユーイングがいたときから好きで。

──ANARCHYさんはバスケをやってたんですよね。

ANARCHY　そう。部活レベルですけど。

Bose　僕もバスケ部だったんだよ。バスケとラップって近いよね？

ANARCHY　そう思います。

Bose　まず1対1なとことか一緒だよね。結局バスケって基本はワンオンワンで、そこで勝つか負けるかっていう。それって黒人がラップバトルやってるのと意味は一緒でさ。

ANARCHY　あとファッションも音楽もリンクしてるし、ゲットーの金ない子らが公園でバスケしてたところから名を上げていくっていうのはヒップホップドリームと一緒やし。

Bose　そう。だから、ラッパーと有名選手は仲良いから。

ANARCHY　メロとJAY-Zとかね。そうそう、この入れ墨してからニューヨークでニックスの試合を観に行ったら「写真撮らせてくれ」ってみんなに言われるんですよ（笑）。

Bose　そりゃそうでしょ。いつ頃の試合を見たの？

ANARCHY　メロが入ってから１、2回は観てますね。

Bose　おっ、いいねー。僕はメロが入る前に観に行ったな。アマレ（・スタウドマイヤー）が入って「やったー」みたいなときに観に行ってて。僕は最初、ニューヨークのラッパーがニックスのキャップをかぶってて好きになったんだよね。Beastie Boysがニックス好きだったりしてさ。ニックスを応援したくなる気持ちとニューヨークのラッパーが好きな気持ちは一緒なの。でもね、日本でラップやってるヤツでその両方の気持ちを理解してくれるヤツがほぼいないっていう（笑）。

ANARCHY　あはは！（笑）

Bose　ラップ好きでもあんまりいないよね？ この感覚が共有できる人は。

ANARCHY　そうなんですよ。

Bose　だからね、すごい共通点が今、判明（笑）。うれしいなあ今日は。

一緒に聴いて育ったヤツらに自慢できる

──話を音楽に戻すと、今後お2人はどんなことをやってみたいですか？

ANARCHY　どんなことっていうより、単純に一緒に音楽を作ってみたいですね。

Bose　SHINCOさんとかどうなんですか？ ウチのDJ、なかなかいいビートを作るんですけど（笑）。

ANARCHY　いいんですか、その輪っかに入っても？

Bose　アリだと思う。全然いいよ。

ANARCHY　そう言ってもらえるんだったらいつでもやりたいです。もし一緒にやれるとなったら、地元の仲間にも自慢できるっす。一緒にスチャダラを聴いて育ったヤツらに。

──今日の対談も13歳のときの俺に自慢してやりたい感じ？

ANARCHY　もちろん。完全にそうですよ。

Bose　地元の友達とかはいまだに一緒にやってたりするんでしょ。「仲間が一緒にいて」みたいなのが歌詞によく出てくるじゃん。

──今回のアルバムに入ってる「Right Here」とか。

Bose　そう。

ANARCHY　その頃はみんなでラップやってましたから。20人くらいで。

Bose　そういうのがいいなあって思うんだよね。

ANARCHY　でも、その中でも残るヤツはやっぱり少なくて。ヤツらの気持ちも代表して今こうやって歌ってるわけだし、こうやってBoseさんと対談できてることも、今後もしかしたら一緒に音楽を作れるかもしれんっていうことも、そいつらの夢でもあるんで。これは全然ありがたいことなんです。

──そうやって夢を実現させていく俺の姿を見ててくれっていう思いもあるし？

ANARCHY　そうなんですよ。

Bose　すごいわそれ。僕らがラップ始めた頃って、言ったら本当マイノリティのマイノリティで、こんなのはもう一瞬でなくなる、自分らだけがやってて誰にも届いてないみたいな感じでやってて。そういう世界があるとは思えてなかったんだよね。

ANARCHY　本当ですか？ 全然届いてますよ、日本中に（笑）。

Bose　いやいや、知り合いしか聴いてないと思ってたから。闇に向かってパンチ打ってるだけ、みたいな。マジで誰もいないところに向かってやってる感じだったから、逆に今言われてることを僕もそのときの自分に伝えてあげたいもん。もうメッチャ届いてたぞ、だからお前やる気出せ！って（笑）。