アマネトリルが11月30日に1stアルバム「タイムトラベルミュージック」をリリースする。
1970~80年代の音楽を現代的なポップソングに昇華させた楽曲、高い技術を持ったミュージシャンたちによる洗練されたサウンド。「タイムトラベルミュージック」でCDデビューを飾るアマネトリルは、都会的な雰囲気と懐かしさを共存させた、オーセンティックなポップスを志向するシンガーソングライターユニットだ。ラジオDJ、コンポーザーなど幅広く活動していたMasahiro(Vo, G)、高校卒業後にバークリー音楽大学に留学、アメリカ・ニューヨークでの7年間の音楽活動を経て帰国したYujin(Vo, G)の偶然の出会いからスタートしたアマネトリル。今回音楽ナタリーではユニット結成の経緯や、「タイムトラベルミュージック」の制作エピソードについて2人に話を聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 西槇太一
出会いはある日のライブハウス
──MasahiroさんとYujinさんが出会ったのはライブハウスだったそうですね。
Masahiro(Vo, G) はい。友人のアーティストのライブを観るために行ったんですけど、そのイベントの最後に出てきた、女性シンガーソングライターの方のステージでギターを弾いていたのがYujinだったんです。そのとき彼は長髪だったんですけど、天を仰ぐようにしてギターを弾いていて、すごくエモーショナルで。「この外国人のギタリスト、面白い!」と思って打ち上げで声をかけたら、なんと日本人だった(笑)。
Yujin(Vo, G) ははは(笑)。僕は7年間ニューヨークで活動していたんですが、日本に戻ってきて最初のライブが、そのときだったんです。
Masahiro そこで「僕もシンガーソングライターとして活動しているから、今度ライブに来てよ」という話をしたら、ホントに遊びに来てくれて。それから2人スタジオに入ってセッションするようになったんです。最初はユニットを組むなんてまったく考えてなくて、お互いのソロライブにサポートミュージシャンとして参加したり、ノリでセッションを続けたりしていて。その期間が1年半くらいあったのかな?
Yujin そうだね。僕もまたアメリカに戻ろうか、日本に残ろうかで考えていた時期でもあったので。
──ミュージシャンとしてのお互いの印象はどんな感じだったんですか?
Masahiro Yujinはバークリー音楽大学で学んでいただけあって、ギターもすごくうまくて。ギターとボーカルの両方でしっかり感情を表現できる人だなと思ってました。あとはライブのときの動きですね。いきなりクイッと腰を激しく動かしたり(笑)、若いバンドマンには絶対にできないステージングだなと。そこに心を打たれた部分もあるんですよ。
Yujin 日本に戻ってきた最初に観たのがMasahiroのライブだったんですけど、完成度がすごく高くて。しっかり計算されているし、それでいてエキサイティングで。アメリカにはいないタイプのミュージシャンだし、一緒にやれば、いろいろなものを得られるだろうなと思いました。
──音楽的なルーツも近いんですか?
Masahiro どうだろう? 僕は初めて触れた音楽がミュージカルだったんです。母親の知り合いにミュージカル役者の方がいて、小学校3年のときに「レ・ミゼラブル」を観て。そのとき「僕も子役になりたい」と思ったのが、音楽を始めたきっかけですね。その後、学校の演劇でThe Beatlesを歌ったり、ゆず、19(ジューク)が流行って、「僕もギターを持ちたい!」と思ったり。どっぷり1つのジャンルにハマったというより、いろいろな音楽を吸収してきた感じですね。
Yujin 僕は母親がチェリストで、小さいときからクラシックを聴かされていたんです。母親はピアノを習わせようとしてたんだけど、僕はまったくやる気がなくて(笑)。音楽に目覚めたのは、高校のときに聴いたAerosmithですね。なぜか感銘を受けて、自伝とかを読んで、彼らが影響を受けたThe Rolling Stones、The Beatlesなども聴いて。そこからたどり着いたのがブルースで、僕の一番の根底にある音楽になっていると思います。
──ロングヘアで激しいステージングだったのは、Aerosmithのジョー・ペリーの影響?
Yujin それもありますね(笑)。Led Zeppelinも好きだったし、ハードロック系ギタリストの血は自分が受け継ぐ! くらいに思ってたので。ただ、アメリカに行ってからはジャズやクラシックも聴くようになったし、スティーリー・ダンをはじめとするAORも好きになって。
Masahiro そこは僕とYujinの共通点かもしれないですね。
ソロの延長ではなくユニットである意味を模索
Masahiro お互いにソロとして10年近くやってきたわけですけど、セッションを重ねる中で「1+1=2じゃなくて、3にも5にも10にもなるかもしれない」という可能性を感じたんですよね。たぶんYujinも同じことを考えているだろうなと思ったし、去年の末に「ユニットとして本格始動しない?」ってLINEして。
Yujin 僕としても「ぜひぜひ」という感じでしたね。去年の10月に2人でライブをやったときの感覚も新鮮だったし、この2人だったら新しいことができるかなと。
Masahiro 今後の方向性について迷っていた部分もあったんですよね、正直。お互い30代ですが、ここで新しい一手を打つのもいいのかなって。これまでにも「バンドとかユニットを組む気はないの?」と音楽関係の人から言われることがあったんですが、僕としては「やりたい人がいればやるよ!」と思っていて。一緒に音楽をやるには、ギターや歌がうまいだけではなくて、人間的に合わないとダメですから。
──アマネトリルとしての活動は、まずは楽曲の制作ですか?
Masahiro まずライブの日程を決めたんですよ。今年の1月に「5月27日に1stワンマンライブをやる」と決めて、それまでにオリジナル曲を作ることを目標にしようと。何もないところから、白紙の紙を置いて、ギターを持ってセッションしながら曲を作っていったんですよ。
Yujin 思い付いたフレーズをiPhoneに入れておいて、それを2人でブラッシュアップしたり。
──どちらかがデモを作るのではなくて、ソングラインティングの段階から顔を合わせてやっているんですね。
Masahiro そうじゃないと、新しくユニットを作った意味がないと言うか。どちらかが作ってしまうと、ソロの延長になると思うんですよ。そうじゃなくて、ゼロから始めたかったので。
Yujin ジャンルも明確には決めていなくて、「風通しのいい音楽」とか漠然としたイメージで制作してましたね。
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アマネトリルが目指すサウンド
- アマネトリル「タイムトラベルミュージック」
- 2018年11月30日発売 / エーエムシー
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[CD] 2160円
AMC-071
- 収録曲
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- ファンファーレは街へ
- エンプティーダンス
- DAIWA
- 鳴子東線
- Tu Tura Li Lat
- blue hour
- ライブ情報
アマネトリル 1st Album「タイムトラベルミュージック」発売記念ワンマンライブ -
- 2018年11月30日(金) 東京都 GEMINI Theater
- アマネトリル
- 2018年1月結成。ラジオDJやコンポーザー、イベントのプロデューサーなどの経験を持つシンガーソングライターのMasahiro(Vo, G)と、アメリカ・ボストンにあるバークリー音楽大学で学士号を取得し、ニューヨークを拠点にしていたYujin(Vo, G)の2名で活動している。シティポップ、AORなどの影響を受けた1970年代を彷彿とさせつつも洗練されたサウンドアレンジと楽曲作りを目指している。11月30日に1stアルバム「タイムトラベルミュージック」をリリースし、東京・二子玉川 GEMINI Theaterにてレコ発ワンマンライブを開催する。