ALI PROJECT|アリプロの真骨頂“ゴシックロリータ”と“ゴシックホラー”の両極ベスト

ALI PROJECTがメジャーデビュー25周年プロジェクト第2弾として、ベストアルバム「血と蜜~Anthology of Gothic Lolita & Horror」をリリースした。

本作は2枚組となっており、アニメ「ローゼンメイデントロイメント」主題歌の「聖少女領域」などアリプロの真骨頂とも言える“ゴシックロリータ”をテーマにした楽曲と、アニメ「Another」主題歌の「凶夢伝染」など“ゴシックホラー”をテーマにした楽曲をそれぞれ収録。さらに各テーマに沿った新曲も1曲ずつ追加され、両曲のミュージックビデオとそのメイキング映像を収めたBlu-rayも同梱されている。

音楽ナタリーでは、このベストアルバムの選曲から新曲の制作舞台裏、そして25年の軌跡と今後の活動まで、宝野アリカ(Vo)と片倉三起也(Key)に話を聞いた。

取材・文 / 須藤輝

アリプロの両軸“ゴシックロリータ”と“ゴシックホラー”

──今作は、ベストアルバムとしては9枚目の作品になるわけで……。

宝野アリカ(Vo) ホントに?

片倉三起也(Key) そんなになるんですね。

──なので、選曲の被りなども含めいろいろ考えられたかと思われますが、まず楽曲を“ゴシックロリータ”と“ゴシックホラー”に分けて収録したのは、どのような意図から?

宝野 やはり私たちは、アニメ「ローゼンメイデン」シリーズの主題歌「禁じられた遊び」(2004年発売のシングル)と「聖少女領域」(2005年発売)を出したところからわりと認知度が広まったので、まずこの2曲に代表されるゴシックロリータ系の曲を集めようと。その一方で、私たちには「凶夢伝染」(2012年発売のシングル)のようなホラーっぽい曲もけっこうあるので、それぞれまとめてパッケージできたら素敵かなと思って。

片倉 選ぶのが大変でね。なにしろ200曲ぐらいあるから。

宝野 もっとだよ。400曲近くあるの。

片倉 そんなにないでしょ?

ALI PROJECT

宝野 いや、数えたのよ。まあそれはいいとして、だからロリータのほうは今言った「禁じられた遊び」と「聖少女領域」が軸になってるから、ローゼン系の楽曲を中心に集めた感じになっていますね。ただ、この2曲と「薔薇獄乙女」(2006年発売のシングル。テレビアニメ「ローゼンメイデンオーベルテューレ」オープニングテーマ)はすでに別のベスト盤に入ってるので(2007年発売の「薔薇架刑」と、2013年発売の「快恠奇奇 ALI PROJECT Ventennale Music, Art Exhibition」)、今回はストリングスバージョンを入れました。

片倉 まあ、オリジナルアルバムを作るときもだいたい1、2曲はローゼン系を意識してるところがあるんですよね。「いつかタイアップのオファーが来るかな」と思って(笑)。

宝野 あはは!(笑)

──12thアルバム「贋作師」(2012年発売)に収録された「ALICE同罪イノセント」がそうですよね。

片倉 そうそう。

宝野 だって、ぴったりじゃない。待ちきれなくてアルバムに入れちゃった。だから、そのあと「私の薔薇を喰みなさい」(2013年発売のシングル。新アニメ版「ローゼンメイデン」オープニングテーマ)を作ったときは苦労したよね。

いくつになってもゴシック“ロリータ”なんだから

──今回はデビュー25周年に合わせてリリースされるベストアルバムということで、ALI PROJECTのヒストリー的なお話も伺おうと思っていたのですが、収録曲で一番古いのが「à la cuisine」(2001年発売の5thアルバム「Aristocracy」収録曲)なんですね。

宝野 あんまり昔すぎる曲は、ちょっとね。「à la cuisine」も私は好きじゃないんですけど。

片倉 僕は好きなんですけどね。今聴くとね、すごくシンプルで。だってピアノに弦カル(弦楽四重奏)でしょ。だから選曲したときに、こればっかり聴いてたもん。ほかの曲のアレンジは、なんかうるさくて(笑)。

──僕らリスナーからすると、初期の曲であってもアリプロらしさが確立されている部分もあり、まったくブレがない感じがするのですが、やはりアーティスト側からすると、昔の曲を聴いて「青いな」と思ったりも?

宝野 そりゃあ、ありますね。

──それが聴いてる分にはわからないんですよ。

宝野 青すぎるのは外してるからじゃない?(笑)

片倉 青いって言うかね、僕の場合は作曲とアレンジでしょ。だから「ヘタだな」とか「今だったもうちょっとうまく作るのにな」ってやつがあるんです。今回も、宝野さんは「いい」って言ってくれたけど僕が嫌がって外した曲もあるし。たぶんお聴きになる方は気にならないとは思うんですけど。

──一方、宝野さんは、なぜ「à la cuisine」がお嫌いなんですか?

片倉 歌い方が嫌なんでしょ?

宝野 うん。なんかかわいこぶってるから。

──かわいい歌い方、いいじゃないですか。

片倉 いいよね? だってゴシック“ロリータ”だよ? いくつになってもロリータなんだから。

──……。

片倉 「そうですね」とは言えないですよね。

宝野 ウケる(笑)。まあ基本的に、あんまり昔の曲は好きじゃないんですよ。好きじゃないって言うか、当時は好きだったけど、今は今の曲のほうが好きなので。

片倉 あとね、宝野さんはああいうシンプルな曲は好きじゃないんですよ。コテッコテなのが好きだから。

宝野 そうそうそう。「うわ、速えなこの曲」みたいなのが好き(笑)。

「何か変なことしてやろう」と

──新しくできた曲のほうが好きというのは、いいことだと思います。

宝野 うん、そうよね。常に新しいものが好きです。だって、このベストアルバムの中でも新曲が一番好きだもん。特にホラーのほう(「少女蜜葬~Le sang et le miel」)ね。

片倉 ロリータの新曲(「Royal Academy of Gothic Lolita」)はそうでもないみたいよ。

宝野 歌いにくかった。あれ、普通じゃないですよ。

片倉 「Royal Academy」は、実はすごく変なことやってるんですよ。この曲の1番って、Aメロを2回繰り返して、Bメロがきてサビに入るんだけど、このAメロを聴いて、何かお気付きになりました?

宝野 えっ。

──えっ。

片倉 Aメロは同じメロディが2回くるんですけど、2回目は半音低くなってるんですよ。つまり転調してるの。

宝野 へええ。

片倉 何かしてやろうと思って。そんなことする必要はないんだけど、ほら、世の中にはひねくれてるやつっているじゃん(笑)。

──気付かないうちに転調している。そういう細かい仕掛けみたいなものも、アリプロらしさの一端を担っているのでしょうか。

片倉 どうだろうね。

宝野 片倉さんはもう自然にそうするようになっちゃってるのよ、たぶん。

ALI PROJECT「血と蜜~Anthology of Gothic Lolita & Horror」
2017年6月21日発売 / Lantis
ALI PROJECT「血と蜜~Anthology of Gothic Lolita & Horror」

[CD2枚組+Blu-ray]
4860円 / LACA-9514~5

Amazon.co.jp

DISC 1
  1. 私の薔薇を喰みなさい
  2. ALICE同罪イノセント
  3. ローズ家の双子達
  4. 百合の日々は追憶の中に潜み薫る
  5. 乙女の贖い
  6. 令嬢薔薇図鑑
  7. 薔薇美と百合寧の不思議なホテル
  8. Lolicate
  9. à la cuisine
  10. 少女と水蜜桃
  11. Royal Academy of Gothic Lolita
  12. 禁じられた遊び(strings Ver.)
  13. 聖少女領域(orchestra Ver.)
  14. 薔薇獄乙女(strings Ver.)
  15. Fräulein Rose
  16. 今宵、碧い森深く
DISC 2
  1. 凶夢伝染
  2. 雪華懺悔心中
  3. 夜見のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。
  4. 血の断章
  5. 六道輪廻サバイバル
  6. 禁書
  7. 少女蜜葬~Le sang et le miel
  8. 北京LOVERS
  9. 阿芙蓉寝台
  10. 蓮華幽恋
  11. 眼帯兎と包帯羊のMärchen
  12. 朗読する女中と小さな令嬢
  13. 女化生舞楽図
  14. 赤い蝋燭と金魚
  15. 秘密の花薗
Blu-ray収録内容
  • 少女蜜葬~Le sang et le miel Music Clip
  • Royal Academy of Gothic Lolita Music Clip
  • 血と蜜~Anthology of Gothic Lolita & Horror -Shooting in France-
ALI PROJECT TOUR 2017 血と蜜
~Gothic Lolita & Horror編
  • 2017年6月25日(日)千葉県 舞浜アンフィシアター
  • 2017年7月13日(木)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2017年7月14日(金)大阪府 なんばHatch
ALI PROJECT(アリプロジェクト)
ボーカルと作詞を務める宝野アリカと、作・編曲を担当する片倉三起也からなるユニット。1992年7月にALI PROJECTに改名しシングル「恋せよ乙女 -Love story of ZIPANG-」でメジャーデビューを果たす。官能的で妖艶なゴシック&ロリータの世界観と文学的な歌詞、現代音楽の影響も見られるサウンドで独自の音楽を追求し、コンスタントに作品を発表し続けている。ライブも精力的に行っており、「月光ソワレ」シリーズではオーケストラをバックに従えた幻想的なステージパフォーマンスが好評を博している。2017年3月には、独自のコンセプト“大和ロック”を追求したデビュー25周年記念シングル「卑弥呼外伝」を発表。6月にはベストアルバム「血と蜜~Anthology of Gothic Lolita & Horror」をリリースし、その後は千葉、名古屋、大阪の3都市を回るライブツアー「ALI PROJECT TOUR 2017 "GOTHIC Lolita & Horror" ver.」を行う。