──さて、ここからは11個のテーマについて、ざっくばらんに語っていただけたらと思います。短い時間の中で駆け足になりますが、よろしくお願いします。
柏木 11っていうのは、11月に入ったからですか?
──デビュー11年目という意味です。
渡辺 わかりました! では、ジャンジャンいってみましょう!
01なぜ“まゆゆきりん”?
──2人の仲が特別いいことは、ファンなら誰でも知っていることだと思います。では、なぜ特別な関係になったんですか? 実際、同期はほかにもいましたよね。
渡辺 改めてそう言われると、なぜだろう……そもそも私たちって性格自体はそんなに似ていないんです。なんなら正反対と言ってもいいかもしれない。共通点もほとんどないですし。だけど、笑いのツボが超似ているんです!
柏木 めっちゃ一緒! これは2人しか絶対わからないツボ!
渡辺 世界中どこをどう探しても、誰も2人の間には入れないと思う。それくらい独特なんです。
柏木 楽屋でも周りはポカーンとしていますから。「なんで笑ってるの、こいつら?」みたいに、いつも白い目で見られている(笑)。
渡辺 この笑いのツボっていうのは、口で説明するのがすごく難しいんです。空気感が似ていると言うか……。
柏木 あとは昨日の手紙でも書いたけど、2人だけで先輩の中に入る機会が多かったから仲よくなったというのもあるんじゃない?
渡辺 それも大きかった! しかも、先輩に対する接し方がまったく同じだったんです。
柏木 そうそう! それもあった!
渡辺 2人共、上下関係を大事に考えているタイプですから。とにかく先輩をきちんと敬って、私たちは下っ端なわけだから、なるべくご迷惑をおかけしないようにする。楽屋でも端のほうで小さくなっていて、ひと言も発さないでじっとしていました。
柏木 遠慮がちと言うか、借りてきた猫と言うか、その感じは同じだったよね。これは悪い意味じゃないけど、今の後輩でそこまで縮こまっている子はいないもんなあ。もっと普通に話しかけてくるので。いや、当時も同期で先輩にグイグイ近付ける子はいたんですよ。でも、私たちには無理だった。
──2人がそこまで異常にかしこまっていたら、先輩のほうも絡みづらかったと思いますよ。
渡辺 自分が先輩の立場になって、それはすごく感じるようになりました。もし私たちみたいな後輩がいたら、めっちゃ気を遣いますよ。だから今思うと、それでも優しく声をかけてくれた先輩たちは本当に優しかったんだなって。
02チームBの絆
──昨日も3期生がステージに上がっていました。やはり同期というのは2人にとっても特別な存在ですか?
渡辺 それはもちろん。同じオーディションを受けて、そこで同時に受かって、一緒にレッスンして、一緒にデビューのステージを踏んで……やっぱり、その絆は絶対です。これは一生消えない絆だと思う。今ではみんな卒業しちゃって、ほとんど会うこともないんですけど、それでも昨日みたいに顔を合わせると、一瞬で当時の3期に戻ることができる。会っていなくても、心の深いところでずっとつながっている感じがするんです。
柏木 同期だけがいた当時のチームBっていうのは、スタッフさんから「けっこうダメダメだ」って評価されていたんです。
──意外ですね。ファンはそんなふうに思っていなかったはずですよ。
柏木 こっちもそうは思っていなかったんですけどね(笑)。「こんなに毎日楽しくて、一生懸命やっているのに。なんでダメって言われるんだろう?」って。
渡辺 今思うと、ちょっと楽しくやりすぎていたんですよね。楽屋の延長線上にいたと言うか。まだ年齢的にも子供でしたし。お客さんに楽しんでもらうというより、自分たちが楽しいっていう気持ちを優先していたのかもしれない。
柏木 ただ、あの頃の楽しさは特別だった気がしますね。もちろん今も楽しいんですけど、若さゆえの楽しさってあるじゃないですか。初期のチームBは本当に“無敵状態”だったと思います。今、新しく入ってくる若い子たちも、当時の私たちほど天真爛漫に騒げないと思うんですよ。
渡辺 うん、あの無邪気さはすごかった。カオスだったもん(笑)。
柏木 あのノリで、よく人前に出ていたなって思う。
渡辺 スタッフさんにもよく怒られたよね。MCもそうだけど、パフォーマンスでも「こんなんじゃダメだ!」と言われたこともありました。
柏木 表現者として、人前でステージを見せるっていうことが理解できていなかったからね……でも、そういう積み重ねがあって今があるんですよ。続けることが大事だったんだなって今となっては思います。
03アイドルの「王道」って何?
──渡辺さんは「王道アイドル」「正統派アイドル」などと呼ばれることが多いです。ではお伺いしますが、そもそもアイドルの「王道」って、どういうものでしょうか?
渡辺 うーん、これは意外と難しい質問ですね。アイドルが10人いたら、10人とも違うことを言うはずですし。ゆきりんは、どう思う?
──そう言えば、柏木さんはアイドルの専門学校を作りたいと発言していましたよね。
柏木 私がアイドル専門学校の先生になったら、まずは麻友みたいなアイドルを目指すように指導しますよ。
渡辺 また適当なことを(笑)。でも、どうでしょう。私が考えるアイドルの王道は、やっぱり「裏側を見せないこと」。表のきれいな部分だけを見せるのが、アイドル本来の姿だと思います。もちろん影で努力も苦労もしているに決まっているけど、そんなことは微塵も感じさせない。それがプロのアイドルだと思うんです。
──素晴らしいですね。柏木さんはいかがですか?
柏木 ブレないことが大事だと思います。例えば麻友だったら、「世間が考える渡辺麻友像」を絶対に裏切らないんですよ。今は発信する手段がいっぱいあるから、「あれ? 今、この子は悩んでいるのかな」とかファンの人に心配されることも多いんです。だけど麻友に限っては、そんなことは絶対にない。「今日は疲れているのかな?」とか「体調悪いのかな?」とか1mmも感じさせないですから。ファンの人の前だけではなく、裏でも感じないくらい麻友の場合はプロ意識が高いですけど。
──渡辺さん自身は、なぜ自分が王道って呼ばれるんだと思います?
渡辺 逆に私が聞きたいくらいです。私は自分のことを王道だなんて思ったことは一度もないし、王道を目指したことすらないんです。だから私が王道って呼ばれるのは……天性のもの? 自分で言うのも変な話です(笑)。
柏木 確かに普通は「天性のアイドル」って自分で言わないよね(笑)。
渡辺 まあでも狙ったわけじゃないのは確かだから。ありがたいことに、周りの人が勝手に「王道」って評価してくれたと言うか。最初、秋元康先生に「麻友は天性のアイドルだ」って言われたときも、「はあ。そういうものなの?」ってピンと来なかったんです。
柏木 だからこそ、天性なのかもね。
渡辺 ただ、その頃は私なりに「自分には何があるんだろう?」って悩んでいました。みんなと違って、私には取り柄が何もない気がしていて。「天性のアイドル」「王道」って言われるようになって、「これだ!」って思ったんです。ようやく自分のカラーというかキャラクターを見付けられた気がしました。言われたことに乗っかっただけかもしれないけど、うれしかったです。アピールポイントができたということですから。
柏木 そこで初めて「渡辺麻友」というアイドルが完成したということなのかもね。いやー、いい話が聞けた!
04女子力
──ガーリーなイメージの渡辺さんに対し、わりと柏木さんはサバサバした印象があります。バラエティ番組でも風呂嫌いだとイジられていましたし。
柏木 いや、でも世間一般で言う女子力なら私のほうが麻友よりはるかに上だと思います。
渡辺 うん、確かにそれは否定できない。
柏木 (鼻高々な様子で)メイク、ファッション、インスタ映えするもの……そういったことに関する興味は、どう考えても私のほうが高いですから。そういうの麻友は本当に弱いじゃん。って言うか、興味もないでしょ?
渡辺 いや、興味はめっちゃある!
柏木 ホントかなー(笑)。
渡辺 興味はあるのよ。コスメとかも調べるのは好きだなんだけど、そこに割く時間が単純にないの。そう考えると私って本当に女子力が低いんだよなあ。女子力が低い代わりに、何力が高いんだろう? ……何力? ナニリョク?
(ここで突然、しばらく黙り込んだまま見つめ合う2人。思い出したように「フヘヘ……」と笑う)
──あの……活字になりづらいリアクションは、やめていただけませんかね(笑)。
柏木 ごめんなさい。つい2人だけの世界に入ってしまいまして(笑)。でも麻友は女子力の代わりに生命力が強いんじゃないかな。風邪を引きづらいとかさ。体調管理のプロ!
渡辺 だったら、「生命力が強い」じゃなくて「プロ意識が高い」って言ってよ(笑)。
──渡辺さんは女性ファンも多いですよね。握手会では“まゆゆみたいになりたいガール”と話す機会も多いのでは?
渡辺 もちろんうれしいんですけど、不思議なんです。「よりによって、なぜこんな人間に憧れているんだろう?」って。
柏木 私、わかるけどな。憧れる子の気持ちが。麻友には絶対なれないじゃない。だからこそ、憧れているんだよ。
渡辺 ……なれないからこそ、憧れる?
柏木 そう。麻友は「がんばれば自分もなれそう」っていう存在じゃないの。
渡辺 ふむふむ(大仰な様子で柏木にマイクを差し出すポーズ)。
柏木 だから、そういう文字にしづらい動きはやめてって言ってるでしょ(笑)。麻友は生まれついての王道アイドルで、めちゃくちゃかわいくて……普通に生きていたら、こんな子は周りにいないですからね。女の子たちはわざわざお金を払ってまで、自分の手が届く存在を応援しようとは思わないんですよ。
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05. アイドルになって失ったもの
- AKB48「11月のアンクレット」
- 2017年11月22日発売 / キングレコード
-
Type A初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90511~2 -
Type A通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-511~2 -
- CD収録曲
-
- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 思い出せてよかった / STU48
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 思い出せてよかった(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
-
Type B初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90513~4 -
Type B通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-513~4 -
- CD収録曲
-
- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 生きることに熱狂を! / Team 8
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 生きることに熱狂を!(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
-
Type C初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90515~6 -
Type C通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-515~6 -
- CD収録曲
-
- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 微笑みの瞬間 / 7秒後、君が好きになる。
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 微笑みの瞬間(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
-
Type D初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90517~8 -
Type D通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-517~8 -
- CD収録曲
-
- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 野蛮な求愛 / ダンス選抜
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 野蛮な求愛(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
-
Type E初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90519~20 -
Type E通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-519~20 -
- CD収録曲
-
- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 法定速度と優越感 / U-17選抜
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 法定速度と優越感(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
- 50thシングル表題曲選抜メンバー
入山杏奈、岡田奈々、岡部麟、小栗有以、柏木由紀、加藤玲奈、小嶋真子、高橋朱里、峯岸みなみ、向井地美音、横山由依、渡辺麻友、小畑優奈、須田亜香里、松井珠理奈、白間美瑠、山本彩加、山本彩、吉田朱里、兒玉遥、指原莉乃、田中美久、松岡はな、宮脇咲良、荻野由佳、北原里英、中井りか、瀧野由美子
- AKB48(エイケイビーフォーティエイト)
- 秋元康プロデュースのもと、2005年に始動したアイドルグループ。劇場に足を運べば毎日会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で毎日ステージを行っている。楽曲の作詞はすべて秋元康が担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、オリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど、着実に知名度を上げていった。2011年1月には初のドキュメンタリー映画「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」が公開。同年8月には「AKB48 22ndシングル 選抜総選挙」での上位21名が歌う22ndシングル「フライングゲット」をリリースし、発売初日に100万枚を売り上げたことでも話題を集めた。以後、10月に東日本大震災復興応援ソング「風は吹いている」などでミリオンセールスを連発。2011年オリコン年間シングルチャートで1位から5位をAKB48が独占する結果となり、“国民的アイドル”と呼ばれる地位を確立した。また2009年から年に1回、シングル曲のメンバーをファン投票によって決める「AKB48 選抜総選挙」を行っており、2013年の「恋するフォーチュンクッキー」では指原莉乃が、2014年の「心のプラカード」では渡辺麻友が総選挙1位としてセンターを務めた。2017年8月に49thシングル「#好きなんだ」をリリースし、11月に50thシングル「11月のアンクレット」を発表。最新シングルでは2017年内をもってグループを卒業する渡辺麻友がセンターを務めている。