凛ちゃんは、新しい道を切り開いていける人

──カップリング曲の「星を辿る道」は、表題曲とは趣をガラリと変えたバラードですが、こちらの曲はどのような思いで書かれたんですか？

湊　もともと「星を辿る道」も「青エク」エンディングテーマの候補曲のつもりで書いてたんです。で、最終的に「コノ手デ」に決まったときに、「星を辿る道」の歌詞を書き直したんですね。つまり、「青エク」に寄っていた歌詞を、アーティスト寄りの歌詞にしまして。これから凛ちゃんはいろんな人をつないでいく、ハブのような存在になりそうな気がするんですよ。

暁月　えっ、なりますかね？

湊　僕の理解では、凛ちゃんは前例のないアーティストなんですよ。Twitterとかを見てても、あんまりこういうタイプの人っていないんじゃないかって。

暁月　ホントですか？

湊　うん。で、前例のない人っていうのは、新しい道を切り開いていける人だと思うんですよ。ただ、前例のないことをする、新しい道を作ることを、普通はみんな嫌がる。なぜなら、怖いから。

暁月　うんうんうんうん。

湊　怖いし、ものすごく大変な作業になるんだけど、そこを凛ちゃんがなんとか切り開いて、怖くないっていう理解が進んでいけば、それに続く人が出てくるし、最初に切り開いた人の周りには人が集まるから。そうやって、凛ちゃんを起点に新しいことをやろうとするケースがどんどん増えていけばいいなっていう願いを歌詞に込めました。

暁月　正直、私はそこに関してはあんまり自信がないというか……基本、孤独ですから。特に、人が集まること自体がちょっと怖いんですよ。

湊　それもわかる。信じることのほうが怖いから、人が集まってくるのは怖いよね。逆に言えば疑うことのほうが信じるよりも簡単だから、孤独なままのほうがもしかしたら楽かもしれない。

暁月　うーん、どっちもつらい（笑）。湊さんは以前、VALSHEさんの「Myself」という曲の歌詞で「誰も信じない強さより 信じる事で恐れずいられる」って書かれていましたよね？

湊　はい。「Myself」の歌詞はVALSHEと僕の共作なんですけど、その部分は僕が書いていたので、わかってもらえてすごくうれしいです。僕自身が疑り深いから、自分に向けて「信じないよりも、信じるほうが最終的には強くいられるんだ」っていうメッセージを投げつけたような曲ですね。

暁月　この曲を初めて聴いたのは高校生のときだったんですけど、当時はすごく薄っぺらい理解で「信じることはいいことなんだ。人を信じれば友達たくさんできるかな」みたいな感じだったんです。でも今になって聴いてみると、信じることの恐ろしさというか、裏切られたときの痛みを知ったからこそ、「信じる」という決断の重みがわかりますよね。

湊　そこまでわかってもらえると本当にありがたいです。そういうつもりで書いてるので。

暁月　ホントに湊さんの歌詞は、何年か経っても効いてきますね。なので、はい、がんばって信じます（笑）。

心の中にある美しいものを具現化したい

──信じる決断をしたところで、暁月さんは今後どのようなボーカリストを目指していきたいですか？

暁月　私は、自分の心の中にある、自分が美しいと思うものを人に見せられないのが悔しいし、もったいないと常々感じているんですよ。だからこそ、湊さんのように作曲や作詞という形で美しいものを表現できる人を尊敬するわけですけど、私はそれに歌で近付きたいというか。抽象的になっちゃいますけど、心の中を具現化できるボーカリストになりたいです。

湊　ここまでいろんなことを深く考えられる人だからこそ、凛ちゃんはこれからもっとクリエイティブなことがしたいっていう欲求がどんどん出てくる気がするんですよ。なので、それを満たせるボーカリストになってほしいし、そのクリエイティビティを大事にしてほしいですね。もし僕が今後もなんらかの形で楽曲制作に関わる機会があれば、その具現化をお手伝いをしていけるような感じになればいいなと思います。

──今、言質とれましたよ。今後も楽曲制作に関わっていただけると。

暁月　ですね（笑）。精神的ドM同士、よろしくお願いします。

湊　結局そこに行き着くんだ（笑）。こちらこそですよ。