音楽ナタリー Power Push - AK-69

新たなステージに踏み出したDef Jam Recordings第1弾作品への思い

MVは90年代ヒップホップビデオの「あるある」

──そういう思いもあって、「KINGPIN」のミュージックビデオは名古屋城で撮影されたそうですね。

MVの撮影で名古屋城が使われるのは初めてなんですよ。けど、これが最初で最後になるんじゃないかっていうくらい、強烈な絵面になってます(笑)。城内にスリーホイラーで立ち上がったローライダーはおるわ、ハーレーもおるわ、先輩も後輩も含めた愛知のリアルなバッドボーイたちがずらーっと並んで微動だにせず前方を睨み付けていて。俺は名古屋城をバックにして、廃車にしたアメ車の上に登って1段高いところで歌ってるっていう。

──ヒップホップを絵に描いたような図。

まさに。俺がヒップホップにヤラれた90年代って、ジャケットにしてもビデオにしても、もう「絵面がヒップホップ」だったんですよね。それをもう一度今回のアートワークには落とし込みたくて。だから通常盤のジャケは見ただけでヒップホップってわかるものにしたし、ビデオの「高いところで歌う」っていうのも90年代のヒップホップビデオの「あるある」なんですよ(笑)。例えばスヌープ(・ドッグ)の「Who Am I?」のビデオはレコ屋のVIP Recordsの屋上で歌ってて。とにかくみんな何かの上に登ってる(笑)。

──車、屋根、屋上と、どんどん高いところに行きがちっていう。

そう。とにかく主役は高いところにいる(笑)。あと、今乗ってるロールスロイスの中で歌ってるシーンもあるし、トコナメの3連ドッグタグをつけて歌ってるシーンもあるし、仲間たちも車も借り物じゃない。それも今回のこだわりなんです。

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──すべてリアルなもので作り上げていると。

俺がかぶってるニューヨーク・ヤンキースの赤いキャップはトコナメが生前かぶっていたものなんです。あいつの汗染みが残ってるキャップを形見にもらったんですよ。2006年に名古屋のDIAMOND HALLでやった「REDSTA」のツアーファイナルで、アイツに向けた「HOMIE… feat. HI-D」を歌ったときに一度かぶったんですけど、それを今回もかぶって。だから、すべてがリアルなんですよ。金積んでローライダーやストリートに見える物を借りたり、作ったりしてるところもあるけど、ヒップホップはそうじゃねえんだよっていう。ヒストリーやバックグラウンドは金じゃ買えないし、作ることもできないし、これが俺のやってきたことだから、っていうのが詰まってるんです。

幅広くヒップホップ文化が根付くよう動いていきたい

──今回のシングルを引っさげて、今年の夏は数々の夏フェスに参戦しますね。中でも注目は「氣志團万博」だと思うんですが、氣志團の綾小路翔さんとはどんなきっかけでつながったんですか?

「夜のスジガネスタジオ」っていう翔さんがやってる音楽トーク番組の特番に呼んでもらえたんです。そこで翔さんが興味を持ってくれて、「ぜひ氣志團万博に呼びたい」と言ってくれて。番組の後日、翔さんの店で飲んだんですけど、話を聞いてると、本当、翔さんはむちゃくちゃ面白い人で、数々の修羅場をくぐってきてるなと(笑)。どこか同じ匂いがする人だなと思いましたね。

──「氣志團万博」は出演者がバラエティに富んでいるし、普段共演しないようなアーティストも多いので楽しみなんじゃないですか?

すごい楽しみですね。ステージをネクストレベルに上げたいと思ってる今、俺のことを知らないお客さんの前で自分のことをアピールできるっていうのは、すごくありがたいチャンスだと思ってるし、モチベーションも上がります。

──一方、日本に初上陸するヒップホップフェス「HOT 97 SUMMER JAM」にも出演されますね。

ファボラスとプシャ・Tも出動してくるし、ヒップホップファンが集まる前でDef Jam Recordingsの日本代表としてカマさないといけないから、だいぶ気合い入れて臨もうと思ってます。あと、「TOKAI SUMMIT」も今回がファイナルだそうで。SEAMOくんもnobodyknows+もHOME MADE 家族も昔から一緒にやってるんで、このタイミングで出演させてもらえるのは感慨深いですね。

──最後に、日本で再始動したDef Jam Recordings第1弾アーティストとして、今後の展望を教えてください。

今、日本のヒップホップでは「フリースタイルダンジョン」が盛り上がってますけど、フリースタイルやMCバトルへの興味だけで終わらせずに、もっと幅広くヒップホップ文化が根付くよう動いていきたいなと思ってます。さらに欲を言えばハードな曲だろうと世の中に蔓延するくらいの環境を作っていって、俺以上の結果を残せるような新たなスターを生み出す地盤とかフォーマットを構築していきたいなと。自分のプロジェクトをガンガン大きくしていくのは当たり前として、Def Jamという看板を背負ってKINGPINとか言ってるんだったら、そういう土台作りも同時にやっていかなきゃなと思ってます。

AK-69
ニューシングル「With You ~10年、20年経っても~ / KINGPIN」 / 2016年7月6日発売 / Virgin Music
初回限定盤 [CD+DVD] / 1620円 / UICV-9182
通常盤 [CD] / 1080円 / UICV-5053
CD収録曲
  1. With You ~10年、20年経っても~
  2. KINGPIN
  3. With You ~10年、20年経っても~(Instrumental)
  4. KINGPIN(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • With You ~10年、20年経っても~ Music Video
  • 「Flying B」LIVE映像(2016.2.27 一夜限りのプレミアム・ライブ「NON FICTION」@豊洲PITより)
  • ドキュメンタリー映像
Zepp Tour 2016 ~Flying B~
  • 2016年7月18日(月・祝)大阪府 Zepp Namba
AK-69(エーケーシックスティーナイン)
AK-69

1978年生まれの男性ヒップホップアーティスト。MCおよびラッパーとして活動する際にはAK-69、シンガーとして活動する場合はKALASSY NIKOFFを名乗っている。2004年にKALASSY NIKOFF名義でリリースしたアルバム「Paint The World」を皮切りにソロ活動をスタート。2012年にニューヨークに滞在し、現地のヒップホップ専門ラジオ局「HOT 97」のインタビューを受けたほか、同局主催の野外イベント「Harlem Day」、そして数々のアーティストを輩出したイベント「Who’s Next?」に日本人ラッパーとして初出演を果たした。2014年3月に東京・日本武道館にてワンマンライブを行い成功を収めたほか、翌2015年にはキャリア最大規模となる全国ホールツアーを開催した。ボクサーや野球選手などアスリートたちからの支持も厚く、プロ野球選手の登場曲使用率1位を2014年と2015年の2年連続で記録。2016年1月に「さらなるインディペンデントな活動」を目指して自ら代表を務める事務所・Flying B Entertainmentを立ち上げた。同年2月にシングル「Flying B」を発表。4月にはアメリカの名門ヒップホップレーベルのDef Jam Recordingsと契約を結び、同レーベルからの第1弾作品となるシングル「With You ~10年、20年経っても~ / KINGPIN」を7月にリリースした。