音楽ナタリー Power Push - 清水エイスケ(Age Factory) × 椎木知仁(My Hair is Bad)

影響を与え合う関係

Age Factoryが1stフルアルバム「LOVE」を10月5日にリリースする。音楽ナタリーではこれを記念して特集を企画。清水エイスケ(Vo, G)と、清水がもっともよく飲みに行くというMy Hair is Badの椎木知仁(G, Vo)の2人にインタビューを行った。後半には山田将司(THE BACK HORN)、金廣真悟(グッドモーニングアメリカ)といった、Age Factoryを敬愛するアーティスト47人からのコメントを掲載している。

取材・文 / 小林千絵 撮影 / 後藤壮太郎

椎木に感じる“大ビッチ感”

──最初にお二人の出会いを教えてください。

左から椎木知仁(My Hair is Bad)、清水エイスケ(Age Factory)。

清水エイスケ(Age Factory) 俺らがPENs+っていう同い年の東京のバンドと一緒に、東京と大阪でイベントをすることになって。各地のゲストに、年齢が近くて呼んでみたいバンドを呼んだんですけど、そのときの大阪のFANDANGO公演にMy Hair is Badを呼んだのが始まりですね。

──どうしてMy Hair is Badを?

清水 大阪のシーンを中心に名前をちょくちょく聞いてたので気になって。

──実際に競演してみていかがでしたか?

清水 「すごいバンドやな」と思った。現代的なバンドというか。自分の中でのTHE NINTH APOLLOのイメージってメロコアっぽかったから、それとは違う新しいアプローチというのも新鮮でしたね。

──椎木さんはいかがでした?

椎木知仁(My Hair is Bad) FANDANGOの店長の加藤(鶴一)さんにずっと「Age Factoryと競演してほしい」って言われてて気になってたから、やっと観れたなっていう感じでした。曲は全然知らなかったんですけどカッコよかった。

──お互いに気になっていて、ようやく競演できたという感じだったんですね。

椎木 でも、あの日と今のAge Factory、全然違いますね。なんて言ったらいんだろう、なんかもっと固いイメージだったんですけど、柔らかくなっていくというか……観るたびに変わっていきます。うーん、単純に好きになっていってるのかも。

清水 「好きになっていってる」とか急に言うんですよ、椎木くんって。飲んでても、いきなり「好きになったのかな」って(笑)。なんて言うんですか……大ビッチ感?(笑)「好きになったのかな」……俺、そんなん言ったことないわ!(笑)

椎木 大ビッチ感って(笑)。いや、でも好きっすねー。なんかね、カッコいいやつっていうよりかは、すごいやつなんですよね。うまく言えないんですけど。

エイスケに影響を受けた椎木

清水 さっき椎木くんが俺らのことを最初に見たときとイメージが変わったって言ってくれましたけど、俺もMy Hair is Badと競演を重ねてるうちに自分たちにはないポイントがたくさんあるなと思って。

──どういうところでしょうか?

清水エイスケ(Age Factory)

清水 自分たちだけじゃなくて、今の日本のバンドにはなかった表現の仕方が多いと思うんです。例えばライブ中に椎木くんがポエトリーリーディングを始めたりするところとか、バンドの見せ方……ライブの本数が異常に多いし、ライブ中に「それ言っても大丈夫?」みたいなことを言ったりする、そういう泥臭さ。自分たちにないっていうか、なかなかいろんなバンドができないことだと思うんですよね。

椎木 なんか照れますね(笑)。Age Factoryは3人共すごいんですけど、特にエイスケは最近見ないタイプのナルシストだと思うんですよ。

清水 ……え!? ナルシスト?

椎木 究極にナルシストだと思うんですよ。薄っぺらいやつじゃなくて、自己陶酔っていうのかな。エイスケがアルペジオを弾いてる瞬間とか、全部に酔ってる感じがしてうらやましいなって。その姿に影響を受けるくらい、いいなあって思った。なんか前にエイスケと飲みに行ったときに「最近、誰に影響を受けたか」みたいな話になって、よく考えたらエイスケだった。

清水 そんなことはないでしょう。

椎木知仁(My Hair is Bad)

椎木 いや、本当なんだよ。どこかエイスケに引っ張られてたんだよ。やまじゅん(山田淳 / My Hair is Bad)にも「お前、最近エイスケに引っ張られてない?」って言われてた。

──具体的にどういう影響を受けました?

椎木 「ああ、もっと自分に酔っていいんだな」って思って。なんなら、アルペジオから歌い出すっていうアレンジが増えた気すらします。あんま言いたくないんすけど……(笑)。

清水 ナルシストかあ……。自分のライブでカッコつけたいとかは別に思ってなくて。汁垂れ出しまくってるので驚きました。でもたしかにマイヘアとライブをやるとき、メンバー全員ちょっとテンションが上がるというか。リハ見ただけで上がるし、マイヘアは起爆剤みたいな存在で。だから特にマイヘアとやる日は、陶酔してるというか、集中してるのはあるかもしれない。

My Hair is Bad ニューアルバム「woman's」 / 2016年10月19日発売 / EMI Records Japan
初回限定盤 [CD+DVD] / 4536円 / UPCH-29228
通常盤 [CD] / 3024円 / UPCH-20430
InterFM897「Age Factoryの愛に近づくまで」

2016年10月5日(水)26:00~26:30

<放送内容>
1stアルバム「LOVE」のリリースを記念してAge Factoryの真の魅力に迫るドキュメンタリータッチの番組。ナレーションを担当するのはcinema staffの辻友貴。

Age Factory(エイジファクトリー)
Age Factory

清水エイスケ(Vo, G)、西口直人(B)、増子央人(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。2010年4月の結成以来、地元の奈良を中心に全国で年間100本近くのライブを重ねてきた。2014年12月にデビューミニアルバム「手を振る」を、2015年9月に「NOHARA」をリリース。2016年10月に、LOSTAGEの五味岳久をプロデューサーに迎え1stフルアルバム「LOVE」を発表する。

My Hair is Bad(マイヘアイズバッド)
My Hair is Bad

椎木知仁(G, Vo)、山本大樹(B, Cho)、山田淳(Dr)の3人が2008年に新潟で結成したロックバンド。大阪のインディーズレーベル・THE NINTH APOLLOに所属し、2013年2月に1stアルバム「昨日になりたくて」を発売した。骨太なロックサウンドと、椎木がつづるリアリティのある歌詞、アドリブのポエトリーリーディングを織り交ぜたライブで人気を集め、2016年5月にシングル「時代をあつめて」でEMI Recordsからメジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stアルバム「woman's」をリリース。12月から東京・日比谷野外大音楽堂公演を含むレコ発ツアー「ハイパーホームランツアー」を実施する。