「趣味が一緒だと思う」って言ってくれた（佐々木）

佐々木亮介　洋平さんは覚えてるかわからないですけど、最初に会ったときに「多分趣味が一緒だと思う」って言ってくれたんですよ。俺もそう感じたし、ロックンロールが好きで真ん中で勝負しようと思ってるとか、マジで外タレと勝負できると思ってるバンドって日本では少なくて。今日はそういう話ができればと思ってます。よろしくお願いします！

──今、出会いの話が出ましたが、最初に2人が会ったのはいつだったんですか？

佐々木　新都心でのイベント（2009年10月23日にさいたま新都心HEAVEN'S ROCK VJ-3にて開催）でしたよね？

川上洋平　はい。GLORY HILL、a flood of circle、RUNNERS-Hiが出るイベントに、俺らはオープニングアクトで出させてもらったんです。そのときに初めて会って、雰囲気がうちらに近いな、話しかけやすいかなと思ったんですが……実際は厳しかったです（笑）。GLORY HILLみたいなメロコアの人たちってイエーイ！って寄ってきてくれるんだけど、a flood of circleの場合はそういう雰囲気ではなくって。逆に話したいなという欲が生まれたんですが、結局その日はあまり話せなくて。

佐々木　そのときは対バンがメロコア系が多くて、[Champagne]のこともメロコアのバンドだと思っていたんです。でもリハからいきなりチョーキングしてるし、ライブ見てたら1曲目にやった「For Freedom」がすごくカッコよくて。

川上　それで思い出したんだけど、佐々木くんはそのときにわざわざ寄ってきて、「カッコよかったです」って言ってくれたんだよね。

OASISが一番好きというヤツは周りにいなかった（川上）

佐々木　2009年よりちょっと前ぐらいから、アメリカやイギリスのロックが日本で排除される傾向があって。王道のロックの影響を出している人たちが少ない中で、[Champagne]は違ったんですよ。元OASISのノエルもインタビューで「ロックンロールって転がっていくもので、誰かが引き継いでいくことでしょ」って言ってるし。でも、今OASISとかNIRVANAが好きって言うと、ちょっと恥ずかしい風潮ってないですか？

川上　少しあるかもしれないですね。でも実は僕、2009年あたりまで日本のロックシーンって全然知らなかったんです。2009年に初めて「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に連れていってもらって、こういうシーンがあるんだって思ったぐらい。その後、いろんなバンドと知り合って。彼らに「OASISが好きなんだ」って言うと、「ちょっと前に流行ったね」って言われることは多かったですね。うちらの周りでOASISが一番好きだっていうヤツもいなかったし。

──佐々木さんと川上さんは、2人とも子供の頃に海外で生活していたという共通点をお持ちなんですよね。川上さんは、いつ日本に戻ってきたんですか？

川上　1997年です。

──バンドを始めたのは？

川上　正式に[Champagne]を始めたのは、2001年の大学入学とともに。でもシリアにいた小学6年生のときにも[Champagne]というバンド名で活動していたんです。シリア人のボーカル、アメリカ人のボンゴ、日本人の俺がアコギで発表会とかに出ていて。やっていたのはオリジナルじゃなくて、Mr.Childrenの楽曲を英語に訳したのとか、OASISのカバーでしたけど。

[Champagne]は新しくロックを転がしているバンド（佐々木）

佐々木　OASISの話がでたところで訊きたいんですけど、[Champagne]の音ってコードの感じとかボイシングはOASISっぽいなと思うんです。でもビートは独特ですよね。あれはどうやって生まれたんですか？

川上　あれは2 UNLIMITEDとか、90年代初頭とかのいわゆるダサイ感じのビートをOASISのコードに乗せてるんです。コードやメロディは彼らの影響をすごく受けているんですけど、それを自分たちのリズム感でやるとOASISのリズムじゃなくなるんです。

佐々木　でも、4つ打ちじゃないですよね？

川上　4つ打ちをロックでやるのが嫌いなんですよ。飽きちゃうし。

佐々木　ビート感とかキメのアイデアがOASISっぽくないところでできてますよね。それが[Champagne]の新しいところだなって思って。「新しくロックを転がしているバンド」なんじゃないかと思ったんです。キメめちゃくちゃ多いですもんね。

川上　変な音をやったほうが、スタジオやライブで俺自身が飽きないと思って。お客さんに「[Champagne]の曲はいいんだけど乗りにくいですよね」って言われるんだけど、乗らせるためにやってるわけじゃないんだよって（笑）。

──となると、[Champagne]はお客さんに何を求めているんですか？

川上　特にないんですけど、ライブの次の日や1週間後に「[Champagne]の曲をなんか聴きたくなっちゃうんだよね」って思ってもらえたらいいですよね。それが音楽のあるべき姿だなと思っています。10年後より、50年後にCD屋さんに作品が残っていたほうがいいし。その色褪せないものってビート感でもカッコよさでもなく、メロディだと思うんです。そこさえ100％カッコよかったら、ほかがカッコ悪くてもあとから評価がついてくる。僕もいろんなCDを買うんですけど、擦り切れるまで聴き直しちゃう盤があるんです。それってメロディが良いんですよね。そんな作品を自分でも作りたいし、それが「残っていくこと」だと思うから。