「紡冬」を聴いてメンバー3人が泣きそうに

──ほかのメンバーの皆さんは、今回小林さんの歌詞や歌の表現の中で特に好きな部分はありますか？

丸山　僕は「#ペルソナ」のサビですね。僕自身は音楽を聴くときにあまり歌詞に耳を傾けることがなくて、メロディラインやリフを聴く派で。この曲はすっと耳に入ってくる韻の踏み方をしていて、歌うと気持ちいいんですよ。

小林　ありがたいです。「#ペルソナ」はマジで迷ったしめっちゃ考えました。（小声で）というか、みんな無理して出さないで……。

近藤　無理してないよ（笑）。

高井　俺は「THE TESTAMENT」の最後。宮田と2人で歌ってる「愛せるように」っていうところがすごく新鮮だなって思いました。制作中、俺はボーカルが歌詞を書いてるところも、歌入れしてるところも見てないし、いつもできあがった音源で初めて聴くんですけど、このひと言はすごい強く印象に残って。この言葉が亮輔の口から出てきたのがすごい新鮮でした。

小林　今までだったら死んでも言わなかった。

──なぜ言えるようになったんですか？

小林　ここでは話せないですけど……「ああ、生きないとな」って思うようなことがあって（笑）。

宮田　俺はですね、亮輔が書かないでって言ったら書かないでいいんですけど、「紡冬」の「帰れなくなったなあ」です。「紡冬」の「帰れなくなったなあ」ってところ。深くは聞かないでほしいんですけど……（大きな声で）「紡冬」の「帰れなくなったなあ」ってところです。

小林　（笑）。

──何度も言うほどの何かがあるんですね（笑）。

小林　岳くんは……あるのかい？

近藤　僕も「紡冬」なんですけど、亮輔くんが言わないでって言ったら……。

小林　いや、いいんですけども！（笑）

近藤　「紡冬」の最後の一節の「僕を見ててよ」っていうところ。もう……あれですね……マスタリングで最後聴いてるときに横に亮輔いたんですけど、ちょっとうるっとしちゃって。

小林　お前が？（笑）

近藤　亮輔の顔が見れなくて（笑）。

宮田　わかる！ 今回ミックスを大阪に住んでる人にお願いしたので、マスタリングの前日に漠と大阪に飛んでいったんですよ。それで「紡冬」のミックスを決めてるときに、漠と2人して泣きそうになりながら……。

丸山　なんだこれは！って。

宮田　最高じゃないか！って。

丸山　亮輔ー!! がんばれー！

一同　あはははは（笑）。

小林　がんばれて！（笑）

宮田　かわいそうに！って、それで東京に会いに行ったって感じですね。

小林　会いに行ったっていうかマスタリングに来ただけでしょ（笑）。

アルバムのタイトル、「手応え」にしたほうがいいんじゃないか

──アルバムのラストを飾るのは「THE TESTAMENT」。直訳すると「遺書」というタイトルが付けられたこの曲は、その名の通り終幕を感じさせる内容です。

小林　これ「最後の曲にしよう」って言って作ったわけじゃないんですけど、結果的にそうなって。歌詞は俺たちは俺たちのまま続けたいから、ほかのやつに染められるぐらいなら死んでやるよっていう内容です。このメンバーと一緒にやってる音楽が一番カッコいいと思ってるので、例え周りに「半端」だの何だの言われても悔いはないなって。だから「未完で散って悔い無しと」っていう歌詞を書きました。

──「半端」なんて言われますか？

小林　わかんないですし、何言ってるとか知らないですけど、「あいつらはこうなった」「ああなった」っていう言葉とか、もうそんなものは知らないと。自分たちがカッコいいと思ったものを作って、「変えろ」だの「変われ」だの言われても絶対嫌なんで、だったら遺書突きつけてバイバイ。「次の次元に行くんでお疲れ様でした」って。

──1曲目には子供の声が入っていますが、この曲にも赤ちゃんの声が入っていますね。

小林　子供の声が入ってる「Prologue -Insomnia-」から始まって、「THE TESTAMENT」で一度死んで、赤ちゃんとして生まれるっていう流れで。このアルバム自体を人生に例えたかったんです。

──なるほど。ここまでお話を聞いて、皆さんのアルバムに対する手応えがひしひしと伝わってきました。

高井　はい、あとは150km級のストレートをお客さんに投げつけるだけです。

近藤　ホントに手応えしかないですし、死んで生まれてっていうアルバムの流れを永遠に繰り返せるなっていうぐらい、耳馴染みのいい曲たちがそろってます。「これがa crowd of rebellionです！」っていうアルバム。ホントにお気に入りですね。

小林　マスタリングのとき「アルバムのタイトル、『手応え』にしたほうがいいんじゃないか」っていう話が出たぐらいには手応えがあります。

宮田　ホントに言ってました。「これ『手応え』でいいじゃん」って（笑）。

小林　すごく大切な1枚です。

宮田　このアルバムで、昔思い描いていた「こういうバンドになりたい」っていう憧れに近付けたと思います。

丸山　そして10年やってきて原点にたどり着いたアルバムでもあって。これが100点ですっていう感じなんですけど、次は150点を出すためにこれからもがんばります。