社歌は異質でキャッチーなものに
──Yuさんは「Shall we travel?」のほかに、コンダクターズが歌う社歌「我らHAMAツアーズ」も手がけています。こちらはかなりコミカルな楽曲ですが、どんなイメージで書きましたか?
「18TRIP」のほかの曲は基本的にアーティスティックでカッコいい曲になると聞いていたので、社歌はそれをぶち壊すような異質でキャッチーなものを作りたかったんです。「これをやったら笑われるだろうな」ということを意識しながら作っていたのですごく楽しかったです。20人の曲をやったあと、また別の4人の曲という流れでしたが、20人よりは4人を知るほうがスピード感はあるので、それぞれの個性をわりと早めに理解できました。4人だとソロパートが作れますし、ライブでの息抜きになる曲だと思ったので、とにかく頭を使わずに楽に聞けるものということは意識しましたね。
──特にこだわったことというと?
この曲についても「レコーディングでどこまでやれるか?」ってことですね。4人には「すべてにおいてふざけてほしい」とお伝えしたら、みんな全力でふざけてくれて、本当にいいテンションのテイクを録ることができました。キャラクターの個性を引き出すのは大変だったけど、とても楽しいレコーディングでしたね。
──その大変だった点を具体的に言うと?
曲作りの段階で「このキャラクターはきっとこんなふうに歌うだろうな」とイメージはしているけど、キャラそれぞれのイントネーションもあるから、実際に歌ってもらわないと見えないものもあるんです。だから、まずレコーディング冒頭の15~30分くらいは彼らと話をして、歌のスキルやイントネーションをどこに付けて歌うのかを探る必要がある。そのうえで「この人はここまで弾けられる」と判断してディレクションをしていきます。本当はもっとできたはずの人が力を発揮できないのはもったいないので、一旦どんどん出してもらって、無理そうなところはカットするようにしています。
──この2曲の制作を経て「18TRIP」への愛着は増しましたか?
そうですね。ありがたいことに今回レコーディングの日数がとにかく多かったんです。作品への愛着はめちゃくちゃ増しましたし、達成感がすごくある2曲になりました。24人全員が優秀だったので、その方たちにディレクションしながらキャラクターの深堀りができたのは大きかったですね。
キャラクターのいろんな表情を引き出したい
──また「18TRIP」の曲を作るとしたらどんなテイストの曲を作ってみたいですか?
社歌ほどじゃなくていいけど、少しトリッキーな曲が作りたいですね。彼らの歌は本当にいいので、キャラクターの深掘りができるという意味ではバラードよりもアップテンポのほうが面白いものが録れる気がしています。キャラクターのいろんな表情を引き出せる気がするので、ぜひまたトライしてみたいです。
──ちなみに「Shall we travel?」と「我らHAMAツアーズ」を作ったことで、ご自身の音楽活動にはポジティブな影響がありましたか?
すごくありました。「Shall we travel?」はメインのエンディング曲ということでプレッシャーもあったけど、いつかゲームのエンディング曲を作ってみたいと思っていたし、それをしっかり完成させられたのは自信になりましたね。「我らHAMAツアーズ」はかなり振り切りましたが、歌を乗せてまとめると意外と聴きやすくなるんだという発見がありました。どちらの曲の制作も自分にとってとても大きな経験になりましたね。
18TRIP 公演情報
18TRIP presents “HAMAツアーズ全体会議”
2025年4月20日(日)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- [Side A]OPEN 13:00 / START 13:45
<出演者>
小笠原仁(西園 練牙役) / 小林千晃(大黒 可不可役) / 中島ヨシキ(叢雲 添役)/ 深町寿成(神名 雪風役) / 水中雅章(鹿 礼光役) / 内田修一(五十竹 あく太役) / 佐藤祐吾(衣川 季肋役) / 大塚剛央(斜木 七基役) / 熊谷俊輝(輝矢 宗氏役) / 堂島颯人(久楽間 潮役) / 石谷春貴(北片 來人役) / 坂田将吾(蜂乃屋 凪役) / 天﨑滉平(笛吹 也千代役) / 古川慎(雁金 朔次郎役) / 戸谷菊之介(北片 生行役) / 小林親弘(岩渕 ダニエル 比呂士役) - [Side B]OPEN 17:45 / START 18:30
<出演者>
小笠原仁(西園 練牙役) / 小林千晃(大黒 可不可役) / 内田修一(五十竹 あく太役) / 石谷春貴(北片 來人役) / 堀金蒼平(畔川 幾成役) / 梅田修一朗(夏焼 千弥役) / 寺島惇太(木ノ内 太緒役) / 矢田悠祐(百目鬼 潜役) / 坂田将吾(蜂乃屋 凪役) / 榊原優希(白光 糖衣役) / 小松昌平(白光 琉衣役) / 光富崇雄(棗 夜鷹役) / 天﨑滉平(笛吹 也千代役) / 古川慎(雁金 朔次郎役) / 戸谷菊之介(北片 生行役) / 小林親弘(岩渕 ダニエル 比呂士役)
※音声出演:堀江瞬(夜半 子タろ役)
プロフィール
Yu(ユウ)
高校卒業時から独学で音楽制作を始め、2009年にvagueのメンバーとしてポニーキャニオンからメジャーデビューを果たす。楽曲制作の早さとクオリティに定評があり、曲のストックは500曲以上。作品に愛情を持ち、“切なさ”をテーマにした独創的で美しいメロディと、ストリングスを基調としたシンフォニックな楽曲やアコースティックな楽曲を得意とする。作家としてはDo As Infinityや中川翔子、城南海、崎山つばさ、「KING OF PRISM」、「A3!」に楽曲を提供。「A3!」の舞台化作品「MANKAI STAGE『A3!』」、舞台「もののふ」シリーズ、「サンリオ男子」、ミュージカル「黒執事」、ミュージカル「テニスの王子様」などの舞台音楽を手掛けるなど幅広く活動している。またキーボーディストとして多数のアーティストをサポートするほか、長きにわたり自身のラジオ番組でパーソナリティを務めた。