「18TRIP」を彩る音楽の制作背景に迫る|Penthouseメンバー&Yu(vague)インタビュー2本立て (2/4)

ギリギリセーフのBPM

──「BPMは18×10 カセットは止まらない」という歌詞は、「グッドラック」のBPMに絡ませつつ、「18TRIP」の重要なモチーフであるカセットも登場していて、とても気の利いたフレーズだなと思いました。

大原 設定資料集のおかげでカセットが印象的なアイテムであることや、「グッドラック」というポーズがあることがわかったので歌詞に盛り込むことができました。僕はある程度こういった制約があるほうが歌詞は書きやすいんです。「この場所だったらこの言葉がはまりそうだな」と考えながら言葉をパズルしていきましたね。

浪岡 僕も「BPMは18×10」はすごくうまいなと思いましたね。

──「グッドラック」の実際のBPMは?

浪岡 182なんですけど(笑)。

大原 カセットはCDと違って再生すると1~2%BPMがブレるんですよ。だから182っていうのはそのブレの範囲に入っているので、誰もそこまで気にしてないと思いますが(笑)、僕としてはギリギリセーフという理由づけをしているんです。

──「1か8かの旅へ道連れ」という歌詞にも18が入っていますし、旅のスリルのようなものも感じられますよね。

大原 ゲームタイトルが「18TRIP」なので、どこかに18を入れたいなと思っていたんですよ。「1か8かの旅へ道連れ」という言葉を最後のほうに入れたんですが、やっぱり冒頭にもあったほうがいいなと思って「BPMは18×10」を入れたという流れでした。このあたりは自分でもアイデアがうまく生かせたポイントかなと。

「18TRIP Cassette #01 ‘グッドラック’」カセットテープの展開画像。(Photo by MASANORI FUJIKAWA)

「18TRIP Cassette #01 ‘グッドラック’」カセットテープの展開画像。(Photo by MASANORI FUJIKAWA)

旅の醍醐味を伝えたい

──「グッドラック」は日常と非日常感が絶妙なバランスで描かれています。そこは意識したところでしょうか?

大原 そうですね。非日常感というのは旅をテーマに歌詞を書くうえでまず最初に出てきたキーワードでした。僕はそんなに旅をするほうではないけど、友達と旅行に行くのは好きなので、そのときの前日からワクワクしちゃう高揚感を曲に込めたつもりです。あと日常は嫌なことがたくさんあって大変だけど、旅行に行ってる間はそういうことを忘れて楽しく過ごせるのがいいじゃないですか。その旅の記憶が日常の癒しにつながるわけだから、そういう旅の醍醐味が伝わればいいなと思って書いたところもあります。

──浪岡さんは歌詞を読んでどう思いましたか?

浪岡 僕にはこういう歌詞は書けないのですごいなと思いました。素直な言葉遣いがとても多くて、これをキャラクターを演じる声優の方々が歌っている姿がすぐに想像できる。キャラにもすごく合っていますよね。

浪岡真太郎(Penthouse)

浪岡真太郎(Penthouse)

大原 18isの中心人物で主人公の幼なじみの可不可の印象は強かったですね。「身勝手にEscort」という主人公を強引に連れ出すような歌詞は、可不可の人間性が出てるなと思います。

──声優の方たちの歌を聴いてどう思いましたか?

大原 当たり前ですが、歌声が1人ひとり違ってそれぞれの色があるし、とても華やかだなと思いました。ここからゲームが始まるワクワク感がすごくある。

浪岡 曲のバリエーションがすごくあって、声優さんのすごさをめちゃくちゃ感じましたね。跳躍が多くて音の上がり下がりが激しい曲なので歌うのは難しいと思うんですが、それぞれのキャラをしっかり守りながら歌っているから、歌い手が変わった瞬間がとてもわかりやすい。それを5人でやるという難易度の高いことを難なくこなしていて素晴らしかったです。

Penthouse・浪岡真太郎&大原拓真が感じた「18TRIP」の魅力

──楽曲制作を進めていく中で、お二人が感じた「18TRIP」の魅力を教えてください。

大原 こういうイケメンがたくさん登場するゲームのテーマに旅行を選んだこと自体面白いですし、キャラに旅行に連れ出してもらうことで気持ちが乗りやすいんですよね。その世界観もすごいなと。

浪岡 Penthouseだとやりづらいアプローチでも、キャラクターが歌うならありだなと思うことがたくさんあって、そこが楽曲提供の面白いところだなと感じましたね。

大原 確かに提供させていただく曲だからこそ、歌詞の面でもPenthouseでは使わない言葉を入れているので、PenthouseっぽさはありつつPenthouseでは聴けない曲ではありますね。

大原拓真(Penthouse)

大原拓真(Penthouse)

──「18TRIP」は多彩なアーティストの方たちが参加しているプロジェクトですが、ほかの曲を聴いてどう思いましたか?

大原 いろいろな曲がある中で、ほかにもキャラクターの名前が入っている曲があって、どん被りしなくてよかったなと思いました(笑)。やっぱり可不可の名前は使いやすいんですよね。

──お二人が今後また「18TRIP」の曲を作るとしたらどんなテイストがいいですか?

浪岡 Penthouseの曲は夜班に合いそうだなと思いますね。

大原 あー、確かに。

浪岡 夜班のちょっとおしゃれめな曲を作ってみたいですね。

──では最後に、「18TRIP」ファンへのメッセージをお願いします。

大原 「グッドラック」からPenthouseを好きになってくれた人がいてすごくありがたかったし、逆にPenthouseのファンが「グッドラック」をきっかけに「18TRIP」を知ったということもあって、それもすごくうれしかったです。ゲームの序盤に「グッドラック」が流れるので、主任たちと「18TRIP」の世界に楽しく旅立ってもらえたらいいですよね。

浪岡 PenthouseはHAMA18区のモデルである横浜で最近よくライブをしてるんですよ。これも何かの縁だと思うので、「18TRIP」と一緒に我々の音楽も楽しんでもらえたらうれしいです。

プロフィール

Penthouse(ペントハウス)

浪岡真太郎(Vo, G)、大島真帆(Vo)、Cateen(Piano)、矢野慎太郎(G)、大原拓真(B)、平井辰典(Dr)からなるツインリードボーカルバンド。東京大学内のバンドサークル・東大POMPのOB、OGによって結成され、2019年6月に活動を始める。2020年9月にリリースされたV6のシングル「It's my life / PINEAPPLE」に浪岡作曲による「ただこのまま」を提供。2021年5月に配信したオリジナル楽曲「...恋に落ちたら」で注目を浴び、同年11月にEP「Living Room」でビクターからメジャーデビューを果たす。2023年3月に1stアルバム「Balcony」をリリース。2024年11月に2ndアルバム「Laundry」を発表した。

2024年12月11日更新