04 Limited Sazabys「Harvest」インタビュー|4年ぶり4枚目のアルバムで収穫した愛 (2/2)

時代にハマった「Harvest」

──13曲目「Harvest」は、アコースティックギターの弾き語りから始まる、温かみのある楽曲ですね。

GEN この曲もけっこう前からあった曲で。でも構成がなかなか決まらなかったんです。

KOUHEI  全編弾き語りでもいいかと思ってたんですけど、それもちょっと違うかなと思って。後半だけテンポを速くしてみたら意外と心地よくて、この形になりました。

──この曲にアルバムタイトルと同じ「Harvest」というタイトルを付けたのはどうしてでしょうか?

GEN この曲は家族のイメージで作ったもので。収録曲の中で一番ピースフルな曲になったし、楽曲制作中にバンドの成長や実りを感じたので、「Harvest」でいいんじゃないかと思って。

KOUHEI 「今は心配ばかりだけど」という歌詞が、時代にもハマっている感じがして、この曲がアルバムのタイトルを背負うというのは合点がいきましたね。

KOUHEI(Dr, Cho)

KOUHEI(Dr, Cho)

──そしてアルバムの締めは「Just」。去年シングルとしてリリースしたこの曲をアルバムの最後に据えたのはどういった考えからでしょうか?

GEN 俺は最初「Harvest」が最後のつもりだったんですよ。だけど、リピートして1曲目「Every」に戻ることを考えたら「Just」のほうがハマるなと思って。

KOUHEI シングルとして出したけど、ツアーなどで披露したときに、まだこの曲の浸透率が低いなということも正直感じていて。フェスでもどちらかといえば「fade」のほうがよく演奏しているし。だからアルバムにも入れて、ツアーでも披露して、来年のフェスでは常連曲にできたらいいなという気持ちもあります。

GEN 「Just」を作ったとき、この曲を演奏する頃にはコロナが終息しているか、せめて声出しくらいはできる状況になっていることを想定して歌詞を書いたんです。だけどまだ緩和もされず、いまだに声も戻っていない。だから「今度こそ」という気持ちもあります。

GEN(B, Vo)

GEN(B, Vo)

全世界の女子の心をつかむんじゃないですか?

──レコーディング時には歌詞が決まっておらず、最後にGENさんが歌詞を入れて楽曲を完成させるのが04 Limited Sazabysの制作方法ですが、GENさん以外の3人が特に好きな歌詞を教えてください。

KOUHEI 毎回そうですが、特に “ザ・フォーリミ”の曲に、刺さる言葉が入っているんですよね。今回で言ったら「Keep going」の「諦めることを諦めて」とか。すごくわかるからこそ演奏していても士気が上がります。一見まっすぐすぎて恥ずかしくなるような歌詞だと思うんですけど、それを言えちゃうのがGENだし、フォーリミの強みでもあると思っています。

HIROKAZ 僕は「Finder」。好きっていうか、単純に何を言ってるのか気になって。そもそも聴いてるだけだとなんて言ってるかもわからんくらいで(笑)。どういう歌詞なの?

HIROKAZ(G)

HIROKAZ(G)

GEN ちょうど歌詞を考えているときに、あるニュースが流れてきて、そこからインスピレーションを受けて書きました。時事を取り込むのは自分のアーカイブとしてもいいかなと。

RYU-TA 俺は「Honey」。最近のフォーリミの曲は、こんなにストレートに「めちゃくちゃ好き」と歌う曲がなかったのでいいなって。この曲、全世界の女子の心をつかむんじゃないですか?(笑)

──それこそ「Honey」をはじめ、今作は愛を歌う曲が多いなという印象を受けました。

GEN あー。愛については、ここ数年ずっと追求していました。愛って普遍的なもので、人生においてずっとそばにあるものだし、なかなか答えが出ないもの。それでいて、愛は憎しみに変わったりもするので、扱いが難しい。大人になっても、愛のことが全然わからないなということはここ数年、考えていました。バンドの話で言うと、活動休止期間やコロナ禍のときに、ファンの人から愛されていることを忘れてしまいそうになる瞬間があったんです。だけどステージに立つことで何度も「ああ、愛されてるんだな」と再確認させてもらって。それによって助けられたし、自分も誰かを愛することによって救われたりする。そういうことを考えていたので、確かに愛はテーマになっていたかもしれないです。

愛してくれる人を大切に

──今のお話にもありましたが、「SOIL」のリリースから「Harvest」のリリースまでの4年の間に、活動休止やコロナ禍による自粛期間などがありました。その間に、音楽やバンドに対する気持ちの変化はありましたか?

KOUHEI 確かにライブができなかった時期は、自分の存在意義みたいなものは考えました。「俺って必要じゃないのかな」とかも思ったし。でも4年もアルバムを出していないのに、「YON EXPO」やフェスにお客さんが来てくれて、めちゃくちゃ愛されているんだなって実感して。僕は前から「自分が応援したいと思える人間になりたい」と思っているんですが、そのためにもお客さんを裏切りたくないという気持ちが一層強くなりましたね。嘘をつかないとか、そういうスタンスは前よりも意識するようになりました。

RYU-TA 俺、最近ライブのときの自分の顔つきが変わった気がしていて。活動休止期間を経て、ひさしぶりにステージに立った「YON EXPO '21」で応援してくれるファンがいるんだということをすごく実感したんです。「見てくれるファンがいるからこそ、こうやってライブができているんだよな」と改めて思ったら、笑顔が増えたんですよ。「一緒の気持ちなんだ」と思ったらうれしくて……“ファンサ”も増えたかも。ファンサという表現が合っているかはわからないですが。

KOUHEI ファンサ!(笑)

RYU-TA あはは。自分からあふれ出てくるものを全部出しているという感じですかね。

RYU-TA(G, Cho)

RYU-TA(G, Cho)

HIROKAZ みんなが言っているようなことも感じていますけど、最近はフェスが戻ってきて、ステージ裏で友達に会える機会が増えたこともうれしいなと思っています。バンドをやっていなかったら出会わないような若い子から「好きです」と言ってもらえることも増えたし、それこそナタリーさんでも取り上げてもらいましたけど、対バンしたいと言ってくれる若手バンドもたくさんいて(参照:04 Limited Sazabysと対バンしたい若手バンドが続々とGENにリプライ送る)。音楽やっててよかったなと思いました。

GEN さっきRYU-TAがファンサと言っていましたけど、それに近いことで。昔は不特定多数を対して刺しに行くという感覚でライブをやっていましたが、今は、待ってくれている人に対してちゃんと届けたいという気持ちになって。闇雲にいろんな人に愛されにいくよりは、愛してくれる人を大切にしようというモードになっていますね。エネルギーや愛の交換をすることで自分も救われているし、そのおかげでまともでいられる。「誰かのため」みたいな気持ちになれることが幸せだし、「誰かのため」というのは、自分のためでもあるんだなというのはここ数年で感じるようになりました。

──「待ってくれている人に対してちゃんと届けたい」という話もありましたが、今作で“収穫”した04 Limited Sazabysの、この先の展望はありますか?

GEN 何も目指しません。

KOUHEI これを続けます。

GEN 今まで通り、これからもずっとライブハウスを舞台にしたツアーやライブもしっかりしていきたいと思っていて。コロナ禍でライブハウスが苦しんでいたのを見て、こういうときにライブハウスを助けられる存在でいたいと思ったし。あんまりこういうことは言わないほうがいいのかもしれないですが、今はバンドを大きくしようとか、会場を大きくしていきたいみたいな気持ちはないですね。

KOUHEI ライブハウスでも活動しつつ大きい会場でもやるという、今のスタンスを崩さないでいる。実はそれってすごいことだし、難しいことでもあると思うんですよ。ライブハウスだけでやるんだったらできるかもしれないけど、大きい会場でもできる状態で居続けるというのは、現状維持ですが、同時に成長でもあると思う。そういう立ち位置にずっといたいです。

GEN さっき話に出ましたけど「対バン相手を検討中」と言っただけで、あれだけすごいリアクションがあって。自分たちの知らないところで影響を受けたと言ってくれる人がこれだけいるんだというのはうれしかったですね。そういうバンドであり続けたいし、そう言ってくれる人たちを裏切りたくないなと改めて思いました。

──実際、あのツイートはこういう反響を呼ぶと予想して投稿したものだったんですか?

GEN いや、全然。多少はリプがくるかなと思いましたけど、あんなに来るとは(笑)。でもうれしかったですね。コロナ禍でバンドが夢を見られない時代になっているような気がしていたんです。バンドがいなくなっていけば緩やかにシーンが停滞していくとも思っていた。だけど、知らないバンド、若手のバンドがこんなにたくさんいるんだなというのは自分たちにとっても明るいニュースでした。これからもたくさん新しいバンドには出てきてほしいし、自分たちも負けないようにしていきたいです。

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabys

ツアー情報

Harvest tour 2022

  • 2022年10月18日(火)千葉県 千葉LOOK
    <出演者> 04 Limited Sazabys / Maki
  • 2022年10月20日(木)茨城県 mito LIGHT HOUSE
    <出演者> 04 Limited Sazabys / the dadadadys
  • 2022年10月23日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
    <出演者> 04 Limited Sazabys / SonoSheet
  • 2022年10月27日(木)愛媛県 WstudioRED
    <出演者> 04 Limited Sazabys / KUZIRA
  • 2022年10月28日(金)高知県 CARAVAN SARY
    <出演者> 04 Limited Sazabys / KUZIRA
  • 2022年11月3日(木・祝)北海道 小樽GOLDSTONE
    <出演者> 04 Limited Sazabys / KALMA
  • 2022年11月5日(土)北海道 帯広MEGA STONE
    <出演者> 04 Limited Sazabys / FOMARE
  • 2022年11月6日(日)北海道 CASINO DRIVE
    <出演者> 04 Limited Sazabys / FOMARE
  • 2022年11月10日(木)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
    <出演者> 04 Limited Sazabys / 鉄風東京
  • 2022年11月12日(土)岩手県 Club Change WAVE
    <出演者> 04 Limited Sazabys / totemぽぉる
  • 2022年11月13日(日)秋田県 club SWINDLE
    <出演者> 04 Limited Sazabys / totemぽぉる
  • 2022年11月16日(水)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
    <出演者> 04 Limited Sazabys / TETORA
  • 2022年11月17日(木)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
    <出演者> 04 Limited Sazabys / reGretGirl
  • 2022年11月19日(土)山口県 周南RISING HALL
    <出演者> 04 Limited Sazabys / Jam Fuzz Kid
  • 2022年11月23日(水・祝)石川県 金沢EIGHT HALL
    <出演者> 04 Limited Sazabys / プッシュプルポット
  • 2022年11月24日(木)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
    <出演者> 04 Limited Sazabys / See You Smile
  • 2022年11月26日(土)山梨県 KAZOO HALL
    <出演者> 04 Limited Sazabys / かずき山盛り
  • 2022年12月1日(木)鹿児島県 CAPARVO HALL
    <出演者> 04 Limited Sazabys / ネクライトーキー
  • 2022年12月2日(金)熊本県 熊本B.9 V1
    <出演者> 04 Limited Sazabys / ネクライトーキー
  • 2022年12月4日(日)長崎県 DRUM Be-7
    <出演者> 04 Limited Sazabys / ジ・エンプティ
  • 2022年12月8日(木)京都府 KYOTO MUSE
    <出演者> 04 Limited Sazabys / サバシスター
  • 2022年12月10日(土)岐阜県 岐阜club-G
    <出演者> 04 Limited Sazabys / SHIFT_CONTROL
  • 2022年12月11日(日)愛知県 豊橋club KNOT
    <出演者> 04 Limited Sazabys / Some Life

Harvest tour 2023 ~one man series~

  • 2023年1月16日(月)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2023年1月17日(火)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2023年1月20日(金)北海道 Zepp Sapporo
  • 2023年1月22日(日)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2023年1月26日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2023年1月27日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2023年2月1日(水)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2023年2月3日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2023年2月5日(日)香川県 高松festhalle
  • 2023年2月6日(月)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2023年2月8日(水)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2023年2月15日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2023年2月16日(木)愛知県 Zepp Nagoya

プロフィール

04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)

2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。2016年4月に初の主催フェス「YON FES 2016」、2017年2月に初の東京・日本武道館公演を成功に収めた。2018年4月から5月にかけては、バンドの結成10周年を記念したライブ「04 Limited Sazabys 10th Anniversary Live」を実施。2019年9月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで初の単独公演「YON EXPO」を開催した。2022年10月にアルバム「Harvest」をリリース。同月よりツアー「Harvest tour 2022」を行っている。