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mekakushe「夜明けの扉」ジャケ写

mekakushe 夜明けの扉

果てのない宇宙で募らせる、あなたへの思い

森朋之

138億年前に起きたビッグバン。膨張を続ける宇宙に浮かぶ地球の中で私たちは、今日も誰かに思いを馳せ、会いたい、一緒にいたいという気持ちを募らせている──。新世代シンガーソングライター・mekakusheの最新アルバム「138億年目の恋」のコンセプトは“宇宙”。惑星、銀河といった言葉が至るところにちりばめられた本作を総括する楽曲が「夜明けの扉」だ。

きらびやかなエレキギターの響き、壮大さと繊細さを内包したストリングスから始まる「夜明けの扉」。まるで独り言のような可憐さを感じさせる平歌、大らかに広がっていくサビの旋律など、mekakusheのメロディセンスがしっかりと感じ取れるミディアムチューンだ。洗練されたコード進行、ドラマチックな展開を含め、この曲を聴けば、彼女の音楽的なポテンシャルを実感してもらえるだろう。楽曲の世界観を際立たせる、ハヤシコウスケ(シナリオアート)のアレンジメントにも注目してほしい。

「宇宙」という言葉が4回、さらに「星屑」「地球」というワードが織り込まれた歌詞も心に残る。その中心にあるのはサビの「あなたの宇宙 彷徨いながら生きていたいの はやめに会いにきて」というフレーズ。「彷徨っていたい」と「会いにきて」は矛盾しているようにも感じられるが、ここには人間という存在の本質が確かに宿っている。

大切な人と一緒にいても消えることがない寂しさ、もう会えない人に対する深い思い。そこに「何にも縛られず、自分らしく生きたい」という願いが重なってしまうのが私たちであり、当然、いつも満たされない何かを抱えることになる。「夜明けの扉」には、そんな人間のあり方が詩的な表現で描かれているのだ。笑顔で歌っているのがわかるようなボーカルも印象的。アルバム「138億年目の恋」の軸であるのはもちろん、シンガーソングライター・mekakusheの世界観を象徴する楽曲と言っていいだろう。

mekakushe「夜明けの扉」ミュージックビデオ

mekakushe「夜明けの扉」
2025年10月27日(月)配信開始 / akogare records
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作詞・作曲:mekakushe
編曲:ハヤシコウスケ(シナリオアート)

mekakushe(メカクシー)

mekakushe

作詞、作曲、歌唱、ピアノ演奏を自ら手がけるシンガーソングライター。3歳からクラシックピアノを始め、次第にポップスに傾倒。2013年12月、高校3年生のときにSoundCloudでオリジナル曲を発表した。2021年4月に1stアルバム「光みたいにすすみたい」をリリースし、2022年2月には君島大空、ハヤシコウスケ(シナリオアート)、管梓(ex. For Tracy Hyde)らがアレンジャーとして参加した2ndアルバム「あこがれ」を発表。同年11月にバンダイナムコミュージックライブ内にプライベートレーベル・akogare recordsを設立し、5カ月連続で配信シングルリリースした。2024年9月より長瀬有花とのコラボ企画を始動させ、3部作の楽曲を発表。さらに2025年1月に楽曲「きみはシュノーケル」、4月にテレビアニメ「九龍ジェネリックロマンス」のエンディング楽曲「恋のレトロニム」を配信リリースした。11月に配信アルバム「138億年目の恋」を発表。同月に初のプラネタリウムライブ「mekakushe Planetarium Acoustic Live ~138億年目の恋~」を東京・プラネタリアTOKYOで行う。