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木村拓哉「Head Shot」ジャケ写

木村拓哉 Head Shot

研ぎ澄まされた五感で表現される、今様のダンスミュージック

文 / 臼杵成晃

木村拓哉という人に対する評価は「何をやらせてもすごい人」で定まっていると思う。歌もダンスも演技も、はたまた料理もコントも。天はこの人に何物与えれば気が済むのか……とやっかんでしまうが、ある日「なるほどな」と感じたことがあった。バラエティ番組でちょっと口ずさんだメロディや、何かのモノマネをしたとき、彼はそれをすべて「原曲キー」で表現していると気付いたときだ。

きっと耳がよいのだろう。ゆえに再現度が極めて高い。きっと耳だけでなく五感すべてにおいて敏感かつ精緻にできているから、歌もダンスも演技も料理も、自分の中にある“正解”をスッと差し出せる。何かのCMを思い出してちょっと口ずさんだ場面だったと思う。その「原曲キーによる再現性」で、この人の才について勝手にいろいろと腑に落ちた。

2年半ぶりのアルバム「SEE YOU THERE」から、ミュージックビデオが制作された新曲「Head Shot」で検証してみよう。サウンド的には近年世界をにぎわせているK-POPに通ずるファットで抑揚の効いたダンストラック。ボーカルにはオートチューンを駆使しながらも、あくまであの色気ある木村拓哉の歌声を、高音から低音まで広いレンジでじっくり味わえる。MVでは6人のダンサーを従え、センターで力強く踊る木村。振付は世界が認めるダンスチーム・s**t kingzのkazukiの手によるものだ。海の底など歌詞の世界を幻想的に表現したパートでは、すべての所作に俳優としてのセンスが光る。もちろん監督やkazukiからの細かい指示もあるだろうが、顔の角度、目の見開き具合、腕の振り、爪先の位置などの細かい所作も「今求めてる正解はこうっしょ?」と瞬時の閃きで次々表現しているのではないか? そう思わせる圧倒的な「木村拓哉力」ですべてが構成されている。

「木村拓哉の耳と目を通してアウトプットすると、今様のダンスミュージックはこう」という“正解”を軽々と提示されたような感覚。実際は軽々などではなく、見えざる地道な努力研鑽を重ねての結果なのかもしれないが、「こうっしょ?」とあくまで飄々とこなしているようにしか見えないのが木村拓哉のすごみ。逆に何ができないのか教えてほしい。

木村拓哉「Head Shot」ミュージックビデオ

木村拓哉「Head Shot」
2024年8月14日(水)配信開始 / Victor Entertainment
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作詞 : MiNE
作曲・編曲 : Albin Nordqvist

木村拓哉「SEE YOU THERE [初回限定盤A] [CD + 豪華ブックレット]」
2024年8月14日(水)発売 / ビクターエンタテインメント
[CD+ブックレット] 税込7260円
木村拓哉「SEE YOU THERE [初回限定盤B] [CD + DVD]」
2024年8月14日(水)発売 / ビクターエンタテインメント
[CD+DVD] 税込4070円
木村拓哉「SEE YOU THERE [通常盤] [CD]」
2024年8月14日(水)発売 / ビクターエンタテインメント
[CD] 税込3630円

木村拓哉(キムラタクヤ)

木村拓哉

1972年11月13日生まれ、東京都出身。俳優としてドラマ「ロングバケーション」「HERO」「CHANGE」「BG~身辺警護人~」「グランメゾン東京」、映画「武士の一分」「検察側の罪人」「マスカレード・ホテル」など話題作に多く出演している。2020年1月、アルバム「Go with the Flow」でソロアーティストとしてのスタートを切り、2022年1月には2ndアルバム「Next Destination」を発表。2024年8月には3rdアルバム「SEE YOU THERE」をリリースし、9月から12月にかけてライブツアー「TAKUYA KIMURA Live Tour 2024 SEE YOU THERE」を行う。また今冬には主演映画「グランメゾン・パリ」の公開を控える。