梁翊はどんどんかっこよく見えていく（ゆんちゃん）

──秋嫣と事件解決のためにタッグを組むのはシュー・ジェンシー演じる冷徹な検校史・梁翊（りょうよく）です。

ゆんちゃん　途中から別人になりますよね（笑）。

一同　あはははは（笑）。

ゆんちゃん　これ中国ドラマあるあるなんです。男性主人公が、途中からヒロインにデレデレになって別人になる（笑）。

しーちゃん　そうそう。最初はすごく怖くて、ヒロインと最悪の出会いをするんですけど、だんだん好きになっていって、あなたは家来ですか？っていうぐらいメロメロになる（笑）。強くて怖い感じの主人公が出てくると、いつデレデレになるのか観てやろうじゃないか！みたいな気持ちになります。

ゆんちゃん　ほかのお屋敷ドラマだと、男性主人公は孤高でかっこよくてすべての女性の憧れの王子様みたいに作られることが多いと思うんです。でも梁翊はそういう男性ではなくて、逆にそこが新鮮でよかった。悪い部分もどんどん出している。

しーちゃん　だから2番手の秦暄（しんけん）が、王子様の役割でバランスを取っていますよね。やっぱりそういうキャラは必要。みんなからモテモテの王子様だけど、ヒロインだけが好きという。

──梁翊がヒロインに惹かれていく過程はいかがでしたか？

ゆんちゃん　急にデレ出してどした!?みたいな感じじゃなくて、すごく自然でしたね。秋嫣のことが好きなんだろうなというのがリアルに伝わってきました。

しーちゃん　2人の恋を丁寧に描いている印象でしたね。梁翊は一緒に事件を解決する中で、だんだん秋嫣のことが放っておけなくなっていく。意識し出してから、彼女が今まで通りハチャメチャなことをすると、心配するようになりますよね。むしろ最初は秋嫣を陥れようとしていたのに。恋愛対象として見ていない時間が長かった分、梁翊が秋嫣を女性扱いする姿に視聴者はキュンとするのかなと思います。そしてそんな彼の思いにヒロインは気付いていなくて。

ゆんちゃん　キレ者なのに、そこは気付かないんかい！っていうね（笑）。でも、秋嫣がまさか私のことを好きになるはずないって思うのもわかるんですよね。主人公がヒロインにデレ出すと、ちょっと女々しく見えてしまうドラマもあると思うんですが、梁翊はどんどんかっこよく見えていく。物語が進むにつれて、男らしくて頼れる人になって、好感度が上がっていきました。

しーちゃん　梁翊を演じているシュー・ジェンシーは背が高くてスタイルがいいですよね。時代劇の衣装って着られている感が出ちゃう人もいると思うんですけど、彼は気品があって、歩き方とか座り方も自然でかっこいいなと。

小酒　私はもともとシュー・ジェンシーが好きなので、お二人の話を聞きながら、息子を褒められた母親の気分になってます（笑）。

一同　（笑）

小酒　このドラマは彼のよさをうまく引き出しているなと思うんです。彼は「独孤伽羅～皇后の願い～」で演じたような悪役も似合うんですけど、今回の梁翊は“ワルと見せてキュンとできる男性像”を突き詰めた感じ。シュー・ジェンシーはコメディもうまいので、最初の意地悪な梁翊も、ユーモアのセンスを交えてニヒルに演じている。それが秋嫣とのやり取りに楽しい雰囲気をもたらしているなと思います。

ゆんちゃん　2人のやり取りは笑えますよね。自分の声で演技をしているメリットってああいうところにも出てくるんですよ。アフレコだと痴話喧嘩したりする場面で、あんな雰囲気にはできない。

しーちゃん　笑い声とかセリフに混じる吐息とかが自然なんですよね。コミカルな掛け合いのときも、自分の声で演じているからこそリアルっぽさが出る。

小酒　2人で肩を並べて事件を解決していく姿はやっぱり観ていて楽しいですよね。どちらも賢いから、危機が迫ったら以心伝心ですし、対等な関係で謎を解いていく。敵の罠にはまったと見せかけて、裏をかいていたり。策略家の2人だからこそ、痛快に種明かしされていくのが面白い。

ゆんちゃん　あうんの呼吸でしたよね。敵をだますためにいきなり演技が始まっても、もう一方がぱっとそれに合わせる。ベテランの芸人コンビみたいな（笑）。

しーちゃん　喧嘩が始まって、視聴者は大丈夫なの？ってハラハラしていると、実はお互いがわかってやっている。それがほほえましい。

ゆんちゃん　あの展開気持ちいいよね。一方が相手のためにやったことなのに、誤解されたりするとモヤモヤするんですけど、このドラマはそういうストレスがない。

2番手はあと一押しが足りないキャラになりがち（しーちゃん）

──先ほどもお話に出ましたが秋嫣を一途に思う心優しい貴公子・秦暄（しんけん）を「永遠の桃花～三生三世～」のリウ・ルイリンが演じています。

ゆんちゃん　秦暄は王道な2番手という感じがしますね。女性にモテモテで家柄もよくて、最初からヒロインのことだけが大好きというキャラクター。冷静に考えるとこっちのほうがよくない？と思うけど、報われないタイプ。

しーちゃん　あと一押しが足りない感じがありますよね。2番手はそういうキャラクターになりがち。

──秋嫣、梁翊、秦暄、そして秋嫣の妹で正室の娘・秋珉（しゅうみん）を加えて、中盤からは四角関係が描かれていきます。

ゆんちゃん　お屋敷ドラマでは姉妹の争いが描かれることが多いですよね。だいたいヒロインは秋嫣のように正室じゃなくて、側室の娘。正室の子供かどうかで同じ家に生まれた姉妹なのに、人生も待遇もすべて変わってしまう。

しーちゃん　当時の姉妹の複雑な感情ってなかなか現代の人には想像しづらいですよね。だいたい見るからに悪そうな女の子が出てくるとそれはカモフラージュで、秋珉のようないい子が何かをきっかけに豹変して、とんでもないことを仕掛けてくる（笑）。

ゆんちゃん　それも中国ドラマあるある（笑）。序盤から秋珉は闇堕ちフラグが立っていましたね。でも彼女の気持ちもわかるんです。

しーちゃん　かわいそうな面もありますよね。姉の秋嫣があれだけ強いと、正攻法では勝てないって思っちゃう気持ちもわからなくはない。

ゆんちゃん　むしろ秋嫣のほうが悪くない？って妹のほうに感情移入する視聴者もいると思うんですよね。お姉ちゃんは強くて、正論ばっかりぶつけてきて。

しーちゃん　「私はそんなふうにできないんだよ！」っていう妹の叫びですよね。

小酒　姉妹で同じ人を好きになるという四角関係はよくあるパターン。梁翊と秦暄が親友同士というところがこのドラマならではの面白さだなと思いました。

しーちゃん　珍しい展開だなと思ったのはヒロインが最初は2番手にアプローチすることですね。でも本心から好きではないというのが伝わってくる。だから同じ人を姉妹が好きになっているように見えていて、実は違っている。だからこそ妹の空回りが加速するというか。

ゆんちゃん　お姉ちゃんは本気じゃないところがまた最強なんですよね。男の人の目線で見るともっと追いかけたくなっちゃうような存在。

──4人以外で気になるキャラクターはいましたか？

ゆんちゃん　私は梁翊のお母さんがめちゃ好きでしたね。梁翊とお母さん、秋嫣のシーンはほっこりしました。

小酒　私は梁翊の侍衛・宋錦（そうきん）ですね。ああいう男性主人公の横にいつもいる役どころって、若手イケメンがキャスティングされることが多くて、その後主演ドラマでブレイクすることもあるんです。今回のジャン・ユーが演じた宋錦もおいしい役だなと思います。

ゆんちゃん　私もビジュアル的には宋錦が一番好きでしたね（笑）。

しーちゃん　私はジン・ルーヤン演じた遊女の小小（シャオシャオ）がかわいくて好きでした。“絶世の美女”というキャラクター設定なのに、ヒロインのほうが圧倒的にきれいというパターンのドラマもあるんですけど（笑）、彼女はとてもかわいくて、設定に入りやすかった。

──今日は皆さんにたくさん「策略ロマンス」の魅力をお話していただきましたが、この作品の強みを3つ挙げるなら？

ゆんちゃん　まずはミステリーとして魅力的だということですね。予想外の展開が続いて楽しめると思います。日本もミステリーが人気ですが、中国はより人気だと思うんです。日本の作品でも支持を得ているのが「ガリレオ」や「アンナチュラル」「リーガル・ハイ」といったミステリー。事件解決ものが好きなんです。

しーちゃん　もう1つは甘々すぎない、ちょうどよい甘さのラブストーリーだということですね。

ゆんちゃん　そうそう。王道な胸キュンラブストーリーをたくさん観てきてちょっと味変したいなという人にはこのドラマはお薦めです。2人のラブラブがメインという感じではなく、ストーリーがあったうえで、恋愛が描かれているので。

しーちゃん　あとは秋嫣と梁翊の関係性の面白さも強みだと思います。

ゆんちゃん　カップルの設定が新鮮で面白いですよね。

小酒　私もお二人が挙げた強みは、このドラマの大きな魅力だと思います。「策略ロマンス」にはいろんな要素が詰まっていて考えさせられるし、事件解決ものとして先が読めなくてハラハラもできるし、秋嫣と梁翊のやり取りにはユーモアもあって、しっかり胸キュンもできる。そして最後には感動が待っている。観ながら喜怒哀楽などのいろんな感情が味わえるドラマ。どんな人にもどこかが刺さりそうな作品だと思います。

ゆんちゃん　このドラマって“エンターテイナー”ですよね。観れば観るほど面白い作品だと思います！