Twitterで累計200万以上の“いいね”を獲得し、全2巻のコミックも25万部超え(電子書籍含む)の販売を記録した銀泥によるマンガ「パティシエさんとお嬢さん」が実写ドラマ化。1月18日より、テレビ神奈川、メ~テレ、広島テレビ、テレQ、テレ玉、チバテレ、北陸朝日放送、KBS京都、BS11で順次放送される。本作は、毎週金曜にスイーツを買いに来る“お嬢さん”と、彼女のことが気になる“パティシエさん”の関係を描くラブコメディ。名前も知らない2人の“もどかしすぎる両片思い”が丁寧につづられる。
映画ナタリーでは、パティシエの丈士を演じた崎山つばさ、お嬢さんこと芙美子役の岡本夏美、そして丈士の兄で洋菓子店の店長・稜役の村井良大にインタビュー。役への思いや、本作のキュンとできるポイントを聞いた。
取材・文 / 秋葉萌実撮影 / 梁瀬玉実
中学生のマインドに戻ってしまう(崎山)
──原作マンガは“パティシエさん”の丈士と“お嬢さん”こと芙美子の関係がもどかしくもかわいらしく描かれている作品です。皆さんは原作や脚本にどんな印象を抱きましたか?
岡本夏美 本当にかわいい作品ですよね。人気になる理由がわかります。私もTwitterで発表されたときに発見していたら、応援したくなっただろうな。
崎山つばさ 作者の銀泥先生が原作の最後のページで、スタッフの方や飼っている猫への感謝のメッセージを書かれていたのが印象に残っています。この作品に対する愛情が感じられたし、銀泥先生の人柄がマンガの世界観にも表れているなと思って。だから僕らがそれをちゃんと表現しなければ、と気が引き締まりました。
村井良大 原作はやわらかい雰囲気が素敵だよね。監督はドラマを作るときに「優しい気持ちになる平和な作品を作りたい」とおっしゃっていました。
──ご自身が演じるキャラの魅力についてはどう捉えてらっしゃいますか。
岡本 お兄ちゃんからどうぞ!
村井 お兄ちゃんから?(笑) 稜はちょっと謎が多くて、一見すると取っつきにくそうな男ですが、丈士との間にはしっかりとした絆が感じられます。稜は丈士のすべてをサポートするわけではなく、そっと見守っている。男2人ならではの空気感があるなと思っていました。
崎山 いいお兄ちゃん!
村井 ありがとう。
崎山 丈士は純粋でまっすぐな男です。お客さんに対しては紳士な男前ですが、芙美子ちゃんの前だと中学生のマインドに戻ってしまう。お兄ちゃんにアシストしてもらいながら少しずつ芙美子ちゃんと距離を縮めていくところは、見ていてもどかしくなるけどかわいいですよね。自分にもそういう瞬間があったなとほほえましい気持ちになります。
村井 昔の自分とちょっと重なるんだ?
崎山 気になる人がいても話しかけられないとか、そういう部分がすごく共感できます。
岡本 芙美子は、自分が大切にしているものに対しての愛が大きい女の子なんです。それを不器用ながらもがんばって表現しようとする姿に好感が持てるし、かわいらしい。性格は自分と全然違いますが、好きなことに対する情熱の大きさは似ている気がします。
こんなテンポ感でやってるんだ!(岡本)
──丈士と芙美子の恋模様に加えて、丈士と稜の掛け合いも本作の魅力の1つだと思います。監督には「漫才みたいに演じて」と言われたそうですね。
崎山 はい。テーマはおぎやはぎさんです!
岡本 レベルが高い!
村井 名人芸の域なのよ(笑)。ビシッとツッコむというよりは、やんわりと教えてあげる感じのトーンを大事にしています。
崎山 お互いを肯定し合う感じがおぎやはぎさんに似ていますよね。本読みの段階から、少しずつそういう雰囲気になってきました。
岡本 私はこの3人が一緒にいるシーンしか撮っていないので、崎山さんと村井さんだけの場面はあまり知らないのですが、ちらっと見させていただいたときは「うわ、こんなテンポ感でやってるんだ!」と驚きました。芙美子ちゃんが知っている2人とは全然違うテンポだったから面白かったし、ドラマ本編で掛け合いを観るのがすごく楽しみです。
崎山 丈士と芙美子ちゃん、丈士と稜のやり取りはやっぱり性質が違うんですよね。そこはけっこう注目ポイントというか、やるぞ!と作戦を練ったところでした。良大さんとは初めましてでしたが、すごい懐が広くてお兄さん気質の方です。
岡本 どんと来いみたいな?
村井 たまに大ポカするけどね。
崎山 いやいや、そんなことないです! ドラマで描かれていない彼らの過去の時間をどう埋めるかが難しいなと感じていましたが、良大さんはなんでも受け止めてくれて全体がよく進むように動いてくださるんです。すごく助けられています。
村井 僕は自由奔放にまっすぐ進んでいく丈士を見て、こんな弟がいたらかわいく見えちゃうだろうなと感じました。正直なやつだし、まったく悪気がない。つばさがそういう丈士の姿を体現しているのを見るのは面白かったです。稜がアドバイスをするシーンはお兄ちゃんらしさを大切にしましたが、基本的には男同士の少しやわらかい雰囲気を楽しみつつ撮影ができました。
崎山 稜はバランス感覚が絶妙ですよね。
村井 そうそう、そこは何も言わないんだ?と思うこともあって。丈士がどうするかを見守りたいんだろうね。
丈士は子犬みたいでかわいい(村井)
──ドラマはほのぼのとした雰囲気に癒やされながらも、2人の両片思いをドキドキしながら見守る作品になるのではと思います。皆さんがキュンとした場面はありましたか?
岡本 両片思いってめっちゃパワーワードですね! 私は芙美子が丈士さんからレープクーヘン(ドイツの伝統的な焼き菓子)をもらうシーンです。そういう特別感にあふれた瞬間にキュンとします。
崎山 丈士は芙美子にそれを渡すために、わざわざ取っておいてるしね。
岡本 そうです。芙美子はお店に丈士さんがいないと思って落ち込んでいた場面だったので、そのサプライズ感も含めていいなと思います。
崎山 それは逆もしかりですよ。あ、これはネタバレになっちゃうかな。雪が降っていて……。
岡本 めっちゃ最後のシーン!! 言わないほうがいいですよ!
崎山 そうだね、じゃあ芙美子ちゃんの毎回違うカチューシャ姿ですかね(笑)。実際には描かれていませんが、それを選んでいる姿を想像するとちょっとキュンとします。
岡本 丈士さんはスーツがすごくかっこよかったです。
崎山 ありがとうございます! 着物姿もそうだし、装いがいつもと違うのってときめきますよね。芙美子ちゃんや丈士だけじゃなく、お兄ちゃんでキュンとできるところももちろんあります。いろんなキュンポイントが登場するので、そこを楽しんでもらえれば。お兄ちゃんとはバックハグもしましたしね(笑)。
村井 されたね! そこはぜひキュンとしてほしいな。僕は、芙美子ちゃんにスイーツの紹介をする瞬間の丈士。いつもかわいいんですよ!
岡本 子犬みたいなかわいらしさがありますよね。
村井 そうそう、男らしいんだけど子犬みたいで、そこにぐっとくる。
岡本 丈士さん、そのシーンは目がすごくキラキラしています。そんな目丸いっけ?と思うくらい。
崎山 そんなふうに見られていたんだ、恥ずかしい(笑)。
- 崎山つばさ(サキヤマツバサ)
- 1989年11月3日生まれ、千葉県出身。2014年に俳優デビューし、主な出演作には映画「クロガラス」シリーズ、ドラマ・映画「広告会社、男子寮のおかずくん」、ミュージカル「刀剣乱舞」シリーズ、舞台・映画「死神遣いの事件帖」、舞台「幽☆遊☆白書」などがある。主演を務めた「WOWOWオリジナルドラマ 薄桜鬼」が2022年1月よりWOWOWプライムで放送、WOWOWオンデマンドで配信される。
- 岡本夏美(オカモトナツミ)
- 1998年7月1日生まれ、神奈川県出身。2011年にファッション雑誌・ラブベリーのモデルオーディションでグランプリに輝き芸能界デビュー。同誌やnicola、Seventeenでモデルを務め、2019年からはnon-noの専属モデルを務めている。ドラマ・映画「賭ケグルイ」シリーズ、ドラマ「きれいのくに」、映画「ハニーレモンソーダ」、舞台「愛するとき 死するとき」などに出演した。
- 村井良大(ムライリョウタ)
- 1988年6月29日生まれ、東京都出身。2007年に「風魔の小次郎」でドラマ初主演を果たし、2009年放送の特撮ドラマ「仮面ライダーディケイド」への出演で注目を集めた。主な作品にドラマ「教場」「教場II」、舞台「RENT」「ローズのジレンマ」「蜘蛛女のキス」などがある。今後は、2022年2月13日にWOWOWで放送スタートの「連続ドラマW 邪神の天秤 公安分析班」に参加。出演舞台「ミュージカル『手紙』2022」が3月12日より東京・東京建物 Brillia HALLで上演される。