映画ナタリー PowerPush - 「ラスト5イヤーズ」
今井洋介×島袋聖南 テラハ出身の恋愛マスター2人が語る、恋と結婚
トニー賞受賞ソングライターによる同名ミュージカルを映画化した「ラスト5イヤーズ」。1組のカップルの5年間を、男性は出会いから別れまで、女性は別れから出会いまで、逆行する時間軸で描き、恋の楽しさと結婚の難しさを14曲の歌でつづっている。
映画ナタリーでは、昨年まで放送されていたリアリティ番組「テラスハウス」でさまざまな恋愛模様を見せてくれた今井洋介と島袋聖南の対談を実施。2人の恋愛マスターに、男女それぞれの視点から「ラスト5イヤーズ」の魅力を語ってもらった。
取材・文 / 黛木綿子 撮影 / 高岡弘
男女の脳みその違いを痛感して「あるある」と共感しました(島袋)
──まずは作品をご覧になってみていかがでしたか?
島袋 私は初めてミュージカル映画を観たので、すごく新鮮で、エンタテインメントとして楽しめました。「男ってこういうとこあるよね」って、男女の脳みその違いを痛感して「あるある」と共感しちゃいましたね。ハッピーエンドで終わらないところがまたリアルで。男女それぞれの視点を逆行する時間軸で描いているのも面白かったです。
今井 そうそう。男のほうは出会いから別れまで順行の時間軸だから、こういう思い出があって、こういう理由があるから別れるっていうロジカルな思考ですよね。それに対して女性のほうは気持ちがもっとも揺れ動く別れをスタートにしていて、論理よりも感情が先行している感じ。そういう男女の思考プロセスの違いをうまく時間軸で表現してるなって思いました。……っていう俺のコメントこそ、一番うまく表現できてんじゃねえかなと(笑)。
島袋 洋さんすごい! 次にコメントするの無理です。どうしよう(笑)。
今井 ちなみに監督は「マディソン郡の橋」の脚本を書いた人ですよね。俺、原作を原文で読んだことがあって、映画も観たんですけど、単なるイチャイチャ、チョメチョメのラブストーリーではなくて、簡単に答えの出ない男女間のことを見事に描いてるんです。「ラスト5イヤーズ」にも彼の作風が出てましたね。リチャード・ラグラヴェネーズ……この名前をぱっと見たときに、あ、あの人ねって。単純明快なラブストーリーではないんだろうなって予想はしてたんですけど。今ちょっと、自分の素養を出してみました(笑)。
──失礼ですが、なんだか「テラスハウス」での今井さんと印象が違ってびっくりです。番組ではそういう知性漂うトークはカットされていたんでしょうか。
今井 多分、痰が絡んでたんだと(笑)。俺、いつも牛乳瓶のフタが喉に詰まったような声してるから、マイクで拾えなかったんじゃないかな。
──音声さんサイドの問題だったんですね。今日はきっちり拾わせていただきます。
相手の女性には何もあきらめてほしくないですね(今井)
──若くして小説家として成功するジェイミーと、女優として花開かずに思い悩むキャシー、どちらに共感しましたか?
島袋 2人とも野心があるから、お互い波が最高潮のときはすごくラブラブで、いい感じなんですけど、片方の気持ちが少しでも離れるときついなと思いました。キャシーが「なんで大切にしてくれないの? 私との時間がとれないの?」って怒るのもわかるし、ジェイミーはジェイミーで、出世して付き合いが増えていく中で誘惑を受けることもあるじゃないですか。だから、どっちの気持ちもわかるなって。
──ジェイミーは結婚直後に「浮気しそうだぜ」と歌うシーンがありますよね。正直ひどいと思いませんでしたか?
島袋 でも、仕事ができる男ってモテると思うんですよね。キャシーは自分の夢も大事にしていて、男性の3歩後ろを歩いて支えるようなタイプじゃないから、ジェイミーも我慢しようと思えなくなっちゃったんじゃないかな。
──島袋さんもバリバリお仕事されてますよね。
島袋 はい。だから私も無理かもしれない(笑)。
今井 俺は、相手の女性には何もあきらめてほしくないですね。例えば家庭に収まることが、彼女の夢の妨げになるんだったら、それは望まない。……すごくいい男だね、俺(笑)。逆に、家庭に収まって夫を支えたいっていう人もいるし、どっちが正解とかじゃなくて。幸せの価値観はそれぞれ違うから、お互いが別の人間で、別のものさしを持っていることを認識するのが幸せへの1歩かなって思います。まあ俺、3年ぐらい彼女いないんですけど。
次のページ » 恋愛する相手のことを自分の中で“先生”って呼んでる(今井)
「ラスト5イヤーズ」 2015年4月25日 全国公開
オフブロードウェイで大ヒットを記録した同名ミュージカルを、「P.S. アイラヴユー」のリチャード・ラグラヴェネーズ監督が映画化。小説家のジェイミーと女優を目指すキャシーが出会い、結婚し、そして別れるまでの5年間を追う。男性は出会いから別れまで、女性は別れから出会いまで、それぞれ逆行する時間軸で描いた意欲作。14曲のラブソングがときに楽しく、ときに切なく、劇中を彩る。
スタッフ
監督・脚本・製作:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作・音楽:ジェイソン・ロバート・ブラウン
キャスト
キャシー:アナ・ケンドリック
ジェイミー:ジェレミー・ジョーダン
左 / 今井洋介(イマイヨウスケ)
1984年10月29日生まれ。神奈川県出身。写真家、音楽家。2013年からリアリティ番組「テラスハウス」に出演し、人気を集める。劇場版「テラスハウス クロージング・ドア」にも出演。5月7日~13日に赤坂RED / THEATERで上演される舞台、山田ジャパン「大渋滞」に出演。
右 / 島袋聖南(シマブクロセイナ)
1987年4月4日生まれ。沖縄県出身。モデルとして活躍する傍ら、フジテレビ系で2012年~2014年に放送された「テラスハウス」に出演。そのトレンディすぎる言動が話題を呼んだ。公開中の劇場版「テラスハウス クロージング・ドア」にも出演している。スタイルブック「I am SEINA」が発売中。