映画ナタリー PowerPush - 鏡の中の笑顔たち

髪も心もスタイリングする訪問美容のお仕事を描く

白石隼也&夏菜インタビュー

夏菜 インタビュー

監督が私のキャラに寄せて脚本を書いてくれたんです

──演じられた高橋まりという役どころについて、最初はどのようにイメージしましたか?

夏菜

準備稿では、柔らかい雰囲気の女の子として書かれていたんです。でも監督が私に寄せてくれたのか、決定稿では言い回しとかが変わって、遼にものを言うような女の子になっていて。優しい子を演じてみたかったのにとも思いましたが(笑)、おかげでやりやすくて楽しめました。

──まりは元気な印象を受けますが、実はそこまでポジティブではない気がします。

そうなんです。そこが私に似ている部分で、一番外側はポジティブ風だけど、中身はかなりネガティブという(笑)。女の子っぽいといえば女の子っぽいキャラクターですね。

──今回は美容師役ですが、役作りの過程でメイクさんや美容師さんを意識して見たりしましたか?

まり(夏菜)は訪問美容に通う中で成長していく。

「見ないで」と言われながらも、じーっと観察しました。参考にしたのは会話の始め方。たとえば洋服の話題から入るとか、どこから来たのかという話はもちろん、あそこの何々がおいしいとか。世間話ですが、自分から切り出さなきゃいけないのがすごく難しい。髪やメイクの話など、女の子ならではの話をするように心がけました。最近、コミュニケーション能力がグッと下がっていたので、やっぱり直に人と会って話すのは大事なことなんだと実感しましたね。

現場では年下の白石くんに引っ張ってもらってました

──井上遼役の白石さんとは「GANTZ」以来の共演ですが、改めて共演してみての印象は?

「GANTZ」のときの彼は子犬みたいな役だったんですが、撮影で顔をあわせた時間はそんなになかったので、そのキャラクターのイメージが強くて。今回お会いしたら、めちゃめちゃクールで、最初は全然目もあわせてくれないし、どうしようかと思いました(笑)。実は中身はホットで、演技にも情熱があって、真剣にいろんなことを考えている “ザ・男”って感じの方。白石くんのほうが年下ですが、現場では引っ張ってもらっていた感じです。

──演技する上で白石さんと相談されたりはしましたか?

監督からは「こういうふうに」というような指示はあまりなかったので、私たちも自由に、かつ責任を持ってやっていました。白石くんとは「こうしようか」とか「もうちょっと距離が近いほうが」とか相談しながら作っていましたし、白石くんが無口なほうなので、私から話しかけて、まりと遼の関係を保とうとしていました。

遼は札幌の美容室で働くまりと次第に心を通わせていく。

──白石さんは無口ということですが、そういった意味では遼とイメージは合っていましたか?

かなり。近いというかそのまんまみたいな(笑)。お互いに、そんな感じはしましたね。

──遼とまりの関係性についてはどう感じますか?

プラス極とマイナス極で、2人でいるとバランスが取れるようになるという。相性がいいというか、中和されてとてもいいんじゃないでしょうか。

監督が髪の毛を切られながら撮影していたのが衝撃でした

──撮影で面白かったエピソードは?

夏菜

美容室が現場だったのですが、監督がメイクさんに髪の毛を切られながら、「よーいスタート!」と言っているのがシュールで、すごい現場だと思いました(笑)。監督の髪がすごく長かったので、「監督、髪の毛切ったほうがいいんじゃないですか」と言ったら、そんなことになって。

──髪をカットされながら撮影のカットをかけると(笑)。

そうそうそう(笑)。本当にカットされながら、カットと言っていました。あとは、撮影がすごく速くて、毎日2~3時間ぐらい(撮影が)巻くんです。だから現場にいる時間が短くて、みんなでご飯に行くこともできました。プライベートな時間が多かったですね。

──最後に、この作品を特にどんな人に届けたいと思いますか?

若者。とにかくSNSとか夢中になっているそこのアナタに、1回観てもらいたい。大事なことを忘れていると思うんですよね。私もそうですけど、やっぱり携帯でどうにでもなっちゃうので、コミュニケーションをとった気になっちゃう。でも、それじゃ伝わるものも伝わらないから、この作品を観て、改めてコミュニケーションの大事さを見直してみてほしいです。それが自分の心の糧になっていくと思うので。

「鏡の中の笑顔たち」 / 2015年5月30日(土)より角川シネマ新宿ほか全国公開
数々のコンクールで輝かしい賞を受賞し、都内のヘアサロンでカリスマ美容師として働く井上遼(白石隼也)。ある日、自分が担当する人気モデルからの交際を断ったことが原因で、不服にも店を解雇されてしまう。さらに自宅のアパートが火事に見舞われ、路頭に迷った遼は、疎遠になっていた故郷の札幌へと足を向けた。地元の先輩、和也(中尾明慶)の紹介で、遼はしばらく地元の美容室に身を置くことになる。はじめは店になじめなかった遼だが、同僚のまり(夏菜)と訪問美容に参加するようになり、さまざまな人との出会いを通して成長していく。
スタッフ
  • 監督:喜多一郎
  • 脚本:瀬古千裕、喜多一郎
  • 主題歌:RAM WIRE「僕らの手には 何もないけど、」
キャスト
  • 井上遼:白石隼也
  • 高橋まり:夏菜
  • 倉橋和也:中尾明慶
  • 井上由紀:松下由樹
  • 野村幸太郎:ミッキー・カーチス
  • 長谷川さくら:松原智恵子

©2015「鏡の中の笑顔たち」製作委員会

auビデオパスでしか見られない!映画「鏡の中の笑顔たち」特別編集 冒頭25分ムービーを5月31日まで限定配信
今回配信される映像は、物語の冒頭から中盤までの映像を25分に編集したもの。auビデオパス会員であれば、誰でも視聴することができる。
白石隼也(シライシシュンヤ)

1990年8月3日生まれ。神奈川県出身。2007年「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞し、翌年「制服サバイガールII」で俳優デビュー。2012年、ドラマ「仮面ライダーウィザード」に主演し注目を集める。主な出演作は「GANTZ」「カイジ2~人生奪回ゲーム~」、ドラマ「彼岸島」「私の嫌いな探偵」ほか。6月27日公開「ストレイヤーズ・クロニクル」、2016年公開「彼岸島」にも出演。

夏菜(ナツナ)

1989年5月23日生まれ。埼玉県出身。2006年、ドラマ「ガチバカ!」でデビュー。2011年に「GANTZ」2部作で体当たりの演技を見せ話題を呼ぶ。2012年、NHK連続テレビ小説「純と愛」に主演。近作は「監禁探偵」「クローバー」、ドラマ「らんま1/2」など。NHK BSプレミアム「The Covers」ではレギュラーMCを務めており、テレビ・舞台・映画と幅広い分野で活躍している。