映画ナタリー PowerPush - 鏡の中の笑顔たち

髪も心もスタイリングする訪問美容のお仕事を描く

白石隼也&夏菜インタビュー

「芝居できないな」と思われてもいいから、「感じたら言葉を返そう」と

──役作りで特にこだわったことはありますか?

白石隼也

普遍的なテーマの作品なので、わかりやすいお芝居をしたら役者の個性がなくなってしまうのではと思いまして。今回、自分なりのテーマとしてやっていたのが、「芝居できないな」と思われてもいいから、「感じたら動こう、感じたら言葉を返そう」ということ。つまり、セリフは言いたくなるまで言わない。それでようやくこの映画のアイデンティティが見えてくるのかなと思ったので、思い切ってそういうことを心がけてやりました。

──白石さんは6月に「ストレイヤーズ・クロニクル」の公開も控えていたりと、アクション映画に出られているイメージが強いです。今回アクションはありませんが、そのあたりの切り替えは?

この映画は去年の年末に撮ったのですが、その前に夏から秋ぐらいにかけて2作続けてアクション映画を撮っていたんです。自分でも「アクション俳優だったのかな」と思うぐらいアクションづいていて。そういう意味では、この作品ではようやく戦わなくていいっていう反動もあって、アプローチを変えた部分があったのかもしれません。

夏菜さんはすごくパワフルな方で、現場を明るくしてくれました

──高橋まり役の夏菜さんとは「GANTZ」以来の共演ですが、改めて共演してみた印象は?

「GANTZ」のときはそこまで一緒のシーンはなかったのですが、今回改めてガッツリ絡んでみたら、すごくパワフルで元気な方で。現場を明るくしてくれて助かりました。

──遼の母親・由紀役の松下由樹さんとの共演はいかがでしたか?

遼(白石隼也)は久々に実家へ帰り、母(松下由樹)と暮らす。

どうしても「ナースのお仕事」の主任のイメージがあって、わりと若手には厳しいのかなと思っていたのですが、もちろん全然そんなことはありませんでした(笑)。すごく優しい方で、逆にどう接していいのかなと迷っちゃいました。ずっとテレビや映画で観てきた方なので、共演するのが不思議な気分でしたね。

──遼の先輩・倉橋和也を演じる中尾明慶さんとのシーンはアクセントになっていて楽しいですね。

遼のよき相談相手となる先輩の和也(中尾明慶)。

中尾くんは、札幌での撮影が1日だったので大変だったと思います。さっきも話した通り、今回は芝居に関して「セリフは言いたくなるまで言わない」って決めてたんで、みんな最初はびっくりするわけですよ。そういう中でも中尾くんはすぐに僕の思いを汲み取ってくれて、芝居を受けてくれていたのが非常にありがたかったです。

──やはり今回は演技面での挑戦を相手に伝えるまでが大変だったようですね。

そうですね。ミッキー・カーチスさんはわりと似たような感じの演技をなさっていたので、ミッキーさんとのシーンが一番やりやすかったというか、心置きなくリラックスしてやれました。

雪山の過酷なロケが見事に感動的な場面になってました

──東京でのシーンもありますが、物語の大部分は北海道で展開していきます。北海道ロケはいかがでしたか?

白石隼也

ちょうど寒い時期ではあったのですが、雪のロケーションもすごくよかったですし、ご飯もおいしく、楽しかったです。

──印象に残っている出来事はありますか?

雪山のシーンがあるのですが、ものすごく寒くて(体感温度が)マイナス20度ぐらい。現場は本当に過酷で誰もが顔が引きつるような感じでしたが、見事にそこが感動的な場面になっていました。

──そんな状況下であのシーンを撮っていたとは……。

もうちょっとあの感じも伝わってほしいなと……映画的にはいらないですけどね(笑)。過酷な感じがないのもなんかもったいないなと、すごい印象に残っています。

──作品全体を通して、注目してほしいのはどんな点ですか?

僕が演じた井上遼がもがいているさま、大きくもがいているわけではなく、犬かきぐらいにしかもがかないですが、そういうところを今回、冒険するぐらいナチュラルな感じでやってみたので、そのへんを面白がってもらえたらと思います。

「鏡の中の笑顔たち」 / 2015年5月30日(土)より角川シネマ新宿ほか全国公開
数々のコンクールで輝かしい賞を受賞し、都内のヘアサロンでカリスマ美容師として働く井上遼(白石隼也)。ある日、自分が担当する人気モデルからの交際を断ったことが原因で、不服にも店を解雇されてしまう。さらに自宅のアパートが火事に見舞われ、路頭に迷った遼は、疎遠になっていた故郷の札幌へと足を向けた。地元の先輩、和也(中尾明慶)の紹介で、遼はしばらく地元の美容室に身を置くことになる。はじめは店になじめなかった遼だが、同僚のまり(夏菜)と訪問美容に参加するようになり、さまざまな人との出会いを通して成長していく。
スタッフ
  • 監督:喜多一郎
  • 脚本:瀬古千裕、喜多一郎
  • 主題歌:RAM WIRE「僕らの手には 何もないけど、」
キャスト
  • 井上遼:白石隼也
  • 高橋まり:夏菜
  • 倉橋和也:中尾明慶
  • 井上由紀:松下由樹
  • 野村幸太郎:ミッキー・カーチス
  • 長谷川さくら:松原智恵子

©2015「鏡の中の笑顔たち」製作委員会

auビデオパスでしか見られない!映画「鏡の中の笑顔たち」特別編集 冒頭25分ムービーを5月31日まで限定配信
今回配信される映像は、物語の冒頭から中盤までの映像を25分に編集したもの。auビデオパス会員であれば、誰でも視聴することができる。
白石隼也(シライシシュンヤ)

1990年8月3日生まれ。神奈川県出身。2007年「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞し、翌年「制服サバイガールII」で俳優デビュー。2012年、ドラマ「仮面ライダーウィザード」に主演し注目を集める。主な出演作は「GANTZ」「カイジ2~人生奪回ゲーム~」、ドラマ「彼岸島」「私の嫌いな探偵」ほか。6月27日公開「ストレイヤーズ・クロニクル」、2016年公開「彼岸島」にも出演。

夏菜(ナツナ)

1989年5月23日生まれ。埼玉県出身。2006年、ドラマ「ガチバカ!」でデビュー。2011年に「GANTZ」2部作で体当たりの演技を見せ話題を呼ぶ。2012年、NHK連続テレビ小説「純と愛」に主演。近作は「監禁探偵」「クローバー」、ドラマ「らんま1/2」など。NHK BSプレミアム「The Covers」ではレギュラーMCを務めており、テレビ・舞台・映画と幅広い分野で活躍している。