映画ナタリー PowerPush - 海外ドラマ「ベイツ・モーテル」

映画史に残る殺人鬼はこうして生まれた! “神様”ヒッチコックの遺伝子を継ぐ狂気のサイコスリラー

“サイコ”“サイコパス”という言葉を世に広めた映画「サイコ」は、1960年に巨匠アルフレッド・ヒッチコックが生み出したサスペンス映画の金字塔だ。「ベイツ・モーテル」はその「サイコ」の前日譚を描いた海外ドラマ。猟奇殺人鬼ノーマン・ベイツがいかにして誕生したのか、その原点が紐解かれる。

映画史に残る名作として語り継がれる「サイコ」の背景を知ることができる「ベイツ・モーテル」は、映画ファンにとっては必見のドラマと言えるだろう。映画ナタリーではその魅力を徹底解説する。

文 / 前田かおり

「ベイツ・モーテル」とは

ヒッチコックの名作「サイコ」の前日譚

左からノーマン(フレディ・ハイモア)と学校の人気者ブラッドリー(ニコラ・ペルツ)。

名匠アルフレッド・ヒッチコックが1960年に製作した映画「サイコ」。会社の金を横領して逃げた女性が、内気な青年と年老いた母親が営む“ベイツ・モーテル”に泊まったことから思いがけない事態に巻き込まれる。ヒッチコック作品の中でも最高傑作の呼び声が高く、映画やドラマの人気ジャンルの1つであるサイコサスペンスの原点で、この映画をきっかけに“サイコ”“サイコパス”という言葉が広く使われるようになった。そんな名作の主人公であり、映画史に残る猟奇殺人鬼ノーマン・ベイツがどうやって誕生したのか。彼のティーンエイジャー時代にさかのぼって描いているのが「ベイツ・モーテル」なのだ。

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[DVD4枚組] 3888円
NBCユニバーサル・エンターテイメント / GNBF-3331
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猟奇殺人鬼誕生の秘密と「サイコ」への伏線

一見、母親思いの優しい男の正体が、実は凶悪な殺人犯だった!? その秘密に迫る前日譚。時代は現代へと変更してあるが、世界観はもちろん「サイコ」を踏襲しており、ストーリーは、モーテルに母親ノーマと17歳のノーマンが移り住むところからスタートする。撮影には、保存されていた「サイコ」に登場する丘の上の屋敷や、オリジナル通りに再現されたモーテルのセットを使用している。さらに、有名なシャワーシーン、窓際に立つ母親の姿、剥製、モーテル近くの沼など、ファンならほくそ笑みたくなる伏線を随所にちりばめている。ドラマから観ても、母子の異常な関係やいわくありげな人間模様など、怪しきベイツ親子の行く末が気になって仕方なくなるはず。

「ベイツ・モーテル」のノーマンと犬の剥製。「サイコ」のノーマン(アンソニー・パーキンス)と鳥の剥製。

キャラクター紹介

ノーマン・ベイツ(フレディ・ハイモア)
ノーマン・ベイツ(フレディ・ハイモア)

17歳。シャイな高校生。母ノーマにベッタリで逆らえず、依存心も強い。学校の成績はよくないが、頭は悪くなく、文才に秀でている。ひ弱で男子生徒からはバカにされがちだが、女子ウケはいい。母ノーマを見下す異父兄のディランとは気が合わず、敬遠している。

ノーマ・ルイーズ・ベイツ(ヴェラ・ファーミガ)
ノーマ・ルイーズ・ベイツ(ヴェラ・ファーミガ)

息子ノーマンを溺愛する母。夫の死後、人生をやり直そうと保険金をもとにモーテルを購入し、経営に乗り出す。新しい生活を守ろうとする反面、女の武器を使ってうまく立ち回ろうとし、ノーマンも支配する。最初の夫との子ディランのことは愛せず疎んじる。

ディラン・マセット(マックス・シエリオット)
ディラン・マセット
(マックス・シエリオット)

ノーマと最初の夫との間に生まれた息子で、ノーマンの異父兄。ノーマたちとは不仲だが、金も仕事もなくモーテルに転がり込む。

エマ・ディコーディ(オリヴィア・クック)
エマ・ディコーディ
(オリヴィア・クック)

ノーマンのクラスメート。のう胞性線維症を患っており、いつも酸素ボンベを携帯している。ノーマンにほのかな恋心を抱いている。

ブラッドリー・マーティン(ニコラ・ペルツ)
ブラッドリー・マーティン
(ニコラ・ペルツ)

ノーマンのクラスメート。美人で学校でも人気者だが、転校初日のノーマンに声をかけ、友達に。突然、父の死という悲劇に遭う。

アレックス・ロメロ(ネスター・カーボネル)
アレックス・ロメロ
(ネスター・カーボネル)

保安官。幼なじみでモーテルの元持ち主だったキースが失踪したことについて、ノーマが関わっているのではないかと疑う。

ザック・シェルビー(マイク・ヴォーゲル)
ザック・シェルビー
(マイク・ヴォーゲル)

ロメロの部下である副保安官。捜査の過程で、ノーマの色香に惹かれてしまい、次第に彼女に便宜を図るようになっていく。

海外ドラマ「ベイツ・モーテル」

海外ドラマ「ベイツ・モーテル」

アルフレッド・ヒッチコックによるサスペンス映画「サイコ」の前日譚を描いた海外ドラマシリーズ。企画・製作総指揮・脚本を手がけたのは、人気ドラマ「LOST」のカールトン・キューズ。また、ハリウッド映画「ザ・リング」「THE JUON/呪怨」の製作総指揮を担当したロイ・リーが本作でも製作総指揮を務めている。主演は「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモアと「マイレージ、マイライフ」のヴェラ・ファーミガ。

DVD発売情報
「ベイツ・モーテル」
DVD-BOX / 2015年6月3日発売 [DVD3枚組] 6480円 / NBCユニバーサル・エンターテイメント / GNBF-3278
レンタル情報
Vol.1~Vol.5 6月3日レンタル開始
ストーリー

17歳の高校生ノーマン・ベイツは、母ノーマと2人でオレゴン州のホワイト・パイン・ベイに引っ越してくる。抵当流れのモーテルを買い取って開業しようとしたノーマだったが、前オーナーのキースに因縁をつけられ、ノーマンが美人の同級生ブラッドリーとパーティに出かけている隙に、襲われてしまう。帰宅して母が襲われているのを発見したノーマンはキースを殴りつけ、さらにノーマと共にキースを殺害。遺体をモーテルで処分しようとしていると、保安官のロメロと副保安官のシェルビーがやって来て……。

スタッフ

企画・製作総指揮・脚本:カールトン・キューズ、ケリー・エーリン
製作総指揮:ロイ・リー、マーク・ウォルパー

キャスト

ノーマン・ベイツ:フレディ・ハイモア
ノーマ・ルイーズ・ベイツ:ヴェラ・ファーミガ
ディラン・マセット:マックス・シエリオット
エマ・ディコーディ:オリヴィア・クック
ブラッドリー・マーティン:ニコラ・ペルツ
アレックス・ロメロ:ネスター・カーボネル
ザック・シェルビー:マイク・ヴォーゲル