思い出の作品は高田りえ先生の「HEART」、上原きみ子先生の「マリーベル」

──今年でSho-Comiは創刊50周年を迎えました。白石さんは昔からSho-Comiを読まれていましたか?

高校生のときに買って読んでいましたね。高田りえ先生の「HEART」が好きで、特に(松風)尚武さんが好きだったのを覚えています。あとは篠原千絵先生の「天は赤い河のほとり」も好きでした。創刊50周年記念でまた「天河」の読み切りが載ると聞いているので、すごく楽しみにしています。

──ほかにも思い出の作品はありますか?

上原きみ子先生の「マリーベル」は、少女マンガで初めて泣いた作品です。捨て子の少女・マリーベルと貴族の身分違いの恋から始まるんですけど、その恋は結局うまくいかず、マリーベルは自分の出生を辿るために、旅芸人の男の子と一緒にフランスに渡るんです。その男の子と恋仲になるんですけど、彼が死んじゃうんです。そこで泣いてしまって……。それが小学4年生ぐらいのときですかね。連載されていたのはもっと前なんですが、母親が単行本を持っていたんです。上原先生の単行本は「ロリィの青春」も家にあったんですけど、巻数が揃っていなくて。でも途中から読んでも気にならないくらい面白かったですね。

──その頃から絵は描いていたんですか?

小さい頃から絵を描くのは好きでした。でもマンガは読むものだと思っていたので、マンガを描き始めたのは専門学校に通ってからです。

──そうなんですね。そこから投稿を始めて?

マンガ学科に通っていたので、自然と投稿する流れになりまして。もともと好きで読んでいたのでSho-Comiに投稿してみることにしたんです。そのとき初投稿で佳作をもらったんですが、それが異様にうれしくて。私、たぶんそのときの感動をいまだに超えられたことがないんですよ。

──へええ! それはデビューが決まったときよりも。

そうですね。自分でもできるんだって、初めて認められた感じがしたのがすごくうれしかったのかなと思います。だから今はその感動を超えられることがあるといいなと思いながら描いています。

読者さんからの感想があるから、描き続けています

──マンガを描いている中で楽しいなと感じるのはどんなときなんでしょう?

読者さんからお手紙やTwitterのリプライで感想をいただけるときが一番うれしいですね。じゃないと描き続けていないと思います。皆さんに楽しいと思ってもらえるものを描けているのか?という気持ちは常にあるので、反応をいただけると励みになります。

──印象に残っているメッセージはありますか。

白石ユキが“かわいい”を詰め込んで描いているという「はにかむハニー」カット。

「主人公と友達になりたい」っていう言葉をよくもらうんですが、それはすごくうれしいですね。「友達になりたい」と思ってくれるんだって。あとは、最近読者さんから羊毛フェルトで作った「はにハニ」のマスコットを贈っていただくこともあるんですけど、それがすごくクオリティが高くて。眺めて癒やされています。

──白石さんご自身で作ったりはしないんですか?

一度やってみたことがあるんですけど、めちゃくちゃブサイクな柴犬ができあがってしまい……(笑)。「ああ、これは向いてない。見る専(門)にしよう」と決めました。だから蜜の気持ちはすごくわかるんです。そこは私の気持ちが反映されているところだと思います(笑)。

──あはは(笑)。では、白石さんはマンガを通して、読者の皆さんにどんなことを伝えていきたいと思っていますか。

大それたことは言えないのですが……。つらいことがあっても、ほんの一瞬でもマンガを読んでいるときは楽しい気持ちになってもらえたらいいなって。それだけでいいなって思ってます。

──改めて、白石さんはSho-Comiをどんな雑誌だと感じていますか。

めっちゃキラキラしてますよね。夢が詰まってるなって思います。(キャラクターの)目もみんなキラキラしてるし。トーンもたくさん貼られていますし。隔週連載なのにみんな大変だなあ、すごいなあって思いながら見ています(笑)。あとはSho-Comiに出てくる女の子ってみんなかわいいですよね。作家さんも基本的に皆さん女の子を描くのが好きなんじゃないかなって思います。

ヒロインの雫と、作中のイケメンキャラクターが勢揃いした「あのコの、トリコ。」カット。

──確かにSho-Comiはカッコいい男の子だけではなく、個性豊かな女の子たちも魅力的ですよね。では最後にお聞きしたいのですが、Sho-Comiはこれからもどんな雑誌であってほしいと思いますか?

そうですね……なんでもあり、だけど夢いっぱいであってほしいですね。1つの作品の中でもいろいろな展開が起こりますし、変わった設定のマンガもたくさんありますし……私もその中の1人なので(笑)。変わらずになんでもありな雑誌であってほしいなと思います。自由に描かせてくれる雑誌であり、読む人も楽しんでもらえる雑誌であったらいいなと。「はにかむハニー」もとにかく自由に描いていて、自由すぎて大丈夫かな?というくらいなので(笑)。これからもみんなで楽しめる雑誌であったらいいなと思います。

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白石ユキ(シライシユキ)
白石ユキ
3月29日生まれ。愛媛県出身。 2006年に少女コミック増刊4/15号「パステル少年」(小学館)でデビュー。美麗な筆致で描かれるキャラクターとテンポのいいラブコメで人気を博す。主な作品に「あのコの、トリコ。」「君は、オレが好きだって言ったらどんな顔するだろう。」「恋と怪モノと生徒会」など。現在はSho-Comi(小学館)にて「はにかむハニー」を連載中。単行本は5巻まで発売されている。

2018年12月20日更新