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小学館の少女マンガ誌・Sho-Comiの創刊50周年を記念し、コミックナタリーでは全10回にわたる連載企画を展開中。第5回には「あのコの、トリコ。」「はにかむハニー」の白石ユキが登場する。吉沢亮が主演を務める実写映画「あのコの、トリコ。」を鑑賞しての印象や、好きなものを詰め込んだという連載中の「はにかむハニー」、自身の萌えの基本にあるという“ギャップ”について話を聞いた。

取材・文 / 熊瀬哲子

吉沢亮さんが演じるなんて、「頼、大丈夫かな」

──吉沢亮さんが主演を務める実写映画「あのコの、トリコ。」が、ついに公開されました。映画化が決まったときはどんなお気持ちでしたか?

「あのコの、トリコ。」ポスタービジュアル ©2018 白石ユキ/小学館・「あのコの、トリコ。」製作委員会

去年か一昨年ぐらいに、当時の担当編集さんから「映画化するかもしれない」という話をちらっと耳にしていて。そのときは「えっ!? 何を言ってるんだろう、この人……」と思うくらい信じられなかったです(笑)。自分の作品が映画化されるなんて想像したこともなかったので、実際に決定したという連絡があったときも「まさか!」と思って。自分のマンガが原作で大丈夫なのかなという不安はありました。

──映画では主人公の鈴木頼役を吉沢亮さん、頼が思いを寄せる立花雫役を新木優子さん、2人の幼なじみであり人気俳優の東條昴役を杉野遥亮さんが演じられます。

皆さん美形ですよね。地味で冴えない頼役を吉沢さんが演じられるなんて、「頼、大丈夫かな……」って思いました(笑)。吉沢さん自身にクールな印象があったので、どういうふうに頼を演じられるんだろうと気になっていたのですが、おどおどしたしゃべり方とかがすごくかわいらしかったです。あとは予告編でも使われていた、メガネを外すシーンも印象的でしたね。頼と雫のコミカルなやり取りも愛らしいなと思いながら観ていました。

──ご自身が描かれたマンガと印象が違ったシーンはありましたか?

「あのコの、トリコ。」より、雫とともに下着の広告の撮影に挑む頼。

頼が雫と一緒に下着の広告の撮影を終えたあと、マンガだと「あの地味だったメガネ男子はどこに行ったんだ」っていうくらい頼がキラキラモードに入っていくんですけど、映画ではそういう大きな変化はないように作られていて。それが現実の人間っぽさがあったといいますか、人はそんなにすぐには変わらないというリアリティを感じて、そこはマンガと実写映画の作り方の違いだなと思って興味深かったです。

──撮影現場にも足を運ばれたんですよね。

はい。想像していたよりもたくさんの人が現場にいて、ありがたいやら申し訳ないやら……なぜかすみませんという気持ちになりました(笑)。その日はラストシーンの撮影をしていて、すごく暑い日だったんですけど、キャストの皆さんは長袖だったんです。だけど皆さん、いい匂いがするんですよね。あれってどういうことなんだろうと不思議でした(笑)。

基本的にギャップがある人が好き

──マンガについてもお伺いさせてください。「あのコの、トリコ。」は、「センチメンタル少年A」(「君は、オレが好きだって言ったらどんな顔するだろう。」3巻に収録)という読み切りが元になったと単行本の中で書かれていました。

次はどんな話を描こうかなと考えていたときに、当時の担当編集さんから「芸能界ものはどうですか?」と提案されて、試しに描いてみたのが「センチメンタル少年A」だったんです。描いてみて手応えもあったので、芸能界を舞台とした「あのコの、トリコ。」の連載を始めることになりました。

──ヒロインとともに芸能界を志すという共通点はありながら、「センチメンタル少年A」の主人公・藍路と、「あのコの、トリコ。」の頼では見た目も性格も違いますよね。キャラクターはどういうふうに考えて作っていったのですか?

「センチメンタル少年A」より、役者の端くれである主人公の藍路。強面だが、実はビビリでヘタレ。

私、基本的にギャップがある人が好きなんですよ。なので「センチメンタル少年A」の藍路も顔が怖いけど性格はヘタレで、「あのコの、トリコ。」の頼も普段は地味だけど演技をするときだけはカッコよくなるという設定にしました。あとは「あのコの、トリコ。」のときに付いてくださっていた担当さんが、チートキャラや天才が無双していくところが好きとお話していて。その要素が頼にも含まれていった気がします。

──確かに頼も雫のために覚醒した結果、芸能界を無双していった感じがありますね。「あのコの、トリコ。」もそうですが、白石さんは「君は、オレが好きだって言ったらどんな顔するだろう。」(以下「君オレ」)でも男の子を主人公とした物語を描かれていました。単行本の中で「女の子を描くのが好き」とも書かれていましたが、男の子を主人公にした理由は何かあったのでしょうか。

「君は、オレが好きだって言ったらどんな顔するだろう。」は、完璧なイケメン高校生・神崎颯士が、とある理由から男装をしているヒロイン・朝比奈湊に思いを寄せる純愛ストーリー。

深い理由はないんですが、男の子を主人公にするほうが描くのが楽なんですよね。女の子視点だと、モノローグもより繊細で、より凝ったものにしないといけないという意識があって、うまく回せないときがあるんです。それが男の子目線だとあまり気にせず描くことができていて。自分は男の子っぽいのかな?と思いました(笑)。だから女の子を描くのが好きなのかなと。

担当編集 白石先生は、「男の子にこんなことを言われたい」というよりも、自分の描いた女の子キャラに「こういうことを言ってやろう」みたいな、女子キャラを愛でている感じがありますよね。

ふふふ(笑)。たぶんそうだと思います。どうやったら女の子がかわいく見えるかなと考えながら描いてますね。ただ「君オレ」のときはヒロインが男装女子だったので、男の子を描いてるみたいだなあ、もっと女の子を描きたいなあと思っていました(笑)。

キュンとするシーンを考えるときは、脳みそを雑巾のようにギュッと絞る

──「あのコの、トリコ。」の映画化が決まったとき、雫役の新木さんが「女子が見てキュンキュンするポイントが全部詰まっているマンガで、楽しんで読ませていただきました」とコメントされていましたが(参照:「あのコの、トリコ。」実写映画化!吉沢亮、新木優子、杉野遥亮が三角関係に)、女子をキュンとさせるシーンはどういうふうに考えているのでしょうか。

「あのコの、トリコ。」カット。実写映画版のポスターでは、同イラストを鈴木頼役の吉沢亮が再現している。

どうやって読者さんをキュンキュンさせるかは、常に悩んでいますね。Sho-Comiは隔週連載なので、ストーリーの展開もけっこう早くて。その分キュンとさせるシーンの数も多くなるんです。1話につき1つはキュンとするシーンを盛り込まないといけない。だから余計に悩むところではあって……。脳みそを雑巾のようにギュッと、絞り出して考えている感じですね。

担当編集 白石先生からのネームは、だいたい「このあとイチャイチャさせたいです」というところまでで一度送られてくるんです(笑)。

そうそう(笑)。それがどんなシーンになるかはまだ思いついてないけど、とりあえず先に全体のストーリーの流れだけ確認してもらおうと。イチャイチャするシーンはギリギリまで練って考えていますね。それも「このシチュエーションだったら、このキャラクターはこういう行動をするだろう」というところに落ち着くんですが。もっといろんなアイデアが思いつくようにたくさんインプットしなければとは思っています。ドラマや映画も、全然恋愛とは関係ないものばかり観ちゃうんですよね。サメ映画とか……。

──サメ映画?

サメ映画とか、スプラッター映画とか。最近はなぜか血がバーって出る映画ばかり観ています(笑)。

担当編集 普段ご自分が甘いものを描かれている反動ですかね……?

確かに。刺激を求めてるのかもしれないです(笑)。

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白石ユキ(シライシユキ)
白石ユキ
3月29日生まれ。愛媛県出身。 2006年に少女コミック増刊4/15号「パステル少年」(小学館)でデビュー。美麗な筆致で描かれるキャラクターとテンポのいいラブコメで人気を博す。主な作品に「あのコの、トリコ。」「君は、オレが好きだって言ったらどんな顔するだろう。」「恋と怪モノと生徒会」など。現在はSho-Comi(小学館)にて「はにかむハニー」を連載中。単行本は5巻まで発売されている。