強面、ハンドメイド、身長差……好きを詰め込んだ「はにかむハニー」

「怪物さんに、礼!」より。ヒロインの柚季は、"怪力モンスター"として恐れられる鬼堂の素顔に触れる。

──連載中の「はにかむハニー」(以下「はにハニ」)についてもお聞きしたいのですが、こちらは単行本の中にも書かれていましたが、「怪物さんに、礼!」(「ボクらの秘密を共有しようか」に収録)という読み切りを土台に作られたそうですね。「怪物さんに、礼!」はこれまでの作品の中でも一番萌えを詰め込んだお話だったそうですが……。

そうですね、ここでもやっぱりギャップなんです。「怪物さんに、礼!」は顔が怖くて“怪力モンスター”と呼ばれているけど、実は優しいというギャップがある鬼堂くんを描いていて。「はにハニ」の熊谷くんの見た目が怖いけど実はハンドメイドが得意というギャップのある設定も、鬼堂くんが元になっています。私、目つきの悪い男子を描くのが好きなんですよね。鬼堂くんもそうだし、「センチメンタル少年A」の藍路もそうだし、「はにハニ」の熊谷くんも。……だけど熊谷くんは最近そうでもないなって思いながら描いてるんですが……。

──熊谷くんは強面で周囲に恐れられていますが、実はすごく心優しい男の子ですし、蜜といるときの表情はいつもかわいくてキュンとします。

  • 「はにかむハニー」より。強面であることからクラスでも孤立している熊谷だが、ヒロインの蜜に対しては、心からの笑顔や甘えた姿を見せることも。
  • 「はにかむハニー」より。強面であることからクラスでも孤立している熊谷だが、ヒロインの蜜に対しては、心からの笑顔や甘えた姿を見せることも。

もうあんまり怖くはないですよね(笑)。そのかわいい一面もギャップ萌えの1つかなと思います。「はにハニ」は熊谷くん以外にも自分の好きなものを詰め込んでいる作品です。今、ハンドメイドのミニチュアフードにハマっていて。minne(ハンドメイド作品をユーザーが売買できるWebサービス)で眺めたり、買って部屋に並べたりして楽しんでいるんです。

──へええ。それが熊谷くんがハンドメイドが得意というところに影響しているんですね。

そうですね。昔から食品サンプルとかを見るのが好きだったんです。

──ほかにも好きなものを詰め込まれているんですか?

あとは男女の身長差萌えでしょうか。お祭りとかで身長差のあるカップルを見かけると「おおっ」て思わずときめいちゃいます。それとかわいい女の子ですかね。

──蜜は一見ふわふわしたかわいい女の子ですが、意外と武闘派だったり、芯がしっかりしていたりと、ただかわいいだけの女の子ではない印象です。

強い女の子が好きなんですよね。自分にないものを求めている感じがします。そういうヒロインだと自分から行動してくれるので、描きやすくもあります。「はにハニ」はこれが終わったら何を描けばいいんだろうっていうくらい、自分が好きなものをたくさん詰め込んでいる作品ですね。

「犬夜叉」の殺生丸様が好きでした

──ギャップがある男子や目つきの悪いキャラクターが好きというのは、昔からなんですか?

「はにかむハニー」カット

見るのはなんでも好きなので、描くのが好きという感じですね。逆にストレートなイケメンはあまり描いてこなかったかもしれないです。ナチュラルなイケメンにはあまり面白みを見出せないので、イケメンとして出てきた子に実は裏があるとか、ちょっと変な設定を付け加えたくなっちゃいますね(笑)。

──それが白石さんの作品へのこだわりなんでしょうか。

うーん、実はこだわりっていうほど深くは考えていなくて……。

担当編集 白石先生のこだわりポイントって、細かいところに出ますよね。「あのコの、トリコ。」を連載しているとき、当時の担当編集は「頼のメガネは黒縁のちょっとおしゃれなメガネにしてほしい」と言ったらしいんですけど、白石先生は「頼は銀縁のダサい眼鏡がいい、これが頼だから」とおっしゃって、2人でメガネに対する攻防があったらしくて(笑)。あとはストーリーの中で「ここはギャグっぽい展開を入れたい」とか、「ここは変顔させたい」とか、ピンポイントでこだわりを出されている印象です。

あはは(笑)。そうですね。どこかしらにちょっとした遊びを入れたくなるんです。「はにハニ」は作品のテイストもあって、今まで以上に自分の好きなように描かせていただいているので、そういう遊びの要素もたくさんちりばめさせてもらっています。

──ちなみに白石さんがご自身の萌えの原点だなあと思う作品やキャラクターはいるんですか?

そうですね……。高校生のとき、「犬夜叉」(高橋留美子)の殺生丸様がすっごく好きだったんです。基本的に冷血でクールなんですけど、りんと出会って行動を共にするようになってから、少しずつ距離が近づいていくところが魅力的で。もしかしたら動物っぽい人が好きなのかもしれないです。というか、動物が好き(笑)。自分のマンガでも動物を擬人化して描いている節があるかもしれないです。

──ああ。「はにハニ」の熊谷くんも“凶悪グリズリー”と呼ばれていましたが、蜜の前での素直な感じとか、本能的に行動しているところは動物っぽさがあるかもしれないですね。

はい。そういうキャラクターが描きやすいなと。好きだから描いていて楽しいんですよね。

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白石ユキ(シライシユキ)
白石ユキ
3月29日生まれ。愛媛県出身。 2006年に少女コミック増刊4/15号「パステル少年」(小学館)でデビュー。美麗な筆致で描かれるキャラクターとテンポのいいラブコメで人気を博す。主な作品に「あのコの、トリコ。」「君は、オレが好きだって言ったらどんな顔するだろう。」「恋と怪モノと生徒会」など。現在はSho-Comi(小学館)にて「はにかむハニー」を連載中。単行本は5巻まで発売されている。

2018年12月20日更新