コミックナタリー PowerPush - 柳内大樹「セブン☆スター」

「ギャングキング」作者の最新不良マンガ 魅力的なキャラクター作りの極意とは?

キャラクター名はすべて往年の銀幕スターから

──では2人目のセブン☆スターのメンバー、石原雄次郎についても聞かせてください。

いつもヘラヘラしている雄次郎。

雄次郎は実際にこういう奴が友達にいて、そいつがモデルですね。彼を描きたいなとは前から思っていて。しゃべり方もそのまんまで、なんか語尾を伸ばすんですよ。強い弱いとかあんまり考えないで、ケンカで勝とうが負けようがどっちでもいいからとにかくヘラヘラしながら暴れてるような奴で。なんかそういうのって魅力的ですよね。負けるかもとか気にしてないあたりがカッコいい。とにかく本当にダメな奴なんですよ、その友達も雄次郎も。

──確かに、雄次郎は見ていて一番ヒヤヒヤします。

でしょう。バカ丸出しなんですよ(笑)。あと髪型は、もう亡くなられましたけど「3年B組金八先生」とかに出てた沖田浩之さんがモデルです。

──1980年代初頭くらいのイメージなんでしょうか。

そうそう、あの時代の。「ギャング」のときからそうなんですけど、流行の髪型を描くのが嫌なんですよね。ほかと被ったりしないようにしてます。ジミーはツーブロックでしたけど、あれまだ流行ってませんでしたから。当時僕はダサいと思って描いてたんですよ。ちなみに雄次郎のチーム名「ロックンロール・アンド・トゥ・スモーキング・バレルズ」は、最初は「石原軍団」って名前でした。怒られそうだからやめようってお蔵入りになりましたけど(笑)。

雄次郎のチーム「バレルズ」副リーダーの地井武夫、通称タケ。

──ははは(笑)。キャラクター名はみんな俳優の名前をもじっていますね。石原裕次郎、川谷拓三、松田優作、安岡力也……。地井武男をもじった地井武夫なんてのもいます。

僕、銀幕スターが本当に好きなんですよ。主要キャラクターはみんな、亡くなられた銀幕スター縛りで名前を決めてます。それはリスペクトの意味を込めて。僕、中学生のときなんて周りがみんなおニャン子クラブとか言ってた時代に、高倉健さんのポスターを部屋に貼ってましたから。

──この後まだまだセブン☆スターの仲間が出てくるわけですけど、次は誰の名前をもじるのか気になります。

僕、適当なのでぼんやりとしか考えてないですけど、成田三樹夫さんとか大好きだったんで、いずれ使わせていただきたいなと思ってます。渋いポジションの方なんですよ。

ダメな部分があるからこそ、自分を投影できる

短気でアルコール依存症の力矢。

──では次は安岡力矢です。いまのところ出てきているセブン☆スターのメンバーはこの3人までですね。

彼は短気な奴を出そうと思って作ったキャラですね。……なんか、みんなダメな奴にしたいんです。

──ダメな奴?

みんなそれぞれ、ダメなところを1個作りたいというか。雄次郎は先ほど言った通りだし、タクボンにもあります。みんなそれぞれ弱いところ、ダメなところがあって、それを解決して仲間になっていけたらなあと思ってます。そこに読者が自分を投影してくれたらいいなと。

──セブン☆スター7人の成長や絆を描いていく物語ということですね。まだ登場していない残り4人もどんなキャラクターなのか楽しみです。

まあでも、力矢の次はそろそろ男前出さなきゃなとも思ってますけどね。次もこの見た目じゃ、そんな人気出ないだろうと(笑)。

自由を信条に破天荒な行動を取るフリーマン。

──ははは(笑)。そしてセブン☆スターの7人以外の主要キャラとして、タクボンといずれ戦うことになるであろうフリーマン、松田友作がいます。

フリーマンはかなり思い入れのあるキャラクターです。究極はこうなりたいと思っています。

──彼は極端に自由を愛するがゆえに、かなり破天荒な行動を取る人物ですよね。

僕、自由が好きなんです。だからフリーマンは僕の中で思いついた理想ですね。だから描いててすごく楽しいし、カッコいいなって思いますよ。ただ世の中の仕組み上、ここまで自由になかなかできないじゃないですか。だから憧れるんでしょうけど。

──ビジュアル面ではどういうイメージで作られたんでしょう。

髪型は昔のロックスターみたいな感じをイメージしましたね。あと例えば「メジャー・リーグ」っていう映画に出てたチャーリー・シーンみたいな。ちょっと昔のダサい髪型ってイメージです。ファッションも高級なスーツをグシャグシャにして着てます。そういうのを腕まくりしてたり雑に扱ってるとカッコいいじゃないですか。

柳内大樹「セブン☆スター(1)」 / 2014年8月6日発売 / 610円 / 講談社
柳内大樹「セブン☆スター(1)」
柳内大樹「セブン☆スター(1)」 / 2014年11月6日発売 / 610円 / 講談社
柳内大樹「セブン☆スター(2)」

今から2年前、東京・築地の街を救い、一夜限りの伝説となった7人の若者たち。通称“セブン☆スター”。主人公・川谷卓三(通称:タクボン)は、地元の築地をこよなく愛する20歳。実家の屋形船を手伝いながら、 同じセブン☆スターの雄次郎らとともに、楽しく暮らしている。そんな中、セブン☆スター第3の男・力矢が変わり果てた姿で発見され、タクボンらを巻き込む大事件を起こす。

柳内大樹(ヤナウチダイジュ)
柳内大樹

1975年生まれ、富山県出身。1995年、ヤングマガジンエグザクタ(講談社)にて「別天地」でデビュー。その後、ヤングキング(少年画報社)にて代表作「ギャングキング」を連載。単行本累計1000万部を突破する人気作品となる。そのほか著作に「軍艦少年」(講談社)、「ガキ☆ロック」(秋田書店)、「新説!さかもっちゃん」(集英社)など。2014年4月、ヤングマガジン(講談社)にて「セブン☆スター」の週刊連載を開始する。