学生時代は遠いけど、「佐々木と宮野」を通してどこか追体験している部分がある（島﨑）

──アニメ「佐々木と宮野」で印象に残ったシーンや演出はありますか？

春園　アニメの第8話「気づいた。」で半澤先輩がみゃーちゃん（宮野）に、恋について語るシーンがあるんですけど、そこで校庭で遊んでいた鍵くんが校内にいる平野さんに声をかけるカットが数秒だけ映るんです。スタッフさんが平野さんと鍵くんの関係性を丁寧に拾ってくださっていてうれしかったのと、「平野さーん！」って呼びかける鍵くん、それに笑顔で応える平野さんの姿がすごく瑞々しくて。あと突然の2人の情報量に動揺して、気持ちが落ち着かなかったのを覚えています。

島﨑　（笑）。青春って天候や空気感、温度感が大事じゃないですか。そう勝手に思ってるんですけど、アニメだからこそ理想の自然現象の表情を映し出すことができるんですよね。例えば笑っているような空とか泣いているような空って、実写ではなかなか撮れない。その空気感をリアルに感じてもらえることが、アニメのいいところだなと僕は思っていて。「佐々木と宮野」は青春ものだから、余計にさわやかさがアニメでも映えるし、「佐々木と宮野」であり「平野と鍵浦」である世界がよりリアルに見えてきて、そこに存在するものとしてみんなの中に生きていくのかなって。

松岡　色の使い方が柔らかいもんね。今回夕日の表現がすごく好きだなって思って。教室の中に差し込んでくる光に、懐かしさを覚えるというか。過去の自分の記憶とその映像がいいとこ取りでマッチングして、頭の中に再生されるんだよね。すごく抽象的だけど。

島﨑　いやでもわかるよ。教室の中に差し込んでくる光が夕日だろうが、朝日だろうが青春じゃない。大人になるともうしないけど、教室の窓に手をついて頬杖をつくとかもいいよね。

松岡　夏の真っ昼間に全開にした窓から、カーテンがなびいているのも好き。今あんなのないもんな……歳を取ったな。

島﨑　学生時代は遠いけど、「佐々木と宮野」を通してどこか追体験している部分があるよね。

松岡　あとはアニメのエンディングで背景バックにみんなで下校していくとき、最初はいなかった鍵くんが途中から追加されたんですよ。そこもアニメならではだなって。

島﨑　あと印象に残ったのが、内田雄馬くん演じる半澤先輩の演技。収録の都合で、僕は半澤先輩の声をほとんど聞いてなかったんですよ。半澤先輩、めちゃめちゃ面白い役だよな、どう演じるのかなと思っていたら、いい感じに飄々とした、あざとくなく自然にグイグイな感じとかがあって面白かったなと。ちょっとお客さんの気持ちになりました。

高校生のときはかなりの遅刻魔でした（松岡）

──先ほど青春のお話になりましたが、松岡さん、島﨑さんは高校時代をどのように過ごされていましたか？

島﨑　僕は男子校だったんですけど、吹奏楽部に所属していました。吹奏楽部って体力勝負なところがあって、肺活量を鍛えるためにけっこう走ったりするんですよ。そういう体育会系なところもあって、面白かったですね。

松岡　僕も小・中って吹奏楽部に入っていました。でも高校生になってバイトが解禁されてからはバイト漬けの毎日で。あと高校生のときは僕、かなりの遅刻魔でした。

島﨑　バイトに明け暮れて？

松岡　いやそういうわけでもなくて。まあ夜更かしはめっちゃしてたけど（笑）。

島﨑　そんなもんだよね、学生なんて。

松岡　そんなもんだよ。親なんて途中から諦めて何も言わなくなったし。そういえば出席日数が足りなくなって（笑）、担任の先生から「あと2回遅刻したら、卒業できないぞ」って言われて。毎朝先生から、モーニングコールかのごとく、鬼電がかかってくるようになりました。あれはやばかったですね。

島﨑　よかったね。その先生がいなかったら卒業できなかったじゃん。

──現在は声優としてアニメに携わるお仕事をされているわけですが、当時からアニメは観ていたりしたんですか？

島﨑　大好きでよく観てました。僕が高校生のときに「涼宮ハルヒの憂鬱」が大ブレイクして、そこから京都アニメーションの存在を知って、「AIR」を観て「国崎（往人）、最高！」ってボロボロ泣いたりしていました。主にテレビで深夜アニメを観ていたんですけど、ちょうどニコニコ動画や配信サービスでも、少しずつアニメを公式で配信し始めた頃だったと思います。

松岡　僕は北海道に住んでいたんですけど、アニメは水・金・土の夕方帯と日曜日の朝しか放送されてなかったんですよ。東京に来てからですね、アニメを本格的に観始めたのは。毎日のようにアニメがやっているから驚いて。

──春園先生は高校生時代、アニメを観たりしていましたか？

春園　観てました。とくにアニメ「xxxHOLiC」が大好きで。オープニング映像でアヤカシの手や眼のカットが次々と変わっていくシーンがあるんですけど、あれを観てアニメ関係の職に就きたいと思い、アニメの専門学校に行くことを決意しました。

松岡・島﨑　へええ！

春園　当時はすぐアニメに影響を受けていました。

島﨑　影響受けますよ。

松岡　確かに。僕もアニメ「頭文字D」を観て、声優の前に自動車の整備士を目指していたのを思い出しました。

次のページ »
最終的に平野さんと鍵くんが結ばれて、
本当の家族になっていくところまで演じられたら（島崎）

TVアニメ「佐々木と宮野」

公式サイトへ

配信情報

見放題配信	U-NEXT / dアニメストア / ニコニコ生放送 / ニコニコチャンネル / GYAO! / ひかりTV / FOD / バンダイチャンネル / Hulu / TELASA / J:COMオンデマンド / milplus / アニメ放題 / Amazon Prime Video / アニメカ
都度課金サイト	Rakuten TV / DMM.com 動画 / music.jp / ビデオマーケット / HAPPY!動画 / クランクイン！ビデオ

スタッフ

原作：春園ショウ（『佐々木と宮野』MFCジーンピクシブシリーズ / KADOKAWA刊）

監督：石平信司

助監督：上野壮大

シリーズ構成：中村能子

キャラクターデザイン：藤井まき

美術監督：黛昌樹

色彩設計：桂木今里

撮影監督：近藤慎与

編集：白石あかね

音響監督：はたしょう二

音響効果：出雲範子