アニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」 PR

「ソードアート・オンライン アリシゼーション」島﨑信長(ユージオ役)×川原礫(原作者)対談|ユージオへ贈る2人の思い

今年で刊行開始から10周年を迎える小説「ソードアート・オンライン」(以下、「SAO」)シリーズを原作とした、TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」。原作においてシリーズ最長のボリュームを誇る人気エピソードを全4クールかけて丁寧に描く異例の企画は、3月末に前半2クールの放送を終えた。

そこでコミックナタリーでは、《アリシゼーション》編の重要キャラクターであり、主人公キリトのバディとしてアニメ前半戦を盛り上げたユージオを演じる島﨑信長と、「SAO」の産みの親である原作者の川原礫の対談を企画。一緒に取材を受けるのは初めてという2人に、前半2クールの放送を終えての感想や、2人の愛したユージオへの熱い思いなどを語り合ってもらった。

取材・文 / 丸本大輔 撮影 / 高原マサキ

※本文には前半2クールの内容にかかわる重大なネタバレあり

キリトにとってユージオは、生涯最初で最後の同性の親友

──前半2クール、本当にお疲れ様でした。

左から島﨑信長、川原礫。

川原礫 お疲れ様でした!

島﨑信長 ありがとうございました!

──ここまでの放送を終えて心境はいかがですか?

川原 2クールって始まる前は長いと思っていたんですけれど、終わってみると、あっという間ですね。

島﨑 本当に。楽しい時間はあっという間に終わっちゃうんですね。

川原 ユージオに関しては、(お別れへの)カウントダウン的な感覚もあったというか。特に後半は、「ああ、あの話が来てしまう……」って。ずっとそんなことを考えていました。

島﨑 先生もそうなんですか? 僕もそのことを意識はしていたのですが、たぶん、僕以上に(キリト役の)松岡(禎丞)のほうが意識していたと思います。僕は、ユージオを演じていたからか、アフレコが進むとともに、だんだんと(運命を)受け入れる体勢に入っていて。「僕は旅立つよ」というふうに気持ちが固まっていったんです。でも、松岡のほうは、それがまったく受け入れられないままで(笑)。

川原 あはは(笑)。まあ、見送るほうがつらいですからね。

──島﨑さんと松岡さんは、ユージオとキリトと同じく親友なので、余計につらかったのかもしれないですね。

島﨑信長

島﨑 僕としては、前半2クールでやるべきこと、やれることはやれました、という感じで、1つのことを終えたなという感覚があります。でも、川原先生も「ユージオが……」というお気持ちだったのですね。

川原 (アマチュア時代に)Webで連載していたときは、あらかじめ決まった運命に向かって無我夢中で書き進めていったのですが、それを改めて電撃文庫から出すときに、1回ユージオの運命を変えるチャンスがあったんです。そこでは変えなかったのですが、今回のアニメ化でも、もう1回そのチャンスがあったんですよね。「あれ? ユージオが死なない?」みたいな展開もできる可能性はあったんです。ただ、脚本会議でも言い出せませんでした。

島﨑  もしユージオが生きてたら、この後の展開が……。

川原 後半(第3クール以降)が全部書き直しになりますよね。そうなると、脚本家さんへの負担は非常に大きくなるのですが、(物語として)後半2クールもユージオの活躍の場を作ることは可能だったと思うんです。だから、運命を変えることも考えはしました。

島﨑 それを提案された場合は、きっと「川原先生、責任を持って書いてください」という展開になったと思いますよ(笑)。

川原 ええ、「原案を書いてください」という話になったかもしれないですね(笑)。まあ、小野(学)監督が原作を忠実に映像化するという方針でアニメを作ってくださっていたので、実際には難しかったとは思うのですが。

島﨑 川原先生の中でも、そう思ってもらえるくらい、ユージオは大事な人なんですね。当たり前のことかもしれませんが。そのお話を伺えただけでも、すごくうれしいです。

川原 今後も原作は続いていきますが、ユージオのポジションに立つ男性キャラクターはもう出てこないと思います。キリトにとっては、生涯最初で最後の同性の親友だったと考えると……。惜しいやつを亡くしたなって、しみじみ思います。

キリトに対するユージオの気持ちがわかるなと思うことはあった

──《アリシゼーション》編を書かれたとき、ユージオというキャラクターと、世界観や物語のどちらが先に生まれたのでしょうか?

川原 こういう世界の話を書きたいというアイデアがまずありました。キリトって、最初の《アインクラッド》編を除くと、 基本的には旅人と言うかストレンジャーで、その世界に来ては去っていく人なんです。それで、《アリシゼーション》編を書くとき、逆にその世界のすべてを背負って立つ人間が必要になって。《アンダーワールド》の持つ構造的な矛盾や、そこから生まれる悲劇などを象徴するキャラクターとして、ユージオが生まれました。ただ、キリトと対になる存在なので、当初は同じくらいエネルギッシュな感じにしようと思っていたんです。でも、書いてみると、キリトに対するブレーキみたいな立ち位置になったなと。まあ、言うべきときは言うし、やるときにはやる人なんですけれど。島﨑さんは、松岡さんとはプライベートでも親しいと思うのですが、何かを一緒にするとき、引っ張ったりするのはどちらなのですか?

島﨑信長

島﨑 常にどっちかが引っ張るという関係ではないんですよね。松岡は言葉ではなく、行動で引っ張るタイプ。お芝居に関しても、そうですよね。僕は言語化して、言葉で提案したりするほうなので。ご飯を食べに行くときも、最初はお互いにちょっと譲り合いながら、「何か、強烈に食べたいものある?」と確認し合うところから始まります(笑)。

川原 例えば、普段一緒に歩くときも、どちらかが前を歩くみたいなことは?

島﨑 ないです、ないです。横に並びますよー(笑)。でも、プライベートではなく、マイク前に立っているときは、キリトに対するユージオの気持ちがわかるなと思うことはありました。ユージオは、キリトと対等であろうとはしているのですが、「やっぱり、キリトはすごいや」とか「敵わないな」みたいな、憧れというか、劣等感に近い感情もあるのかなと思うんです。それは、マイナスな思いではなくて、あくまでもキリトが大好きというプラスな気持ちがあるうえでなんですけどね。

──そういった気持ちがご自身の松岡さんに対する気持ちと重なるのですね。

島﨑 昔から松岡を見ていて、そういう気持ちはずっとあります。松岡のエネルギーや瞬発力って、すごいじゃないですか。それこそ、キリトのように周りをグイグイ引っ張っていく力もあるし。ただ、キリトが「ユージオのほうが俺よりも強くなる」と思っているように、松岡も「信長のここがすごいよ」とか普通に言ってくれたりするんですけど。

──第24話のクライマックスの「さあ立って。僕の親友。ぼくの英雄」というセリフも、おふたりの関係や気持ちに重なるところがありましたか?

島﨑 すごくありました。やっぱり松岡は英雄ですよ。本当に昔からすごかったので。お互いに無名で主に兵士A、兵士Bとかをやらせていただいている時期に仲良くなって。その後、2人とも主役などをやらせていただけるようになったのですが、常に松岡のほうがちょっと早いんですよ。たぶん、松岡に聞くと「そんなことはない」と言うと思いますが、僕としては常にアイツが前を走り続けてきた感覚なんです。でも、彼と対等な親友であるのなら、役者としても対等の存在でいたいという気持ちがずっとあって。そのおかげでがんばれたところもあります。実は、「SAO」の収録でも毎回すごく必死でした。

川原 そうなんですか?

「ソードアート・オンライン アリシゼーション」より。

島﨑 松岡がこれまでに積み上げてきたキリトという役の存在感もありますし、何よりもあいつ自身の力がすごいので。ユージオはちゃんとキリトと対等な関係のバディとして存在しているのだから、僕も松岡と対等でなければという気持ちでした。

川原 1期からずっとアフレコに立ち会わせていただいてきたのですが、《アリシゼーション》編のアフレコでの松岡さんは、今までと比べてすごくリラックスしている感じがしました。それって、たぶん島﨑さんが隣に座っていらしたからなんだろうなって。

島﨑 きっと、そうだとは思います(笑)。もちろん、松岡自身の成長もあっての変化だとは思うんですけれど。

川原 やっぱり(笑)。