コミックナタリー PowerPush - 楽園 恋愛マンガの楽園が、ここにある。

年3回刊、俊英ぞろいの極上アンソロジー 執筆作家17人が参加した総力特集

一見バラバラなラインナップだけど、共通点があるらしい(沙村)

沙村 そういえばラインナップは、一見バラバラに感じるけど、共通点もあるみたいですよ。

かずま わ、知りたい。どんなところですか?

沙村 飯田さんの中には仕事を依頼するにあたって、「連載を終わらせられない人には頼まない」っていう基準みたいのがあるって聞いたことがあるんです。話をちゃんと畳める人がいいということなのかな? 理由はわからないけど。それに俺が話をいただいたときは、「無限の住人」の連載が18年目で、終わりも見えてなかったから、実際のところはどうなんだろ(笑)。

──楽園には沙村さん木尾さんに加えて鶴田謙二さんも描かれているので、それこそアフタヌーンっぽくなっちゃうんじゃないかという気もするんですが、全然そうはならないですよね。

あさりよしとお「小惑星(ほし)に挑む」第1回(楽園第4号掲載)の扉イラスト。

沙村 それはやっぱり、女性陣ががんばってるからじゃないですか。基本的に男が異分子ですよね。あさりよしとおさんも、はやぶさ(小惑星探査機)のマンガ描いたりしてて。でも俺は、自分がどんなこと描いてても「読むと恋愛したくなる雑誌」に描いてるんだ、っていう事実に、いい気分にさせてもらってますよ。皆さんにがんばってもらって、その移り香をいただいて。

中村 いや、移り香、染み込みますでしょうか。沙村さんの匂いが強いから…(笑)。

一同 (笑)。

12作家からの描き下ろしイラスト「あなたにとって、楽園とは?」[2]
kashmir
あさりよしとお
黒咲練導

私はサニーサイドにいなくてはという意識がある(明日美子)

──やっぱりアフタに描くものと楽園で描くものは、作風を変えてきてるんですか?

沙村 うーん、どうだろう。俺とか木尾さんは、ネタそのものは割とアフタと変わらない気がする。

木尾 そうですね、基本的に一緒だけど、絵柄を女性向けに描くことは意識してます。いつも描きながらこうだったかなーって何度も直すんですけど、描き終わる頃にようやくどんな絵だったか思い出すんですよ。で、次号が4カ月後だから、その頃にはまた忘れてる(笑)。

木尾士目が描き下ろした、座談会の風景。画:木尾士目

──明日美子さんも多くの媒体で執筆されていますが、雑誌によって絵や作風を変えてらっしゃいますか。

中村 うーん、意図して変えたりはしないんですが、楽園に関しては、あまり(暗い雰囲気の)黒っぽいページが増えてもねえ……とは思ってます。だから酷い話を描きたいかなー、とは思いつつも、私はサニーサイドにいなくてはという意識はあります。

沙村 俺は楽園の中でいちばんのサニーサイドは、宇仁田(ゆみ)さんだと思うんだけど。明日美子さんはもうちょっと中間にいるような気がする。

中村 本当? 宇仁田さんがいてくれるなら、もうちょっと黒くしてもいいかな?(笑)

楽園 第11号 / 2013年2月28日発売 / 880円 / 白泉社
楽園 第11号
掲載作品

中村明日美子「いっしょに帰ろう楽園くん(仮)」「楽園くん(仮)あるいは猫」「遅れ馳せの楽園くん(仮)」、かずまこを「ダーリング」、沙村広明「殺し屋(ヒットマン)リジィの追憶」、木尾士目「Spotted Flower」、水谷フーカ「14歳の恋」、シギサワカヤ「お前は俺を殺す気か」、黒咲練導「ユエラオ」、宇仁田ゆみ「こうかん法則2」、二宮ひかる「かみさま」、ハルミチヒロ「夜をとめないで」、売野機子「しあわせになりたい」、鶴田謙二「ひたひた」、志摩時緒「あまあま」、kashmir「てるみな」、犬上すくね「アパルトめいと」、あさりよしとお「小惑星に挑む」、仙石寛子「夜毎の指先」「真昼の果て」、西UKO「コレクターズ」「アップ&ダウン」、竹宮ジン「想いの欠片」、平方イコルスン「以後」「ノン察知」、大月悠祐子「彼女達の最終定理」、鬼龍駿河「乙女ループ」、竹田昼「王様の寝床」、武田春人「ろみちゃんの留守番」

中村明日美子(なかむらあすみこ)

1月5日神奈川県生まれ。2000年、マンガF(太田出版)にて「コーヒー砂糖いり恋する窓辺」でデビュー。以降、官能的なストーリーから青春もの、ボーイズラブまで多彩な作品を送り出している。代表作に「Jの総て」「同級生」「卒業生」「ウツボラ」「鉄道少女漫画」など。

沙村広明(さむらひろあき)

1970年2月千葉県生まれ。1993年、アフタヌーン夏の四季大賞にて「無限の住人」が四季大賞を受賞し、月刊アフタヌーン(講談社)に掲載されデビュー。翌年、連載が開始された同作で、1997年に第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。高いデッサン力に裏打ちされた迫力ある殺陣と奇想天外な設定で、ネオ時代劇と評される。その一方、竹易てあしの変名で「おひっこし」などコメディタッチの短編を執筆するユーモアを持ち合わせる。2008年、「無限の住人」がTVアニメ化された。

かずまこを

2月19日兵庫県生まれ。2007年、コミック百合姫(一迅社)にて「パジャマ夜話」でデビュー。以後、コミック百合姫や楽園 Le Paradis(白泉社)にて青春少女マンガを発表している。代表作に「純水アドレッセンス」「ディアティア」など。

木尾士目(きおしもく)

1974年生まれ。1994年に「点の領域」で月刊アフタヌーン(講談社)の四季賞を受賞し、同誌に掲載されデビュー。2002年、大学生のオタク系サークルを取り上げた「げんしけん」の連載を開始。オタクブームの立役者となった。同作は作中作「くじびきアンバランス」とともにTVアニメ化され、2010年からは続編となる「げんしけん 二代目」の連載がスタート。そのほかの作品に「四年生」「五年生」「ぢごぷり」などがある。