「コードギアス 復活のルルーシュ」特集 ゆかな(C.C.役)×名塚佳織(ナナリー役)×小清水亜美(カレン役)×折笠富美子(シャーリー役)座談会|ルルーシュ取り巻く4ヒロイン声優、ピザを囲んで“復活”に乾杯!

アニメ「コードギアス」シリーズの最新作「コードギアス 復活のルルーシュ」が2月9日に全国公開された。さまざまな憶測を呼んだそのタイトルが発表されてから約2年、伏せられ続けた“復活”の意味をすでに知った方も多いのではないだろうか。

コミックナタリーでは2006年のTVシリーズ開始から作品に関わってきたC.C.役のゆかな、ナナリー役の名塚佳織、カレン役の小清水亜美、シャーリー役の折笠富美子のヒロイン声優4名を招いた座談会をセッティング。この4人での座談会は初めてだというキャスト陣に、TVシリーズをはじめ2017年から展開された劇場総集編3部作、そして最新作までを振り返ってもらった。C.C.の大好きなピザを用意したパーティー風の撮り下ろし写真とともにお届けする。

なお「復活のルルーシュ」のストーリー本編に関する内容も含まれているので、鑑賞前にネタバレを見たくない方はご注意を。

取材・文 / はるのおと 撮影 / 星野耕作

ロロ役の水島大宙くんがすまなそうな目で私を見ていた(折笠)

──今日は「コードギアス」のこれまでと現在、今後について順に伺わせてください。まずTVシリーズは2006年10月に始まりました。当時はどういう思いで収録に臨まれていましたか?

小清水亜美

小清水亜美 私は、当時まだ経験が浅かったので、とにかく「できることを全力で」という気持ちで毎回取り組んでいました。

名塚佳織 あみっけはいつも全力投球だったよね。私たちはまだ20歳とかで。

小清水 佳織は4月生まれだから20歳になりたてだったっけ? 私はギリギリ19だった。

名塚 そうか。私も、ほかの皆さんにしっかりついていこうと思っていました。でも私が演じるナナリーは守られるポジションのキャラクターだったので、同い年だけど年上の先輩方と作中で一緒に戦っているあみっけの背中を見ながら「がんばってるな、偉いな」と思っていました。

小清水 ありがたいです。

ゆかな 私は、第1話の収録前に谷口悟朗監督に呼ばれて福山(潤)さんと一緒に世界観などの説明をされたんです。そこで谷口監督がずいぶんと熱量の高い方だと感じ、「きっと高い要求をされるだろうから、コンディションを入念に整えて収録に行こう」と考えたのを覚えています。

折笠富美子 シャーリーは最初、平和な日常シーンで登場するので、私はほのぼのとした気分でアフレコしていました。戦闘担当の人たちも「学園シーンはほのぼのする」「ホッとするよね」なんて言ってくださっていて……それがあんなことに。

一同 (笑)。

「R2」第13話「過去 から の 刺客」より。

折笠 シャーリーが死んだときに、ロロ役の水島大宙くんがすごくすまなそうな目で私を見ていたのを覚えています。

小清水 確かに、大宙さんがボソっと「俺、つらい」と言ってました。

折笠 谷口さんとしてはシャーリーを、明るさがうざいくらいのキャラクターにしたいという意向があったそうですが、思惑以上に注目というか人気が出たらしいんです。そんなキャラクターを殺しちゃうことになったので、水島くんとしてはなおさらしんどかったようで。

名塚 私はシャーリーが一番好きで、「このポジションのキャラクターは死なないだろう」と思っていただけにあの展開はショックでした。「ここから先は和みなしです」と言われてるようなもんじゃないですか。

折笠 「反逆のルルーシュ」で記憶がグチャグチャになって軽くへこんでいたところから「R2(コードギアス 反逆のルルーシュR2)」では殺されて。私ちょっとトラウマ気味です(笑)。

ゆかな C.C.もいきなり第1話で撃ち抜かれるし、先が読めないと言われてましたね。

ヒロインはスザク……?

──毎週の手に汗握る展開は「コードギアス」の大きな魅力でした。

小清水 だから現場は、何が起こるかわからない、戦場感のある空気が常に流れていました。

折笠 そう考えると、アッシュフォード学園の学園祭を楽しむだけの「学 園 祭 宣 言 !」(「反逆のルルーシュ」第21話)は楽しかったなあ。

ゆかな あとみんながハート型の帽子を被って走り回る「ラブ アタック !」(「R2」第12話)も。

「反逆のルルーシュ」第22話「血染め の ユフィ」より。

小清水 私は「血染め の ユフィ」(「反逆のルルーシュ」第22話)くらいから「大変なことになってきたな」という印象があったから、ストーリー全体の後半に差し掛かるタイミングであんなコミカルな話をするなんて意外で驚きました。

──いち視聴者として観ていて「血染め の ユフィ」はものすごく衝撃的でしたが、アフレコ現場ではどんな反応がありましたか?

ゆかな 1話前の「学 園 祭 宣 言 !」途中の休憩時に台本が配られたのですが、先に目を通した方たちがみんな、コーネリア役の皆川(純子)さんを気遣って「今は読まないほうがいい」って、目に入らないようにしていましたね。

「反逆のルルーシュ」第25話「ゼ ロ」より。

名塚 ナナリーが「にゃー」なんて言っていたところからの落差に、谷口さんのSっぷりがわかりますよね。

小清水 ルルーシュはあそこから転げ落ちるもんね。あのユフィの件がないと、「撃てるものなら撃ってみろ! 流体サクラダイトをな!」とか人として残念なことを言うまで追い詰められないでしょ(笑)。

──落差と言えば「ラブ アタック !」でルルーシュと心を通じ合わせたシャーリーも、次の「過去 から の 刺客」(「R2」第13話)で殺されます。

名塚 また谷口さんのSっぷりが発揮されて。

小清水 でも劇場総集編3部作では歴史が塗り替えられて、シャーリーは生きているし。

折笠 私は正直、3部作はトラウマの中、混乱してました(笑)

「R2」第4話「逆襲 の 処刑台」より。

小清水 ただ、劇場総集編3部作のロロはシャーリーを殺したわけでもないし、そんなに悪いことをしていないのにルルーシュから酷い扱いを受けて。

名塚 相当かわいそうだよね。

小清水 ルルーシュって本当に人として残念だよ(笑)。

──のちほど「皆さんから見てルルーシュという人間はアリですか?」と質問しようと考えていていたのですが、人として残念ですか。

小清水 この物語の主役なので、こんなこと言ったらファンの人に「ひどい!」と怒られてしまうかもしれませんが、ひどいことをいっぱいやっているじゃないですか(笑)。発言と行動を冷静に考えてみたら。

──いくら妹がかわいいからって、そこまでやるのかという。

名塚 ルルーシュは上手なんですよね。最後にいいことをしてそれまでのイメージを塗り替えて「あの人、いい人だったな」となっているけど、意外と失敗やひどいこともしている。

ゆかな

ゆかな 「コードギアス」って、そういう感じで失敗を帳消しにするようなエピソードが大体あるんですよね。うっかり見てると惑わされてしまうような。言ってみれば因果応報というかなんというか……。

──散々な言われようですが、皆さんは「コードギアス」においてルルーシュを取り巻くヒロインポジションのキャラクターを演じていました。TVシリーズのアフレコ現場では誰がこの作品のメインヒロインだとかそういった話はありましたか?

一同 スザク……?(笑)

ゆかな 何をもってヒロインと言うかですよね。ルルーシュが持つペルソナごとにヒロインが変わるって感じでしょうか? アッシュフォード学園ではシャーリー、家ではナナリー、黒の騎士団のときはカレン。

名塚 みんなと距離を置いて、ルルーシュ1人の空間では必ずC.C.がいるイメージ。学生でなく、お兄ちゃんやゼロも演じていないとき。

「R2」第25話「Re;」より。

ゆかな 強いて言えばルルーシュが本音のときかも。ケンカって計算なしで剥き身になってするものだけど、ルルーシュとのケンカが成り立つのは男性だとスザク、女性だとC.C.。それはナナリーが気付いてしまっていることにも通じていて。

名塚 優しいし、大好きなお兄様だけど対等には見てもらえていない。そのもどかしさをずっと抱えていたから、最後の最後に、大きなショックを受けたんだと思います。