原作に忠実な部分とオリジナル部分のバランスがいい

──きら先生の作品で実写化は今回が初めてですね。まず、ドラマ化が決まったときの感想からお伺いできますか。

純粋にすごくうれしかったです。最初は「実写化されることでマンガを読んでくれる人も増えるかな」なんてクールに考えたりしていてあんまり浮かれた感じではなかったんです。でもドラマが作られていく段階を見ているうちに、本当に面白そうで、いまはただ純粋に楽しみで仕方がないです。

──先生のTwitterを拝見していても、ものすごく喜びを感じとれます。脚本は「桐島、部活やめるってよ」でも話題になった喜安浩平さんですね。

そうなんです。喜安さんの脚本も、もう1話目から本当に面白くて。原作に忠実な部分とオリジナルの部分が、すごくバランスがいいんですね。

──原作に忠実な部分と、ドラマならではの部分について、具体的にお伺いしたいのですが。

セリフは結構そのまま使ってもらったりしていて忠実です。キャラによってはオリジナルなセリフも結構あるんですけど、それがドラマではすごく活きる感じで。あと、賢一が好きになる相手が違います。

──それは結構大きい変更ですね。

そうなんです。たぶん一番大きいのはそこですかね。賢一はマンガでは色々と事情が複雑だったので、好きになる相手が変わることで、よりわかりやすくなりました。マンガでその相手を好きになっていたらちょっと無理があるんですけど、ドラマだと綺麗な女優さんがやってくださるので、そうなっても全然おかしくないんです。

喜安浩平さんは群像劇がうまい方なんだなと思いました

──ほかにも原作と違うからこそ面白い部分はありますか？

いろいろありますが、ラストも違うんです。そこはもうひとつのエンディングみたいな感じで見てもらえると。

──確かにこの作品ってサスペンス的な要素があるので、最後まで原作を読んだ人はネタバレしちゃうなとも思ってましたが、その心配は無用、と。

そのあたりは喜安さんが膨らませてくださったので、ドラマ版のラストということで楽しめると思います。たぶんサスペンス色もより強くなってますね。ドラマチックになっているというか。あとわかりやすくなっていると思います。

──きら先生が喜安さんに絶大な信頼を置かれているというのを感じ取れます。

喜安さんの「桐島」も映画を見てから原作の本を読んでみたんですけど、全然構成が違っていて。やはり群像劇がうまい方なんだなと思いました。「僕らはみんな死んでいる♪」もキャラの人数が多いのに、動かし方がすごくお上手で。

──「僕らはみんな死んでいる♪」も、まさに群像劇ですし。

そうなんです。キャラの動かし方やセリフの言い回しも本当に面白くて。たぶん、役者さんがしゃべりやすいセリフになっているんじゃないかと思います。

凜の髪が長い理由も特になかったので

──登場人物それぞれ9人とも、ものすごく個性の強いキャラですが、キャストさんのイメージはどうでしたか？

みなさんとは撮影前の打ち合わせで初めてお会いしたんですけど、その後家に帰って最終回の原稿を描いてたら、もうキャストさんの顔が思い浮かんじゃって（笑）。

──ははは（笑）。

最初にキャストさんのプロフィールや写真を拝見したときは、真役の郭さんがかっこよすぎて心配だったんですけど、ドラマの現場で見たら、この存在感のない感じを再現されていてすごいなあと思いました。メガネ外して普通にしてたら、シュッとしたイケメンなのに（笑）。

──凜役の広瀬アリスさんは、原作のロングヘアとは違い、ショートカットですね。

そうなんです。最初、「アリスちゃんは髪が短いんですが」ってスタッフさんにも聞かれていて。でも別に、凜の髪が長い理由って特になかったので、問題なかったです。パッと見で覚えやすい外見ということでロングヘアにしていただけだったので、逆にアリスちゃんのショートカットって印象的ですしね。対になる感じで、茜役の穂香ちゃんがロングヘアだったりするし。