コミックナタリー Power Push - 「魔法使いの嫁」

長沼範裕監督×和田丈嗣プロデューサー(WIT STUDIO)インタビュー

ヤマザキコレとの密なやりとりで生まれる“チセとエリアス”から見た世界

ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」は人外の魔法使い・エリアスと、彼に買われた少女・チセを描くファンタジー。月刊コミックガーデン(マッグガーデン)にて連載され、7巻まで刊行中の単行本は累計400万部を超える人気作だ。

同作は2016年にアニメ化プロジェクトが始動し、オリジナルアニメ「魔法使いの嫁 星待つひと」全3部作が、単行本の特装版6・7・8巻にそれぞれ同梱される形で発表。全国の劇場で各作品2週間限定でのイベント上映も行われている。さらにこのたび「魔法使いの嫁」のテレビアニメ化が決定。10月より2クールでオンエアされる。

コミックナタリーではテレビアニメ化を記念し、長沼範裕監督と、制作を手がけるWIT STUDIOの和田丈嗣プロデューサーにインタビューを実施。OADの制作を経て、テレビシリーズではどのような形で「魔法使いの嫁」の物語が表現されていくのか。密なやりとりが行われているというヤマザキコレとのエピソードを交えながら、制作の裏話を明かしてもらった。

取材 / 坂本恵 文 / 熊瀬哲子

テレビシリーズでは“チセとエリアス”にスポットを当てる

──「魔法使いの嫁」のアニメ化プロジェクトが始動した際のインタビュー(参照:「魔法使いの嫁」アニメ化記念特集 プロデューサー・和田丈嗣(WIT STUDIO)インタビュー)で、和田さんは「いずれはテレビアニメもぜひやりたい」とお話しされていましたよね。

和田丈嗣 昨年8月にオリジナルストーリーのOAD(「魔法使いの嫁 星待つひと:前篇」)を劇場で上映したところ、「本編のアニメも観たい」というファンの方からの声を想像以上にいただきまして。「これはぜひテレビアニメを作りましょう」というお話を長沼さんにさせていただいたんです。

長沼範裕 OADで本編の話をアニメ化しなかったのは「(OADでやってしまうのは)もったいないよね」とチームで話していたからなんです。なのでいつかテレビシリーズをやれる機会が巡ってきたときに、本編のアニメも作りたいなと考えていたんですが、思いのほか早くお話が来たのでびっくりしました(笑)。

──それだけファンの皆さんからの熱意を感じたということですよね。

長沼 はい、そうです。プロジェクトの初めに映像化したグランドPVは、原作ファンの方やヤマザキさんに向けて「WITで『魔法使いの嫁』のアニメを作ったらこういう世界観で表現できます」ということをお見せできたものだと思うんですが、そこに対しての皆さんの反応がよかったのもテレビアニメ化につながるきっかけになったと思っています。

──テレビシリーズではオリジナルストーリーで展開されたOADとは違い、原作のエピソードをアニメ化されるということですが、表現方法に違いなど生まれるのでしょうか?

長沼 ヤマザキさんとお話しして思ったことなんですが、テレビシリーズでは“チセとエリアス”にスポットを当てていきたいなと。「魔法使いの嫁」は作品の世界観が売りの1つだと思うんです。OADではその世界観をイギリスではなく日本という環境を舞台に描いていて、原作では見られないOADならではの特別感を表現していきました。一方のテレビシリーズでは外から内ではなく、内から外、つまりは“チセとエリアス”から見た「魔法使いの嫁」の世界を表現できたらいいなと考えています。

和田 絵もだいぶ変わりましたよね、OVAとテレビシリーズで。

長沼 進化してますね(笑)。グランドPVのチセと、OADのチセ、テレビシリーズのPVのチセではそれぞれ印象が変わっていると思います。通常のアニメの制作では、一度デザインが決まったらそのまま進行することが多いのですが、「魔法使いの嫁」では制作が進む中でもヤマザキさんと密にやりとりを続けていて。どういったデザインに落とし込むのがいいのか、方向性やニュアンスについても細かく意見を交換して、常に反映していってるんです。

エリアスは筋肉質だけどスタイリッシュ

──「魔法使いの嫁」のキャラクターをアニメーションの絵に起こすときに気を付けた部分はどこですか?

長沼 キャラデザの加藤(寛崇)さんとは、「ヤマザキさんの絵は色気があるので、そこを一番に出していこう」と意識していきました。

──色気は、どうやったら出るものなんでしょう。

「魔法使いの嫁」3巻より。

長沼 よりキャラクターの内面を理解していくことかと思います。そこはヤマザキさんとも細かくコミュニケーションを取りながら詰めていきました。ヤマザキさんも「チセとエリアスは難しい」とおっしゃっていました。チセの表情のニュアンス、エリアスのデッサンの繊細さは、アニメーションのキャラクターとして起こすときにどうまとめていくか、スタッフが苦労している部分だと思います。さらに加藤さんは、そこにヤマザキさんの絵が持つ色気をデザインに落とし込まなければならない。難しい子たちです(笑)。

──チセの色気は原作が進むごとに増しているような気がします。

長沼 そうなんですよね。ヤマザキさんはフェティシズムについても結構話されていました。チセに関しては腰からお尻のラインに気を使っているとか。ヤマザキさんにはわざわざ東京のWIT STUDIOまで来ていただいて、加藤さんと和気あいあいとおしゃべりをしながら、赤鉛筆でキャラデザインにチェックをしていただくこともありました。

──本当に密な打ち合わせを行っているんですね。

長沼 そうですね。ヤマザキさんもお絵かきしながら話すのが好きだとおっしゃっていたので、帰りの飛行機の時間ギリギリまで、スタッフのみんなと一緒にペンを取りながら「ここのラインはこうで……」とお話しされているんですよ。その横で時計を気にする編集さんとプロデューサーがいたりとか(笑)。

──ははは(笑)。エリアスについてはどうですか?

エリアス(CV:竹内良太)

長沼 彼に関しては顔の造形よりもプロポーションを細かく詰めていきました。最初僕らのほうで結構がっしりとした体型で作っていたんですが、ヤマザキさんからは「エリアスは筋肉質だけどスタイリッシュ」という説明があって。ヤマザキさんの中にイメージとしてある、スーツ姿の外国人男性の画像や資料を見せていただいて、それを見ながら加藤さんがデザインに落とし込んでいきました。

──スーツ姿の男性がイメージにあるんですね。

長沼 ええ。筋肉が引き締まっていて、腰が高くて脚がスラッとしているような。スーツのシルエットがキレイに出るようなスタイルにこだわって作っていきました。頭は骨ですが、素敵な英国紳士です。

テレビアニメ「魔法使いの嫁」2017年10月より2クールにて放送

キャスト

羽鳥チセ:種﨑敦美
エリアス:竹内良太
ルツ:内山昂輝
シルキー:遠藤綾

スタッフ

原作:ヤマザキコレ(マッグガーデン刊)
シリーズ構成・監督:長沼範裕
脚本:高羽彩
キャラクターデザイン:加藤寛崇
色彩設計:小針裕子
美術監督:竹田悠介
撮影監督:鈴木麻予
CGIディレクター:須貝真也
2Dワークス:西谷知恵
特効監修:谷口久美子
特殊効果:荒畑歩美
編集:今井大介
音楽:松本淳一
音楽制作:フライングドッグ
音楽制作協力:BASiLiCA
音響監督:はたしょう二
アニメーション制作:WIT STUDIO

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長沼範裕(ナガヌマノリヒロ)

アニメ「君に届け」「鬼灯の冷徹」などで副監督として現場を支え、アニメ「魔法使いの嫁」ではグランドPV、「魔法使いの嫁 星待つひと」全3部作と、最初期より監督として作品に関わる。テレビシリーズの監督作品としては「魔法使いの嫁」が初となる。

和田丈嗣(ワダジョウジ)

1978年生まれ。Production I.Gに入社後、「RD 潜脳調査」「ギルティクラウン」「PSYCHO-PASS サイコパス」などのヒット作を手がけ、2012年にWIT STUDIOを設立。2013年には「進撃の巨人」をプロデュース。同作は社会現象とも言える大ヒットとなった。

ヤマザキコレ
ヤマザキコレ

北海道生まれ。2013年、月刊コミックブレイド(マッグガーデン)で「魔法使いの嫁」の連載をスタートし、現在はオンライン雑誌・MAGCOMI(マグコミ)と、月刊コミックガーデン(マッグガーデン)にて同時連載中。