「ケンガンアシュラ」ファーストサマーウイカインタビュー|「好きなものしか入ってないお弁当か!もっとお漬物的な要素も欲しいわ(笑)」

こいつはね、女ウケを狙っとるんですわ

──ここからウイカさんには、具体的に拳願仕合について振り返ってもらいたいと思います。こちらで観てもらいたい仕合を3つ選ばせていただきました。

拳願絶命トーナメント1回戦

第1仕合

“皇帝”アダム・ダッドリー

“皇帝”アダム・ダッドリー

192cm / 107kg / 28歳

ストリートファイト

“絞殺王”今井コスモ

“絞殺王”今井コスモ

171cm / 68kg / 19歳

柔術

  • アメリカ・テキサス州での路上試合で、プロ格闘家をKOしたことがきっかけでスカウトされる。

    史上最年少の14歳で拳願仕合に出場。その後21戦無敗の天才格闘家。トーナメント出場者の中では数少ない軽量級。

  • 圧倒的なパワーで繰り出す打撃が得意。実は過去に、格闘技以外のあるスポーツの選手だった。

    柔術をベースに、変幻自在の絞め技を駆使する。

  • 好物はハンバーガーだが、ポテトにマヨネーズのトッピングはNG。

    フレンドリーでコミュニケーション能力が高く、ルックスも爽やかだが、負けず嫌いで強気な一面も。

解説
比較的小柄で金髪、甘いマスクという女子ウケしそうな今井コスモと、いかにも悪者なアダム・ダッドリーの対決。寝技のコスモと打撃のアダムはファイトスタイルも対照的だ。アダムのパンチをかいくぐり、コスモは絞め技で仕留めることができるのか。序盤、寝技に持ち込んだコスモは「ラストまでずっと俺のターンだ」と、ペースを握ったかのように見えるが……。

──まずアダム・ダッドリーvs今井コスモ。

アダムに馬乗りになり、パンチを連発するコスモ。

これはちょっと斜め目線から読んでるかもしれないですけど……コスモは序盤から登場していて、トーナメントでやっと戦いに出てきたじゃないですか。だからコスモが勝つんだろうな、というのはすぐわかりました。コスモは、ショタ的なかわいさでありながら残酷さもある。「人気のキャラクターにしよう」という作る側の狙いが見えるじゃないですか?(笑)

──そんな身もフタもないことを言わないでください……(笑)。仕合内容についてはいかがでしたか。

コスモのタックルに対し、カウンターの打撃を決めたと思い込んでいたアダムだったが、現実では三角絞めを決められて気絶しており、幻覚を見せられていた。

最後が三角絞めで、「普通!」「マンガっぽくない!」と思いました(笑)。でもアダムが締められたときに、人の顔の縦スライスみたいな悪夢というか、幻が見えるじゃないですか。あの描写は好きです。

──技は普通というかリアルだけど、演出はマンガならではですよね。ちなみにコスモは女性人気の高いキャラですが、ウイカさん的にはどうですか?

私の趣味ではないですね。こいつはね、女ウケを狙っとるんですわ(笑)。そこを狙ってないキャラのほうが私は好きです。このあと出てくるボクシングのガオランとか、ラウェイのサーパインとか。

私はプロレス経験者と言っても過言ではないかもしれない

拳願絶命トーナメント1回戦

第8仕合

“獄天使”関林ジュン

“獄天使”関林ジュン

196cm / 141kg / 38歳

プロレス

“土俵の喧嘩屋” 鬼王山 尊

“土俵の喧嘩屋” 鬼王山 尊

194cm / 159kg / 20歳

相撲

  • 「超日本プロレス」のエース。プロレスをこよなく愛し、その強さを信じている。

    大相撲の力士で、番付は十両。横綱である2人の兄を超える素質があるとも言われるが、性格は粗暴。「出稽古」と称してキックボクシングジムに殴り込みに行くことも。

  • 「闘技者である前にエンターテイナー」「プロレスラーは相手の攻撃を受ける義務がある」という持論があり、相手の攻撃はすべて全部受け切る。

    怪力とタフさが武器。相撲に打撃がないことを疑問視しており、拳願仕合ではパンチやキックも使用する。

  • ペイントレスラー「マーヴェラス・セキ」としての顔も持つ。

    プロレスのことは「ショー」「八百長」だと見下している。

解説
「ケンガンアシュラ」連載時に裏サンデーおよびマンガワンで行われたベストバウト投票で1位を獲得したこの仕合は、大会屈指のパワーファイター対決。プロレスラーの打撃に耐え、巨体を持ち上げる鬼王山に対し、関林はどう立ち向かうのか。観客を楽しませるエンターテイナーで、プロレスを信じる関林と、勝ちにこだわり、今の相撲を否定する鬼王山の、生き様の違いにも注目だ。

──続いては、ウイカさんがプロレス好きというのもあり、プロレスの関林と相撲の鬼王山の仕合です。これを語ってもらう前に、ウイカさんとプロレスについてもちょっと掘り下げてもいいですか?

私がプロレスを観るようになったのは、Amazonプライム・ビデオの「有田と週刊プロレスと」という番組がきっかけです。有田(哲平=くりぃむしちゅー)さんのバラエティだから面白いだろうな、ぐらいの軽い気持ちで見たらハマっちゃったんですよ。

──プロレスを知る入り口になるいい番組ですよね。そんなにプロレスに詳しいわけでもなかった星野源さんも番組のファンを公言されています。ウイカさんは「有プロ」全エピソードを2周観たそうで、すごいハマりかたをしてるなと。

「有プロ」は特に新日本プロレスの、内藤哲也さんの回(シーズン1の第11回)がめっちゃよかった。下積み時代から、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(内藤が率いるユニット名)でブレイクするまでが紹介されてたじゃないですか。私、あれ観て震えて泣いたんです。「内藤さん、カッコいい!」って。

内藤哲也のポーズをマネするファーストサマーウイカ。

──今、「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の言い方がめちゃくちゃスムーズでしたね。

練習しましたから(笑)。その内藤さんの回を観なかったら、「有田と週刊プロレスと」ファンではあったかもしれないけど、プロレス会場に行くほどにはならなかったかもしれないです。

──プロレスは新日本プロレスを中心に観ている感じですか?

葛西純さんが主催するデスマッチの大会を観に行ったりもしました。でもプロレスに興味を持つ前にも、私がBiSっていうアイドルグループにいた時代にDDTプロレスさんと絡む機会がけっこうあったんです。

──DDTの両国国技館大会にいろんなアイドルやアーティストが登場したことがありましたね(参照:DDT両国で筋少「タチムカウ」披露&アイドル4WAYも大団円)。

ファーストサマーウイカ

あれ以外にもDDTとBiSでは、花やしきでコラボイベントをやりましたし(参照:BiS、花やしきでDDTと“路上プロレス&ライブ”コラボ大会)。あと青森や新木場1stRingでやった「夏の魔物」も(ステージ代わりに)リングがあったし、たぶんリングには3、4回上がってるんですよ。プロレスラーじゃない中では多いほうですよね?(笑) BILLIE IDLEになってからも、みやここ(松本都)さんっていう女子プロレスラーの生誕イベントに呼んでもらいましたし。プロレス経験者と言っても過言ではないかもしれない(笑)。

──怒られますよ(笑)。さて、プロレスファンのウイカさんから観て、この関林vs鬼王山はどうでした?

個人的には、2人ともキャラクター的にはそんなに刺さらなかったんです。それでもすごくいい仕合でしたね。

──トーナメント1回戦の全仕合が終わったあとに行われた、ベストバウト投票ではこの対戦が1位でした。

関林は師匠である馬場道山寛が暴漢に刺されて死去した際も、師の言いつけを守って道場でトレーニングをしていた。

人気があるのはわかります。確かにストーリーの奥深さが違うなと。関林の師匠が(アントニオ)猪木風の人で、その師匠が暴漢に刺されるっていう力道山的な死に方をして。いろんなものへのオマージュを感じます。

──プロレスを知らなくても面白いですけど、知ってるとさらに現実の似たエピソードも重ねて、感情が乗っかりますもんね。

そうそう、勝手に思い入れが出ちゃって。そしてプロレス対相撲じゃないですか。現実でもプロレスラーと、K-1やPRIDEの選手ではどっちが強いねん、ということでプロレスラーが総合格闘技に出たりしたこともあったじゃないですか。そういう歴史も「有プロ」で学びましたから。

──やっぱりプロレスラーの関林を応援しました?

関林はバックボーンが見えたら応援せざるを得ないですよね。鬼王山の最後に出した技はインパクトありましたけど。重心を思いっきり低くするやつ。

「激旺」。力士の巨体を支える強靭な足腰から繰り出すぶちかまし。鬼王山の激旺を受けて、立ち上がる関林。

──鬼王山の得意技で「激旺」と呼ばれる高速のぶちかましですね。

ブンッ!って見えなくなっちゃうっていうね。あそこはインパクトがありました。

──力士が見えなくなるほど速く動くのは印象に残りますよね。

そしてそれを受けた関林が立ち上がるコマがめちゃめちゃカッコよかったです。手足が手前にあって、リングサイドから観てるような感じ。この絵はカメラワークがすごいですよ。