コミックナタリー Power Push -「競女!!!!!!!!」
「ちくしょう!」空詠大智も悔しがる、大尻作(だいけっさく)のアニメが誕生!!!!!!!!
週刊少年サンデー(小学館)にて連載されている、空詠大智「競女!!!!!!!!」。女性が自らの胸や尻を使って対戦する、尻相撲に似た架空の水上競技「競女(ケイジョ)」を題材とした青春物語だ。同作のアニメが10月6日より、TOKYO MXほか、BS11、AT-Xにて放送される。
アニメの放送開始を記念し、コミックナタリーでは「競女!!!!!!!!」の魅力に迫る特集を2回にわたり展開。空詠と、今作がテレビシリーズ初監督となる髙橋秀弥に登場してもらい、原作マンガ、アニメの見どころをそれぞれ聞いていく。第2回では、まずアニメ第1話へとつながる物語をダイジェストでおさらい。そして対談では、空詠も思わず「ちくしょう!」と感じた、アニメの制作の裏側に迫った。
取材・文 / はるのおと
自分が描いた女の子よりかわいいんじゃ……?(空詠)
──アニメの話も伺っていければと思います。髙橋監督はどういった部分を重視してアニメ化されましたか?
髙橋秀弥 “熱さ”ですね。原作をある程度読んだときに、スポ根ものとしての“熱”をすごく感じました。前回の質問にもありましたが、スポ根とお色気、どちらを取るかと言ったら、アニメは迷わずスポ根を取ろうと。そのために、キャラクターデザイナーと相談して、熱血っぽく見えるように太線にしたり、胸にハーモニー処理(※キャラクターと背景を同じタッチにする処理)を入れて劇画タッチにしたりして、胸と尻を使って、いかに熱く、いかにカッコよく見せるかを追求しています。
──空詠さんはアニメの第1話を観られて、感想はいかがですか?
空詠大智 PVを観たときも思いましたが、「自分が描いてるのより女の子がかわいいんじゃ……?」というのが第一印象でした。原作にはない動きが多くて、いいなって。最初のほうでのぞみがバク宙しながらモニュメントの上に登るんですけど、カッコよく登ったのに降りるときはよちよちと降りるんです。「そこは体操っぽく、カッコよく降りないんだ」って(笑)。そういったいろいろと細かい動作で「かわいいなあ」と思わされました。
髙橋 ありがとうございます。
空詠 あと、個人的には青葉ちゃんがベッドで横に移動するところが、結構ドツボで。ああいうのに弱いんですよ、俺(笑)。宮田ちゃんの表情とかも「かわいいなあ!!」と思わされて、本当に「ちくしょう! やられたな、マズいな」と(笑)。
髙橋 ただ、先生には申し訳ないと思っていることもあって。先生の絵が巻数によって、少しずつ変化するじゃないですか。5、6巻もかわいくて、東西戦のところもまたかわいくて。アニメではどの辺りの絵を拾うかすごく悩みましたけど、最終的には「描きやすい感じでやらせてください」と先生にお願いしたんですよね。だから先生の絵とは雰囲気が違うかもしれないですけど、アニメはアニメでカッコよく、かわいく見せる方向にしました。これはちょっと勇気がいる決断でしたね。
空詠 いや、全然、なんか……「ちくしょう!」って思いましたよ。「負けてらんねえや」って(笑)。
「正気かよ」と首をかしげた(空詠)
──アニメ化が発表された際に、空詠さんがブログに「自由にアニメにしてください。私からアニメに対する要望などは一切ないので!」と書かれていました。本当に何も注文されなかったのでしょうか?
空詠 ええ、何も(笑)。担当から「チェックしてよ」といろいろと回ってきてはいましたけど、1話目のシナリオを読んだときに「これは楽しみがなくなりそうだから、見ないほうがいいな」と思って。それでもう、完全にお任せしました。変にマンガに合わせてもらうより、面白いものができるだろうという確信があったので。
──では少し遡って、アニメ化の話が出たときの感想は?
空詠 もう「正気かよ」っていうのが一番ですね、毎週描いていて「競女!!!!!!!!」という作品を描く苦労と大変さを知っているので、「なぜそこに飛び込む」っていう(笑)。うれしいとかそういう気持ちより、首をかしげてしまうような感じでした。
──原作10巻の帯にはお父様からのコメントがありました。ほかに周囲の評判はいかがでしたか?
空詠 いやあ、何もなかったです。父親や母親も、友達もマンガやアニメとか観ないので、「アニメになる」って言っても「へー」くらいの感じでした。それよりもアシスタントさんが異常に盛り上がっていて、「これはもう勝ちでしょ!」とか言って。「何をもって勝ちなんだ」って感じですよ(笑)。
──「競女!!!!!!!!」は架空のスポーツなので、絵にする場合、参考にするものが少なく難しいと思います。マンガもですが、特にアニメーションだと嘘がつきづらいというか……。
髙橋 いや、もう嘘はつきまくっていますよ(笑)。理屈で考えると少しおかしいところもありますが、いかにカッコよく動かすか、いかにカッコよく誤魔化すかを重視してやっています。ある作画さんなんかは、「尻ギロチン」で飛び込みのときに、本当の飛び込みの動画を研究して「こういう飛び込み方のほうが面白いんじゃないか」と工夫してくれて。
空詠 尻と胸で戦うアニメなんてないから、自分なんかは「アニメがもう参考資料になるんじゃない?」と思っています(笑)。
──現場では実際に尻相撲などされているのでしょうか。
髙橋 やりますね。打ち合わせで作画さんに「こういう形でお願いしたい」と話をしますが、そういうときにわかりやすいよう、僕がお尻を振って「こんな感じですよ」と。絵コンテを描いているときなんかは、1人でやりますしね。
空詠 僕と担当なんて、担当が持ってきた仮面ライダーのフィギュアを2人で動かしながら「こんな感じかなあ」とやるくらいですよ(笑)。レストランでそんなことをしていて、子供が横でボーッと見ていて冷や汗をかいたことも……。
髙橋 人形は助かりますよね。
空詠 でも関節が曲がらない雑な人形です(笑)。
──なるほど。いろいろと工夫されてますね。ストーリー面についても伺いたいのですが、第1話は原作から大胆なアレンジが施されていました。
髙橋 今回、ストーリー構成は逆算で決めました。ゴールを僕が一番好きな地点にしたくて、そこまで辿り着くためにはどうするか考えると、1話はああいう構成にするしかなかった。入試編も面白いんですけどね。でも、2話以降は細かな変更があるくらいで進んでいきます。
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- テレビアニメ「競女!!!!!!!!」
- 「競女」とは、水着の女性選手同士がお尻や胸を使って闘う水上競技。主人公の神無のぞみは、瀬戸内競女養成学校に入学し、そこで出会うライバルたちとともにプロを目指す!
放送情報
- TOKYO MX
2016年10月6日(木)23:30~予定 - BS11
2016年10月6日(木)24:30~予定 - AT-X
2016年10月6日(木)24:00~予定
※リピート放送:毎週土曜日16:00~、毎週日曜日21:30~、毎週水曜日8:00~ - そのほかインターネット配信も随時スタート予定
スタッフ
- 原作:空詠大智(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
- 監督:髙橋秀弥
- シリーズ構成:加戸誉夫
- キャラクターデザイン:中野圭哉
- プロップデザイン:原由知
- 美術デザイン:米川信悟
- 美術監督:坂上裕文、加藤浩
- 色彩設定:北林千明
- 撮影監督:師岡拓磨
- 編集:松村正宏
- 音響監督:濱野高年
- 音楽:松尾早人
- アニメーション制作:XEBEC
キャスト
- 神無のぞみ:Lynn
- 宮田さやか:M・A・O
- 青葉風音:本渡楓
- 豊口のん:大西沙織
- 河合花火:前田玲奈
- 日下生美桜:山村響
- 六堂鈴:高橋李依
©空詠大智・小学館 / 日本競女振興会
- 空詠大智「競女!!!!!!!!(12)」 / 小学館
- 2016年9月16日発売 / コミック 463円
- 2016年10月14日発売 / Kindle版 432円
空詠大智(ソラヨミダイチ)
兵庫県出身。10月4日生まれ。「ダロン』で第59回新人コミック大賞佳作を受賞。「それいけヒーロウジョウ」でデビュー。代表作は「揉み払い師」。
髙橋秀弥(タカハシヒデヤ)
「魔法先生ネギま!」「武装錬金」などのアニメで演出助手を経て、「PandoraHearts」「蒼穹のファフナーEXODUS」「夏目友人帳 参」「ソードアート・オンライン」「イクシオンサーガDT」などの作品に演出として参加。 オムニバス作品「ポケットモンスター THE ORIGIN」で監督を務める。テレビシリーズの監督は「競女!!!!!!!!」が初となる。
2016年10月5日更新