「かつて神だった獣たちへ」|バイオレンス好きの広瀬アリスが「かつ神」に惹かれる理由
禁忌の術をもって作り出された異形の兵士・擬神兵をめぐる、めいびいのダークファンタジー「かつて神だった獣たちへ」。擬神兵だった父を殺されたヒロイン・シャールは、父が殺された意味を知るため、父の仇である“獣狩り”の男・ハンクと共に旅する決意をする。重厚な世界観と緻密で繊細な作画で人気を集めている本作は、別冊少年マガジン(講談社)で連載中だ。
コミックナタリーでは「かつて神だった獣たちへ」6巻の発売を記念し、マンガ好きとしても知られる女優の広瀬アリスにインタビューを実施。特にバイオレンスなシーンや人間の内面を描く作品に惹かれるという広瀬に「かつて神だった獣たちへ」の魅力を、そして女性ならではの視点で作品の見どころを語ってもらった。
取材・文 / 増田桃子 撮影 / 島袋智子 スタイリスト / TEAM OKI (C.C)
マネージャーさんから連絡をもらって「全巻持ってます!」って(笑)
──さっそくですが、「かつて神だった獣たちへ」は……。
もちろん全巻持ってます! マネージャーさんから今回のお話の連絡をもらったときも「私、全巻持ってます」って(笑)。
──かなりマンガがお好きとは聞いていましたが、さすがですね(笑)。読まれるきっかけはなんだったのでしょうか。
読み始めたのは単行本の3巻が出た頃だったと思うんですが、表紙の絵がすごく印象的で、ずっと気になっていて。マンガは本屋さんでジャケット買いすることが多いんです。バトルものやバイオレンスな作品が大好きなので、読んでみようかな……と。読み始めたら面白くって、当時の最新刊まで一気に読んじゃいました。
──どのあたりに魅力を感じましたか。
私、非現実的な世界観に惹かれる傾向があるんです。現実ベースのお話も読みますが、基本的に異世界ものが好きなんですよ。なので、この世界観が好きです。戦争のために、人間の姿と引き換えに強い力を得た擬神兵が、平和になったことで心を失った獣になってしまうっていう。それにこの「かつて神だった獣たちへ」というタイトルにもグッときました。まさに、かつて仲間だった擬神兵たちを殺さなきゃいけないハンクの心情を表した、ぴったりなタイトルだなと思います。
──ハンク自身も擬神兵であり、擬神兵部隊の隊長でしたからね。
それが切ないんですよね……。ハンクには隊長として、擬神兵を殺さなきゃいけないという使命がある。でも、心を失くして暴走する擬神兵たちも、元仲間であることには変わりなくて。ハンクが自分の気持ちを殺しながら戦うところが、男らしくてカッコよくもあり、切なくもあるんです。
子供の頃から狼が好きなので、ハンクはドンピシャ(笑)
あとはやっぱりハンクがカッコいい。
──どんなところに惹かれましたか。
ハンクってちょっと不思議なキャラクターなんですよね。すごく強いのにたまに危なっかしくて、守ってあげたくなっちゃうところもあって。意外と母性本能がくすぐられるタイプ。それに一発で擬神兵を倒したりしないところも。ときどき負けそうになるから、つい応援したくなるんです。あと、ハンクって擬神兵になると狼に変身しますよね。私、狼が昔から大好きで、動物園に行ってもよく狼を見てたような子供だったので……だからもうドンピシャ(笑)。
──ハンクとはタイプは違いますけど、ハンクたちと共闘する擬神兵討伐部隊長のクロードも女性に人気がありそうですよね。
クロードはイケメンですよね。4巻の表紙がすごくカッコよくて、本屋で見たときは「これはズルい!」って、絶対ファンが増えるなと思いました。あとクロードの兄のケインもイケメンです!
──ケインは元擬神兵部隊の副隊長で、平和になった世界に擬神兵たちを解き放った張本人ですね。
今のところ、何を考えているのかさっぱりわからない、ただのヤバい人ですよね(笑)。今後、ケインの目的や行動の理由が明らかになってきたら、もう少し人間味が出てくるのかな。あと、まだそんなに出てきていないんですが、ケインといつも一緒にいる女の子がずっと気になっています。
──ミリエリアですね。ちょうど6巻から登場シーンが増えてきました。
あの子、絶対今後のキーパーソンになると思うんですよ。気になるなあ。
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「かつ神」は切ないエピソードが多い
- めいびい「かつて神だった獣たちへ⑥」
- 発売中 / 講談社
クロード率いる擬神兵討伐部隊「クーデグラース」と共闘することを決めたハンク。次なる標的は、ボルドクリーク要塞を守る不死身の獣・ケンタウロス。その砦では、クロードの兄であり、ハンクの宿敵・ケインの姿も目撃されており……。ケンタウロス討伐が目的のクーデグラースとハンクだったが、任務はその域を超え、政府軍と共に要塞攻略戦に加わることに。ついに「戦争」が始まる──!
- 「かつて神だった獣たちへ」6巻発売記念めいびいサイン会
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日時:2017年9月16日(土)13:00~
会場:SHIBUYA TSUTAYA B1Fコミック売場
参加方法:9月8日10時より、SHIBUYA TSUTAYA店頭にて「かつて神だった獣たちへ」6巻を購入した先着60名に整理券を配布。整理券は定員に達し次第終了。
- 広瀬アリス(ヒロセアリス)
- 1994年12月11日生まれ。静岡県出身。フォスタープラス所属。2008年に女優デビュー。2009年に女性ファッション誌・セブンティーン(集英社)の専属モデルに。ドラマ「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」の小林みち子役、映画「新宿スワンⅡ」小沢マユミ役など出演作多数。2017年10月2日より放送のNHK連続ドラマ小説「わろてんか」にリリコ役で出演。また2017年11月3日公開の映画「氷菓」では、千反田える役として主演を務める。
- めいびい
- 男性の2人組。2005年にコミック夢雅(桜桃書房)で商業誌デビュー。代表作に「黄昏乙女×アムネジア」「結婚指輪物語」「かつて神だった獣たちへ」など。2014年3月より月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて「結婚指輪物語」を、2014年6月より別冊少年マガジン(講談社)にて「かつて神だった獣たちへ」を連載中。
衣装 / ワンピース(カミシマ チナミ イエロー/KAMISHIMA CHINAMI 青山店:03-3406-9210)、
イヤリング(ソムニウム/ソムニウム:03-3614-1102)、
サンダル(FLAG-J/FLAG-J渋谷109店:03-3477-5052)