キングレコードは黙ってアニメだけ作ってればいい（上坂）

──上坂さんは2017年、初の地上波冠番組「上坂すみれのヤバい○○」のオンエアや「タモリ倶楽部」への出演など、声優以外の仕事も数多くこなす飛躍の年だったかと思います。

上坂　「ヤバい○○」はあまりにもしんどすぎて、世間を憎みました。

一同　あはは（笑）。

上坂　いや本当に、私野球のルール1ミリも知らないんですけど、その1ミリも知らない野球を2週にわたって番組でやるってもう本当に怒りの極みなので。

──「ヤバい野球」、怒りの極みだったんですね。確かにカオスな回でした。

上坂　キングレコードは黙ってアニメだけ作ってればいいのに……。

江口　ふふ（笑）。

上坂　あの1クールは過酷でしたけど、それがあったので謎の仕事を受けるマキちゃんの気持ちがわかります。「私、何してるんだろう」っていう。だからこそ、「声優の仕事楽しいな、キャラに声をあてるのが声優だよな」ってしみじみ思うところがありました。多分強くなった気がします。はい。

──声優の仕事に還元されてますね（笑）。この対談の機会に、もしお互いに聞きたいことがあれば……。

上坂　先生はお休みはあるんですか？

江口　休みは……ないです。

上坂　鬼灯様と同じく、ずっと仕事というライフサイクルなんですね。

江口　無理くり作れはするんですけど、全部しわ寄せが後に回ってしまうので。

上坂　じゃあ常に仕事のことを考えてるんですね。

江口　考えてるというか、考えざるを得ないというか。昔、まだ週刊で描いていた頃（現在は隔週連載）に編集さんに「マンガ家は常にアウトプットし続けているからそのうち枯渇しちゃうんで、とにかく無理にでも遊んでちゃんと休んで」って言われて、そこまでは正論で頷いたんですけど「でも締め切りは守って」と言われて1人でガチギレしたことがあります。「それでどうやって遊ぶ時間をひねり出すんだ！」って（笑）。

上坂　あはは（笑）。

「第弐期その弐」ではあのキャラもこのキャラも（江口）

江口　私も上坂さんにお聞きしたいことがあって。声優さんって、どの仕事に一番時間がかかってるのか気になってたんです。今の声優さんって歌を歌ったり、テレビやラジオに出演したり、インターネットの配信番組に出たり、ナレーションしたりとかなりマルチにいろいろ活動されてるじゃないですか。アニメのイベントでは大喜利みたいなことをされてたり。

上坂　そうですね。

江口　例えば私の場合、今一番時間がかかってるのは、多分マンガ原稿やカラーより監修の作業なんです。アニメももちろん、グッズにおけるキャラクターの設定、デフォルメイラストの特徴、色味、説明文などです。私がやたらに細かく監修したがる原作者だからかもしれないんですが、トータルでかなり時間がかかる。それだけいろいろなものを出していただけるのは、もちろんすごくありがたいです。でも、声優さんも、もしかしたら意外な仕事に時間がかかってるのかも、と思っていて。

上坂　確かに、アフレコは長くても5時間で1話録り終わりますが、イベントだったら1日かかりますし、おうちに帰って台本チェックするのも量次第で時間がかかりますね。あと人によりますけど、撮影やプロモーション用の取材も多いです。だからアニメに1本出たら、アフレコはあっという間でほかのことに時間がかかると思います。でも一番全力を出すべきなのはアフレコですね。

──ちなみに上坂さんが一番お好きな仕事はなんですか？

上坂　やっぱりアフレコですかね。みんなで集まって掛け合いとかできたりするので楽しいです。先輩のお芝居を見られる機会でもあるので、楽しみにしつつ、がんばろうって思えます。

──では最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。

上坂　「第弐期その弐」も、「第弐期その壱」と変わらず観ているだけでなんか元気が出てくるようなお話がいっぱいあります。私もまたエンディングテーマを歌わせていただいて、その曲が結構マキちゃんっぽいイメージの曲に仕上がっているので、ぜひエンディングまで楽しんでほしいです。

江口　詳しくはまだ言えないのですが、「第弐期その壱」ではあのキャラも出るしこのキャラも出る……という感じで、新キャラの登場を楽しみにしていただければ。どう描かれるのか、動いたらどうなるのかなどは私もまだ観てないんですが、監督をはじめスタッフさんがすごく一生懸命作ってくださっています。私自身もまたアニメの放送が始まるのが楽しみです。