「僕のヒーローアカデミア」堀越耕平インタビュー|“ヒーローとはなんなのか?”自問しながら描く

連載4周年を迎えた「僕のヒーローアカデミア」。劇場アニメ「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~」の公開を8月3日に控えており、オールマイトとオール・フォー・ワンの戦いを描いたアニメの第3期第11話が6月に放送された際には、Twitterでオールマイトがトレンド1位を獲得するなど、原作以外でも盛り上がりが続いている。

そんな中コミックナタリーは19巻の発売に合わせ、原作者の堀越耕平にインタビューを実施。「僕のヒーローアカデミア」史上最長のエピソードになった「インターン編」やオールマイトとオール・フォー・ワンの戦いにまつわる裏話、堀越が考える本作の主題、劇場版に寄せる期待、原作の今後などについてたっぷりと語ってもらうとともに、劇場版のプロモーション企画の一環としてTwitter上で募集した、ファンからの質問にも回答してもらった。

取材・文 / 宮津友徳

「インターン編」はキツかった

──「僕のヒーローアカデミア」は7月で連載4周年を迎えますね。おめでとうございます。

ああ、もうすぐ4年ですね。ありがとうございます。

堀越耕平

──さっそく「僕のヒーローアカデミア」の内容について伺っていければと思います。現時点での最新巻である18巻まで、プロヒーローの事務所でインターンを行うことになったデクたちが極道の敵〈ヴィラン〉と対峙する「インターン編」が展開されていましたが、「僕のヒーローアカデミア」の中でも一番の長編エピソードとなりましたね(取材は6月中旬に行われた)。

まさしくインターンの話は「長編をやってみよう」というところから始めたんです。今までの「ヒロアカ」って、長くても単行本2巻かからないくらいのエピソードが断続的に続いていて。でも例えば「ONE PIECE」とかって、長編エピソードがドン、ドンって続くじゃないですか。

──長いものでは10巻以上続いていたエピソードもありますね。

僕もそういう長編に挑戦してみたいっていう思いがあって。あとは「僕のヒーローアカデミア」で、最終的に描きたいことに必要になってくるキャラクターを登場させておくっていう意図もありました。ただ描いているときは、正直キツくてしょうがなかったです(笑)。僕が途中で「ダメだ」となっちゃって。

──それは長編を描くのがつらかったということなんですか?

「インターン編」ではヒーローたちと極道・死穢八斎會の争闘が描かれる。

長編に対するキツさということではなく、あの話に対するキツさです。内容を暗くしすぎてしまったので、途中で気分が参ってきてしまって。

──確かに「インターン編」は死亡するキャラクターも出てくるなど、これまでにはない重いエピソードでした。

ほかのマンガで読んだり映画で観たりする分には、暗い話はすごい好きなんですが。バッドエンドも好きですし、ホラーとかスプラッタ系も平気なので。ただそれを自分で描くっていうのはやっぱり難しかったです。僕は描いている内容で気持ちが上下してしまうタイプなんだなって。

読者に最終回だと思わせたかったエピソード

──そういった暗いエピソードを描いていく中で、ご自身のテンションを保つために行っていることなどはあるんですか?

BMIヒーローのファットガム。切島をインターン生として受け入れている。

話の中で気持ちいい展開を描けると、回復してくる気がします。「インターン編」で言えばファットガムっていうキャラクターにめちゃくちゃ救われていました。

──“ファット”という名前の通り巨漢で、関西弁でしゃべるコミカルなキャラですね。

ファットガムと切島の2人が敵〈ヴィラン〉と戦闘するシーンは、熱い気持ちを筆に乗せられたと思っていて。あの辺りからちょっとずつ、「インターン編」に対してしっかり描けているなと自分の中でも考えられるようになりました。ファットガムは僕のヒーローです。

──ダークな話ということで言うと、ちょうどアニメで放送されているオールマイトとオール・フォー・ワンが対決するエピソードも、重い内容が含まれていますよね。堀越先生もこのエピソードがスタートする原作の8巻で、「今回からちょっと重苦しいのが少し続きます」とコメントされていましたし。

アニメ「僕のヒーローアカデミア」第3期「ワン・フォー・オール」の場面カット。

やっぱりあの辺りのエピソードも、描いていてしんどかったです。オールマイトとオール・フォー・ワンのバトルでは、敵〈ヴィラン〉に連れ去られていた(爆豪)勝己が助け出された辺りからようやく光が見えてきて、僕も元気になってきました。あのお話自体は自分のテンションを絵に乗せられていて、我ながら「よう描いたな」と思っています。

──当時のテンションというのはどういうものだったんですか?

オール・フォー・ワンとの戦いで、最後の力を振り絞るオールマイト。

あの戦いで「『僕のヒーローアカデミア』は終わるんだ」って読者の方が思ってしまうくらいのものを描くというのが、自分の中での目標だったんです。まあ実際に終わるとは読者も考えていなかったとは思うんですけど、アンケートの評判もよくて、このマンガにおけるひとつの区切りなんだと感じてもらえたのかなと。

──完結すると思ってもらえるくらいに描こうと思ったのには、どういった理由があるんでしょう。

オールマイトは予知の“個性”を持つナイトアイから、「このままいけば敵〈ヴィラン〉と対峙し、言い表しようもないほど凄惨な死を迎える」と言われている。

オールマイトがあの戦いで力を失ってしまうというのはもともと決めていて、そこを普通のテンションで描いちゃダメだと思っていたんです。それこそ“Plus Ultra”ではないですが、限界を越えて描かないと印象的なエピソードにはならないですし。「僕のヒーローアカデミア」が本当に終わったときに「一番よかったのはどこだろう」って話題になったら、「オールマイトとオール・フォー・ワンの戦いだよね」と言ってくれる人がたくさん出てくるくらいの話にしようと考えていました。

堀越耕平「僕のヒーローアカデミア⑲」
2018年7月4日発売 / 集英社
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学校っぽいと言えば文化祭!! 最近、敵〈ヴィラン〉事件が続いてたからさ、ウチらの出し物で盛り上げてこうよ! 正直、ウチが役に立てるか不安だけど、ロックにキメてくよ! “Plus Ultra”!!

映画「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~」
2018年8月3日(金)全国公開
「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~」
あらすじ

白熱の期末試験が終わり、夏休みの林間合宿を控えた雄英高校メンバー。

デクとオールマイトは、ある人物からの招待を受け、海外に浮かぶ巨大人口移動都市〈I・アイランド〉を訪れていた。

世界中の科学研究者たちの英知が集まったまさにサイエンスハリウッドのような島で、“個性”やヒーローアイテムの研究成果を展示した〈I・エキスポ〉が開催される中、デクは“無個性”の少女・メリッサと出会う。

メリッサに、かつて同じ“無個性”だった自分を重ね合わせるデク。

その時、突如鉄壁のセキュリティを誇るアイランドの警備システムが敵(ヴィラン)にハッキングされ島内全ての人間が人質に獲られてしまう!

いま、ヒーロー社会の構造を揺るがしかねない【ある計画】が発動する──。

その鍵を握るのは、平和の象徴(ナンバーワンヒーロー)・オールマイト!

スタッフ

原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社 週刊少年ジャンプ連載)
監督:長崎健司
脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ

キャスト

緑谷出久:山下大輝
オールマイト:三宅健太
メリッサ・シールド:志田未来
デヴィット・シールド:生瀬勝久
爆豪勝己:岡本信彦
麗日お茶子:佐倉綾音
飯田天哉:石川界人
轟焦凍:梶裕貴
八百万百:井上麻里奈
切島鋭児郎:増田俊樹
峰田実:広橋涼
上鳴電気:畠中祐
耳郎響香:真堂圭
ウォルフラム:小山力也

テレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」
毎週土曜17:30より読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネットで放送中
※一部地域を除く
堀越耕平(ホリコシコウヘイ)
堀越耕平
1986年愛知県出身。2006年に「ヌケガラ」で第72回手塚賞の佳作を受賞し、2010年に「逢魔ヶ刻動物園」で週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載デビューを果たす。その後2012年に同じく週刊少年ジャンプにて「戦星のバルジ」を連載。2014年より3作目の週刊少年ジャンプ連載作品となる「僕のヒーローアカデミア」をスタートさせた。同作は2016年よりアニメが放送されているほか、劇場アニメ化、小説化、ゲーム化など幅広いメディア展開が行われている。