和田さんと山本さんの関係は、私と譜久村聖ちゃんみたい
──生田さんはこの作品の一番の魅力はどこだと思いますか?
登場人物がほぼ2人だけというのがすごくわかりやすくて、このマンガのいいところだと思います。たくさん人が出てくる作品だと、顔と名前が覚えられないことが多いので(笑)。しかも、ほとんど同じ場面だけしか描かれないというのも本当にすごいなと。基本的にフードコートという場所で起こっていることだけを淡々と見せていくところが面白いです。
──そういう意味では、ある種コントっぽい作りですよね。登場人物もシチュエーションも限りなく限定されていて。
そうですね。私は舞台をやらせていただく機会もあるんですけど、例えば道ばたのシーンを演じたら次はお花畑のシーンみたいに、いろんな場面が出てくるのが普通ですよね。それがもし1シチュエーションだけになったら、こんなふうにもっとわかりやすく作れたりするのかなってちょっと思いました。私、マンガを読むときによく「これを実写でやるなら誰がいいだろう?」とか想像するんですけど(笑)、この作品も「もし舞台でやるなら」を考えながら読むのがすごく楽しかったですね。
──ちなみにもし実写化するとしたら、和田役と山本役に誰を起用したいですか?
えー! どうしよう(笑)。……ここで自分の名前を出すのはちょっと違う気もしますが、2人の関係性がすごく私と譜久村聖ちゃん(モーニング娘。'21)みたいだなと思ったんです。
──その配役はモーニング娘。のファンならぜったい観たがると思います。
あははは(笑)。性格的には逆なんですけど、見た目の感じも近いなと思いますね。
──生田さんがより感情移入するのは、やはり山本よりも和田ですか?
完全にそっちですね。和田さんはすごく“女子”っぽい性格ですし、ゲームが好きなところとか、がさつなところとかも似てるなって(笑)。逆に聖は山本さんっぽいかもしれないです。よく弟の話とかもしていますし、兄弟愛が強い子だなって感じるので。
──譜久村さんと生田さんも、普段から和田と山本のように2人で延々おしゃべりしているんでしょうか?
しちゃってますね。牧野真莉愛ちゃんともそんなふうに話すことは多いですけど、やっぱり聖とは長いので。2人だけにしか面白くない話とか、どうでもいい話をずっとしています。先日、モーニング娘。9期の10周年イベント(「モーニング娘。'21 譜久村聖・生田衣梨奈FCイベント 新創世記 ファンタジーDX ~10周年を迎えて~」)で大阪へ行くときに新幹線で聖と隣の席になったんですけど、いつもなら移動中はずっと寝ている2人が2時間半ずっと起きてて、ひたすらしゃべっていました。
──おふたりが隣同士で座ることは珍しいんですか?
普段は先輩メンバーが窓側、後輩メンバーが通路側みたいに年功序列で席が決まるので、同期で隣同士になることはまずないんですよ。しかも、その後もイベントの空き時間とかリハーサル、本番もずっとしゃべって、帰りの新幹線までしゃべり続けてました。本当にいつまででもしゃべっていられるなって。ファンの方にはあまりそういう姿をお見せする機会もないですけど、もし見てもらえたら「本当に仲がいいんだな」と感じてもらえると思います。話の内容は全然面白くないでしょうけど(笑)。
聖とは、モーニング娘。として出会えてよかった
──これは仮のお話ですが、もし譜久村さんとモーニング娘。以外の場所で出会っていたとしても仲良くなっていたと思いますか?
なっていないと思います(笑)。聖とも「学校で同じクラスだったら絶対に仲良くないよね」という話をよくしてて。それこそクラスメイトを陰と陽に分けるなら私は陽のほうだし、聖は絶対に陰グループだし(笑)。スクールカーストっていう言葉がありますけど、それでいうと私はたぶん上のほうなんですよ(笑)。
──間違いないですね。生田さんはカーストの頂点にいるタイプだと思います。
あははは。こんなふうに言うと印象よくないですけど、もし同じ学校で聖と出会っていたら、私は彼女のことを下に見てたかもしれない(笑)。だからこそ、モーニング娘。という場で同じ立ち位置で出会えたのはよかったなって思っていますね。そのおかげで、いいところも悪いところも含めてお互いを深く知ることができたので。
──グループがあったから出会えた譜久村さんとは逆に、HKT48の本村碧唯さんとは幼少期に出会って、自然と仲良くなったんですよね。
そうですね。碧唯ちゃんとは小学校1年生のときからずっと仲がよくて。2、3年生の頃には週7くらいで一緒に遊んで、毎日のようにお互いの家に行ってました。何がきっかけだったかは覚えてないんですけど、自然に引きつけ合うものがあったのかな。
──長年の付き合いでお互いに芸能をやっている間柄という点では、譜久村さんと本村さんには共通点があると思いますが、おそらく生田さんとの関係性はだいぶ違いますよね。
違いますね。碧唯ちゃんとはプライベートのお話ばかりでお仕事のことは全然話さないですし、お互いの意見をぶつけ合う“話し合い”みたいになりやすい気がします。逆に聖とはお仕事の話をすることがほとんどで、話し合いというよりは聖が私の話を聞いてくれている感じで。後輩について気になったことがあっても、私は本人には言わずにいったん聖に相談するんですよ。それで聖がリーダーとして「言ったほうがいい」と判断すれば本人に言ってくれたりとか。聖とプライベートのお話をすることはめったになくて、あっても報告程度というか、そこから深掘りする方向にはあんまり行かないです。
──となると、「フードコートで、また明日。」みたいな会話はむしろ本村さんと話す内容に近い?
うーん……でも、2人の関係性という意味では本当に聖との感じに近いと思います。
意味のない話って、一番楽しいんですよ
──ちなみに、生田さんは普段どんなふうにマンガと接しているんでしょうか。
アニメから入ることが多いです。アニメを観て面白いなと思ったら、原作マンガを読んでみる感じですね。昔は本を1冊ずつ買うことが多かったんですけど、最近は電子に変わりました。お父さんから「電子書籍で買えばいつでもどこでも読めるし、そっちにしたら?」と勧められたこともあって。
──作品の傾向としては、どんなものがお好きですか?
かわいい女の子がいっぱい出てくる作品が好きです(笑)。
──ジャンルとかではなく。
はい(笑)。最近ハマっているのは「五等分の花嫁」とか「彼女、お借りします」とかで、そういう“美女を選べる”ものが好きです。ジャンルでいうなら、まあラブコメになるんですかね。少女マンガも好きですし。
──では、マンガやアニメ以外で最近ハマっていることは何かありますか?
えっと……これはアニメにも絡んできちゃうんですけど、一番くじにハマっています。アニメキャラのグッズが当たるくじなんですけど、つい買っちゃうんですよね……しかも、一度にまとまった数を引きます(笑)。自分で買うだけじゃなく、お父さんに頼んで(実家のある)福岡のちょっと田舎の店舗まで買いに行ってもらったりもしてますね。そういうところは競争率が低そうなので、いいのが出るんじゃないかと(笑)。「A賞、取ってきてね!」みたいな。
──完全にエイベル公爵に対する和田の熱量と同じですね。
いや、本当に。私の推しが中野一花ちゃん(「五等分の花嫁」のヒロインである5人姉妹の長女)なんですけど、A賞に設定されることが多いんですよ。そうするとなかなか当たらなくて、推しが出ないのが最近の一番の悩みです。「フードコートで、また明日。」でも、和田さんがクレーンゲームに3000円をつぎ込むシーンがありましたけど、私も一花ちゃんの大きなクッションを2500円かけて取ったことがあるので(笑)、すごく共感しました。あとでメルカリを見たら同じものが1200円で売られていて、ちょっと凹みましたけど(笑)。
──でも、メルカリで労せず手に入れたら意味合いが違ってきちゃいますから。
そうなんです、違うんですよ! わかっていただけてうれしいです(笑)。
──では最後に、「フードコートで、また明日。」をどんな人におすすめしたいですか?
女子高校生の気分を忘れてしまった方に読んでもらいたいですね。昔はなんの実にもならない会話を楽しめていたのに、今はお仕事だったり生活の中で“意味のある話”ばかりをしなければならない人がたくさんいると思うんです。意味のない話って、一番楽しいんですよ。そのことを思い出してもらいたい。
──おっしゃる通り、何気ない無駄話には人生を豊かにしてくれる効能があると思います。
あと、終盤のほうで和田さんに彼氏ができそうになって2人の関係性がギクシャクする展開がありましたけど、そこからちゃんと仲直りしますよね。私にも、以前は週3くらいで焼肉を食べに行っていた友達がいるんですけど(笑)、その子に彼氏ができてからはあまり会えなくなってしまって。久しぶりに焼肉屋さんで会えるとすごくホッとしますし、「友達に戻れている」と感じる瞬間って、すごく幸せだなと思いますね。
──なるほど。では生田さんとお友達とのエピソードを物語にするなら、そのシーンは外せませんね。
あははは、そうですね(笑)。まさに和田さんと山本さんが「フードコートで、また明日。」と言い合うシーンみたいになると思います。
──「焼肉屋さんで、また明日。」と。
味わい深さがフードコートと全然違う(笑)。