「サイコミ」作画チームリーダー・中山卓インタビュー|週休2日、10~19時勤務で高密度のマンガが作れる 「描くことを仕事にしたい人には最適な環境」

新連載ラッシュが止まらない、サイコミは今「第2次創刊期」

中山卓

──現在の勤務形態を伺えますか?

週休2日の10時から19時の勤務で、間に1時間の休憩があります。

──ごく一般的な会社員の勤務時間という感じですね。勝手なイメージですが、マンガ家って昼から深夜まで働いている印象があります。

僕もフリーでマンガを描いていたときは不規則な生活を送っていました。今考えると、やることが多過ぎたんだと思います。何をするにも1人で1から準備をしなければいけなかった。でもサイコミなら、例えば「このゲームのコミカライズをしよう」というようにマンガの元になるものが最初からあるし、作業的に時間が足りないなら人員を増やせる。また、タブレットやパソコンなどの機材トラブルも専門家に対応してもらえます。とても働きやすいです。

──お休みの日も固定なんでしょうか。

基本的には、土日祝日が休みです。やむを得ない事情でスケジュールが変更になることもありますが、振替休日もありますし、フリーの頃に比べれば全然休めています。自分の時間が多く持てるようになったので、シルバーアクセサリーを作ったり、羊毛フェルトで人形を作ったりと趣味を楽しんでいます。

──話を聞く限りいいこと尽くしですね。逆にフリーでなくなったことで、デメリットに感じていることはありますか?

強いていうなら、決まった時間に出社して働くのが苦手な人は慣れるまで少し大変かもしれません。人によって感じ方は異なるでしょうが、これは仕事を続けるうちに慣れる部分だとは思います。

──作業環境はどんな感じなのでしょうか?

作画チームは全員、モニター2台と液晶タブレットを使っています。足りない機材やソフト、必要な資料があれば、申請すれば次の日には使えるようになっている。そういうスピード感は、サイコミならではかもしれません。

──それはCygamesの社風から来ているものなのでしょうか?

ドラマ「ふたりモノローグ」場面写真。© Cygames, Inc. © Yu Tsunamino

そうですね。できるかどうかは置いておいて、とりあえず相談事があれば何でも話は聞いてもらえる、検討してもらえるという会社です。社長との距離も近くて、「こういうことをやりたいです」と提案したらその場で「いいよ」と決まることもある。サイコミ関連だと秋に「ふたりモノローグ」が実写ドラマ化しましたけど、あれもCygamesとしては初めてのドラマだったのにすごいスピードで進みましたからね。

──「ふたりモノローグ」のドラマ化というメディア展開もあり、新連載ラッシュもあり、より広い範囲に作品をアプローチしていこうという意気込みを最近のサイコミからは感じます。新たに作画チームの人員を募集をするということは、今後もさらに作品数が増えるのでしょうか?

そうですね。冬の新連載が始まったばかりですが、今後もさらに作品数は増えます。2016年5月の創刊から1年半ほどが経ち、社内では「今、第2次創刊期だよね」という話が出ているくらいです。

マンガを描くことを仕事にしたい人には最適な環境

──実際に作画チームの採用というのは、どのように行うのでしょうか?

普段からCygamesのコーポレートサイトで募集していますが、2月にはサイコミに興味のある方を対象にセミナーを行うことになりました。2回目となる今回は編集、コミック原作、作画といったクリエイティブ職が対象で、僕は「グランブルーファンタジー」をどのようにコミカライズしてきたかという話をする予定です。

中山卓

──現場としてはどんな人が欲しいですか?

どんな分野でも構わないんですけど、自分のやることを突き詰める向上心とか、チームとして円滑に仕事をできるコミュニケーション能力とか、そういったものを持つ人が来てくれると個人的にはすごくうれしいですね。

──今日のお話を聞いて、今マンガを描いている色んな人が興味を持ちそうな印象を受けました。現在プロとしてマンガを描いている人であれ、アシスタントをしている人であれ、将来の不安ってあると思うんですよ。でもサイコミ作画チームなら、整った環境の中で仕事ができそうで、それだけでも安心できる気がします。

プロのマンガ家も、仕事量が人気や体調に左右されることはあるし、アシスタントであれば、いつまで挑戦し続けるか悩んでいる人もいるかもしれません。サイコミはチームで仕事をすることによってお互いにサポートし合うこともできるし、整った仕事環境や会社の福利厚生も受けることができます。マンガを描くことを仕事にしたい人には最適な環境だと思います。

──ちなみに作画の仕事をしながら、オリジナルのマンガを描くこともできるのでしょうか?

中山卓

創作活動を制限することはありませんし、むしろサイコミは編集部の人がすぐ隣にいるので勉強になることも多いと思います。今後は実際にそのルートで連載を持つ人も出てくると思いますし、期待しています。そうなると作画チームとしては痛手ですけど、特に若い人ほどオリジナル作品を作りたいでしょうし、いい作品が世の中に増えるのは喜ぶべきことです。

──チャレンジ精神がある人のほうが、一緒に仕事していて面白そうですしね。

Cygamesという会社自体が、そういう人の背中を押す土壌がありますし。採用セミナーも、悩むくらいならとりあえず参加してみて、どんな仕事をしていて、どんな雰囲気なのか知ってほしいですね。