キャラがどんな洋服を選ぶのかも重要

──浅田先生がデザインをする上では、やはりファッションはこだわりのポイントになるのでしょうか。

現代ものなので、そのキャラクターがどんな洋服を選ぶのかっていうのは、大事な部分だとは思っています。それも大きな個性なので。大学生だから私服設定をたくさん作るとスタッフの方から聞いて、100や200、服のパターンを提示するっていうのも面白そうだと思ったんですが、時間との兼ね合いでそれは難しくて。

──チアリーディングの経験者である翔は原作の劇中で「服装がダサい」という描写があり、浅田先生も奇抜なファッション案を提示されていますね。

これはやり過ぎですけど（笑）。鶴田（眸）総作画監督が調整してくれた私服は変なんだけど、ちゃんとかわいく仕上がってます。翔はイケメンっていう設定があったので、一生懸命イケメンを描きましたよ（笑）。下まつげを描いてちょっと色気を出してみたり。

──続いて溝口はメンバーの中で唯一のメガネ男子です。

溝口は小説を読んだ方には、イメージそのままだと思っていただけるんじゃないかな。ファッションは白シャツに時計をつけて、お坊ちゃんっぽくしました。このキャラクターは人気が出そうだなと思いながら描いていましたね。

──それはどういった部分で？

キャラクターが立っていて、文章だけで十分にイメージできたので。普段マンガのキャラを作るときには絵だけの段階では、「人気が出そうだな」と思ったりすることはあんまりないんですけど。

──マンガとアニメではキャラクターの作り方に違いがあったりもするのでしょうか。

僕の絵、特に服なんかはそうなんですが割とシワを細く入れて構成している部分が多いので、アニメで動かすときにそこをどう簡略化していくかっていうのは難しいと思っていましたね。なので「ここにはシワを多めに入れたい」とか、「ここは抜いてもいい」みたいな簡単な説明はさせていただきました。

──トンはいかがですか。

実はトンが最初に完成までいったキャラなんですよ。小説には「100kg近い」ってあったんですが、チアをやるならってことで、かなりがっしりというか筋肉質に描いたんです。そこから「もう少し柔らかい感じで」ということで、今のデザインになりました。ファッションポイントは販売機で買ったアイス（笑）。

誰かを応援する「BREAKERS」を応援したくなる

──イチローと弦は2人でいることの多いキャラクターですが、こちらもハルとカズのように対比させながら作り上げていったのでしょうか。

そうですね。イチローは最初、野球のイチロー選手そのままのイメージで描いていたんです。そこから監督とのやり取りで髪型や顔のラインを修正していきました。スポーツマンなのでジャージとかウインドブレーカーを着ているイメージです。

──一方で弦は一見するとチャラい印象があります。

おちゃらけているというか、表面上は明るさをもった容姿のキャラクターですからね。イチローと2人で並んだときに、バランスがいいようにと考えながら描いたんです。服装は胸元が開いちゃっている感じをイメージしました。

──ここまでの7人はPVでチアの演技を行う姿が公開されていますが、ご覧になっていかがでしたか。

めちゃくちゃ動いていましたよね。正直チアの部分は動かすのが難しいだろうなと思っていたので、びっくりしました。ますますオンエアが楽しみになりましたね。

──では最後に、アニメの放送を待つファンの方々へメッセージをいただけますか。

「チア男子!!」のキャラたちは、チアで誰かを応援するためにがんばっています。1人ひとり、いろんな傷を抱えた彼らが必死で練習し、ユニフォームに着替えて本番に臨むとき、今度は視聴者の方々がきっと彼らを応援したくなる、そんなアニメになっていると思います。吉村監督の演出でチアリーディングのシーンも相当カッコよく仕上がっているので、そこにも注目していただきたいです。僕も販売物などでキャラのイラストを描く機会がありますので、それも併せて一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。テレビアニメ「チア男子!!」ぜひご覧になってください。